第四回:”本物の臨床家”こそ研究者であれ【鈴木 俊明 先生】

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臨床一本ではダメな理由

ー 先生は「臨床家」でありながら、大学教授という教育者のキャリアを歩んでいます。キャリアの歩みについての考え方を聞かせてください。

 

鈴木先生 私自身が大学教員になった理由は、理学療法は分からないことが多すぎて、研究をし ないと、技術の伝承もできないし、エビデンスの伴わないものになってしまうと危機感を覚えた ことにあります。つまり自分の根底にあるものは、研究者です。

 

ただ教員になっても、「やっぱり鈴木先生、臨床上手いよね」と教え子から慕われるような教員でいたいとは思っていて、今でも週二回は臨床に出るようにしています。 最初は、ただ神経疾患の理学療法士としてトップになりたいと思っていたので、臨床家一本で生 きていくつもりでした。

 

でもすぐにこれではダメだと気付きました。 日本の医療は今でも医者がトップにいて、ピラミッドの下に PT がいるというのが現実ですよね。 海外ではほぼ平等です。そのためにちゃんと研究をして、データに基づいた知見を持ってディス カッションができる人間になろうと思いました。

 

ー つまり、臨床家こそ研究をすべしということですね。

 

鈴木先生 その通りです。

 

時代と逆行するバイザー哲学

 

ー 先生は実習指導にも熱心だと聞きました。理学療法士の教育カリキュラムが変更されましたが、先生の考えを聞かせてください。

 

鈴木先生 まずどんなセラピストを育てたいかというビジョンが大切です。時代に逆行している のは分かっていますが、関西医療大学は絶対にレポートを書かせますし、デイリーノートも作成 させます。これはなぜなのかというと、ちゃんと「治せるセラピスト」を養成したいと思っているからです。

 

現在推奨されているクリニカルクラークシップ方式の学生指導もしますが、学生のうちから運動 学的な解釈ができるようになるために、一症例に時間をかけて考えて、それに対して臨床実習指 導者からフィードバックをもらうことが必要だと思っています。 患者さんの治療時間が一単位だったら 20 分のすべてを患者さんのために使うべきです。

 

患者さん を休憩させている間もこっちは治療しないといけません。雑談をしている間も、問題となってい るところを刺激するとかストレッチするとか、それくらい根詰めて治療するべきだと思います。 そのため、学生へのフィードバックは治療中ではなく、治療が終わったあとになりますね。

 

治療中は、なぜその現象が起きているのか学生自身に考えてもらうようにしています。

 

ー 最後に先生にとってのプロフェッショナルとは?

 

鈴木先生 いつでも自分を向上させて、目標を持って突き進める人だと思います。患者さんが障 害がなかった時と同じように、「完全近く治せる理学療法士」になってほしいと思います。

 

【目次】

第一回:内腹斜筋は3つの線維に分けられる

第二回:鍼×理学療法の可能性

第三回:動作分析力はどのようにして磨くのか

最終回:本物の臨床家こそ研究者であれ

 

鈴木俊明先生おすすめ書籍

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鈴木俊明先生プロフィール

関西医療大学 保健医療学部  理学療法学科   教授、学科長
大阪府理学療法士会  理事、副会長
日本基礎理学療法学会  運営幹事 

【経歴】

昭和61年3月 京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科 卒業
昭和63年4月 京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科 助手
平成  6年4月 関西鍼灸短期大学 神経病研究センター 講師、助教授(平成13年)
平成14年3月 藤田保健衛生大学より博士授与
平成15年4月 関西鍼灸大学 神経病研究センター   助教授
平成19年4月 関西医療大学保健医療学部理学療法学科  教授
平成23年4月 関西医療大学大学院保健医療学研究科 教授

 

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