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「医師は閣議決定がいる。我々は野放図」 指定規則改定を受けて

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理学療法士養成校の乱立問題に関して、協会はどう対応するのかー。

 

7月7日、日本理学療法士協会の第5回理事会が実施され、19人の理事と3人の監事によって審議・報告が行われた。なお、今年の参議院議員選挙に立候補していた田中昌史先生含む4名の理事が欠席されている。

 

厚生労働省は、今年4月、今後もPT・OTの供給数は上がっていき、2040年には供給が需要を約1.5倍上回ると予想した。つまり、毎年1万人以上の理学療法士が国家試験を合格ししているのにも関わらず、需要が足りていないということが明らかになったわけである。

 

以下は、理学療法士養成校の増加を表したグラフである。平成11年、養成施設カリキュラム改定後の規制緩和により養成校が急増しているのが一目で分かることだろう。高齢化社会によりニーズが増加することや"手に職"の国家資格を得られるということで、理学療法士を目指し入学する人も多く、気づけば需要と供給が逆転するまでに至った。

 

今回の理事会では、「養成施設が増え続けたことは、政令もあって受けざるを得ない。柔道整復師の養成校を認めないことが違反という指摘があってやむをえない。(中略)士会として過剰であることを県の担当者に伝えて、提出があったときに対応されるようになど、早急に検討する必要があると思っている。」という意見が上がっている。

 

これを読んでもいまいちピンと来ていない人も多いことだろう。「養成校設立を制限すればいいのではないか」と思っている人も多いと思うが、実は既に、柔道整復師の養成校新設に関して、裁判で養成校設置を制限できないという結論で決着している。

 

平成8年6月、福岡にて新規柔道整復専門学校設置許可申請書が提出されたが、厚生省は「養成力の増加を伴う施設を新たに設置する必要性が見いだし難い」という理由で、新規参入を認めなかったことがあった。それに対して、学校設立側は福岡地方裁判所に提訴。平成9年10月に第1回裁判が開廷し、その後、複数回の裁判を経て、平成10年8月福岡地裁において柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決が下された。

 

それ以後は、養成施設指定規則さえ満たせば設置を認める方針になったのである。つまりは理学療法士の養成校においても、おそらくは「理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則」に書かれている規定の条件を満たせば、設置を認めざるを得ないということである。

 

また、理事会で「(全国リハビリテーション)学校協会の中で 5 年おきの評価について、教員の数が足りないから受けないという話がきた。これを行政側が対応していないことが問題。そこからどう対応していくかが問題。県立大学でもそういうところがある。 経営者に姿勢をただしていただきたい。医師は閣議決定がいる。我々は野放図。制度の違いは何か。」という意見も上がっている。

 

指定規則の改定が決まり、2020年から運用されることになった関係で、「養成施設は、教員資格及び教育内容等に関して、5年以内ごとに一般社団法人リハビリテーション教育評価機構による第三者評価を受け、その結果を公表すること」になった。この結果は、各養成校のホームページなどで、国民が自ら情報を求める時に簡便に入手でき評価を行った人も公表される。

 

また、「(全国リハビリテーション)学校協会は自己評価であり強化にいかない。協会独自のプログラムを進めていくようなことは考えられないのか。誰が評価するかという問題もあるし、評価機構が2つあることは養成校側としてはどうかとも思う。」という意見も上がっている。

 

理学療法士教育もまさに変革の時を迎えていると言えるだろう。教育は、そのままエンドユーザーである患者や利用者に対するサービスの質にも繋がってくる。

乱立時代を経て、どこに向かうのかー。今後も注目である。

 

参照

▶ 2019年度 第5回 理事会 抄録

▶︎ 理学療法士・作業療法士の 需給推計について

▶︎ 柔整業界大改革 切り拓いた平成の時代

▶︎ 理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドラインに関するQ&A

 

「医師は閣議決定がいる。我々は野放図」 指定規則改定を受けて

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