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【玉垣努先生 | 作業療法士】脊髄損傷患者のリアルな"性"の悩み

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性活動はADLの中の一つ

ーー 作業療法士になったきっかけは?

玉垣先生 兄がPTだったのと、単純に家にお金がなかったんですよね。大学に行くお金がない。当時は公立の専門学校って授業料とかってタダだったんですよ。採用困難職種だったので。

 

今より全然、知名度がなかった。それで、人に感謝してもらえる仕事だしこれはいいかなと思ったんですよ。

 

もともと運動好きだったからPT受けたら、面接試験の時に「もしOTだったらどうしますか?」って言われて、即答で「もちろん大丈夫です!!」そんな感じですね。いい加減ですね。

 

2015-06-15 15.03.27

玉垣努先生/神奈川県立保健福祉大学リハ学科作業療法学専攻 教授

昭和58年に国立善通寺病院付属リハ学院卒後、同年4月より神奈川リハ病院作業療法科に就職。以来、頸髄損傷や脳性麻痺や脳卒中の動作分析や治療の研究や生活道具の開発,市販化などを行ってきた。現在、脊損作業療法研究会や臨床動作分析研究会や活動分析研究会や脊損者の家族会などで活動し、平行して生態心理学の研究や福祉用具の開発など色々なことにチャレンジしています。平成21年4月より、野望を抱いて単身赴任にて目白大学に教員として方向転換し、同時に首都大学博士課程入学し、平成23年10月より神奈川保健福祉大学に赴任し悪戦苦闘の日々を暮らしている。

 

ーー 先生は「身体障害者の性活動」という書籍を執筆されており、性活動を作業療法の一部として捉えていますよね。

 

玉垣先生 作業療法って作業・活動を中心として治療していくんだけど、一番強いのってこの辺だなーって思ったんだよね。Hするなって言っても、結局ヤりたがるでしょ?

 

ただ、女性の性っていうのは難しい。女性はそういう話をしようとしないと。

 

結婚とか恋愛とかの話は聞けるようになったけど。今では濡れるのか濡れないかとかの話はできるようになりましたね。年齢やキャラクターのおかげだよね。

 

「こんな身体になってHなんて・・」とか言われたりして難しい。膀胱ろうとか見栄えの問題もあるし、それは女性にしか分からないことが多いんです。

 

女性のセラピストにも、もう少しそういう視点があってもいいのかなと思いますよね。

 

あくまでも性活動ってADLの中の一つだっていう位置づけがとれればいいんだけど。ICFの基準にも入っているからね。

 

本当だったらFIMに入ってもいいのかなと思ってますよ。

 

若くて可愛い女の子と話すために

ー 先生は「身体障害者の性活動」という書籍を執筆されていますが、障害者の性活動に注目したきっかけはなんだったのですか?

 

玉垣先生 最初に働いた病院は、神奈川リハビリテーション病院っていう病院で、脊髄損傷や脳性麻痺や脳外傷、変形性股関節症・・・と色んな疾患を診てました。

 

ICUから在宅まで一連の流れで3年間くらい一人の患者さんに関わってたんです。それで色んな場面に当然関わっていかざるを得ない。復学もそうだし就労だったり。やはりきっかけは患者さんのニーズでしたよ。

 

まず1年目に担当した頸髄損傷の患者さんで、当時僕は「師匠」って呼んでた方なんだけど。もともとキャバレーかなんかの店長をやっていた人で女の子の扱いがとても上手だった。

 

その病院には准看護師の学校が併設してて、そこの学生さんが夜働いてたんだけど、その子達はハタチそこそこの女の子で可愛いわけですよ。「師匠」にとってその子達と話すのが最大の楽しみなんですよ。

 

更生施設なので色々時間の制限があって、自分で移乗や着替えができないと18時までに自分のベッドに戻らないといけない。
 

ただし自立できたら22時までその子たちとお話しができるわけですよ。

 

その方は根性(モチベーション)が違ったんですよね。C6Aくらいの人で、普通トランスファーなんかできないレベルです。
 

でも「なんとか自立したい」と俺に言ってくるわけですよ。

 

その人年齢も40歳くらいのおじさんでかなり重度な障害ですよね。それでお金もなくて生活保護で。
 

ただその人がハタチくらいの准看護師の女の子ひっかけて結婚しちゃったんだから「すげー」って思いましたよ(笑)。

 

それで、色々リハビリしていく中で、性の話も出てきますよね。同性同士ですし「どうしたらいいだろうか」ってなるよね。

 

他の患者さんとかも風俗行けないよとか、エロビデオとか貸し回したりしてたりとかして…。

 

そうやって普通に接していくと患者さんだって普通の人で、私と変わらないなーと実感したんです。

 

でも普通じゃない、不利なこともたくさんあるので、作業療法士としてお手伝いできることは何かなーと思っていました。

 

患者さんとHの体位を練習した

玉垣先生 また違う患者さんで頸髄損傷完全麻痺の方なんだけど。

 

「嫁さんがすごく可愛くて心配なんだ」と話すんです。浮気しないか心配なんだと。子供は二人いるけど、やっぱりHはしたい、どうにかならないだろうかと相談されたんです。

 

通常は女性上位でやるんだけども、でもバリュエーションがなくて、どうにか正常位ができるようにならないだろうかと相談されました。
 

ひょうたんバルーンを使ってそういう練習したりだとか、スタンドアップ車椅子だとか利用して練習したわけですよ。

 

そんなことしてたら動くようになってきたと教えてくれたんです。面白いですよね、骨盤の前後運動が出来るようになったんです。
 

具体的にはオンエルボーからオンハンド、それから四つ這いに持ってって。

 

リハ室で、外見じゃ普通にトレーニングに見えるけど実はHの練習してたんだよね(笑)「そうそう腰動いてるよー」とか言ったりして、そしたら不全麻痺みたいに下半身が少し動くようになってきたんですよ。

 

そこから1年くらい経ったら今度「バック」がやりたいって言いだすんですよ。今度膝立ちが必要ですよね。最初、テーブル使って腰を前後にふる練習とかもしたよね。

 

なんか知らないけど今度「射精」が出来るようになって。すごい変わっていったんですよね。

 

はじめは完全麻痺って言われてたから、反射で勃起はするんだけど射精はしない。

 

持続はしないからバイアグラを併用することになるんだけど。そうなると、「子供はもういらないよ」って逆に困ってたよ(笑)

 

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