マレーシアのリハビリテーションの現状2

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対象疾患は、さほど日本と変わらない

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リハビリの対象となる疾患は、身体障害、精神障害、発達障害等が中心で、医療の発達や高齢化に伴い、末期がんの方へのターミナルケアや認知症へのアプローチも注目されてきています(日本の少し後を追っているイメージでしょうか)。就労支援は地域差がありますが、Job Coachの制度が少しずつ確立されてきています。 私が活動していた首都クアラルンプールの近郊にある国立病院(以下、配属先病院)では、身体障害領域(整形外科,小児科、外科、熱傷、手の外科、老年科)、と精神障害領域(小児、成人)がありました。赴任当初は、設備や備品等の側面からすれば、この配属先にボランティアが必要なのかと思うくらい整っているように見えたのですが、ふたを開けてみると、日本との違いに驚くことがたくさん出てきました。

身体障害領域について

急性期が主であり,リハの関わりは発症時〜3ヶ月程度です。機能訓練が主体で、日常生活動作(ADL)訓練や、退院前の家屋訪問は必要と判断された場合のみ行われていました。日本でいう回復期リハはなく、医療が関われる期間は非常に短いように感じました。

精神障害領域について

総合病院では急性期と外来診療が中心で、リハビリの内容は、セルフケアや体操、手工芸、軽スポーツ等の活動が行われていますが、同じ活動をルーチンに用いがちで、早期に退院した後のフォローアップが十分に行われず、訪問や通院のデイケアへの介入が必要でした。精神障害は他の分野に比べて、差別と偏見の目が根強く残っており、就労支援や社会参加の手法の確立が急務となっています。重症の方は、国内に4カ所ある精神科単科の病院に転院し、長期入院となる場合も多いのですが、病院によってはかなり支援が進んできています。

発達障害領域について

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私自身は精神科での活動が主であったため、同国の元協力隊の先輩OTに教えて頂いた内容をお伝えしようと思います。発達領域では、EIP(early intervention program)がNGO中心に取り入れられていますが、介入は、ADLの向上よりも対個人の知育中心。普通の幼稚園、保育園も3歳児から宿題があり、療育施設でも宿題が当たり前、という認識になっているとのことでした。

とあるPDKでは、総合病院から訪問したPTがほぼ全員におもちゃ無しで仰向けで1時間ROM訓練をしていたり、定頸がようやくといった子供に寝返り訓練、座位保持が不十分なのに歩行訓練。OTは、感覚統合療法として私の配属先の病院では写真のような設備を用いて遊びを用いた関わりが行われていましたが、ブラッシングばかりが行われている場合もあり、PTやOTの人数は増えてきているのに、子どもの発達に合わない関わりを目の当たりにしたと話されていました。社会福祉局では、特に動作法が大人気で、東マレーシアではコロロ法が大ブームになっていたそうです。私の活動中にも、よく「◯◯法教えて」「日本人ならもちろん知ってるでしょ?」と尋ねられることが多く、手技の名前が先行してしまっている現状を今後、どう問題提示していくかが課題であると感じました。(もちろん、PDKでは、セルフケアや体操、レクリエーションスポーツが行われており、就労支援等を行う施設もあり、バティック(マレーシアの伝統的な染色技術)製品やお菓子等の販売や運営が盛んである施設もありました)

機能訓練のリハビリテーションが中心

OTの概念は、作業は、人と作業と環境の相互作用で成り立つという考え方や、ADL,IADLの内容、人間作業モデルやFrame Work等、教科書では理論は学ばれていますが、マレーシアの作業療法士の約8割が病院勤務であり、病院内での機能訓練のリハで完結してしまい、ICFについては、「知ってはいるけど、よく分からない。」との声が多く聞かれました。首都近郊や他国で学んだ経験のあるOTとは共通認識を持つことが出来ましたが、仕事や学校生活等の「社会参加」を促進するためのプラン作りを、障害を持つ方も、療法士も主体的に行う必要があると感じました。 マレーシアのOTの良い所は、セミナーやキャンペーンへのノリの良さ!そして、「日本のことも教えて!」と親日的だったことです。私自身は、精神科の地域コミュニティサービス部門での活動であったため、リハビリテーション部門には時々顔を出す程度でしたが、イベントに協力すると、日々の業務の改善への協力や理解も得やすく、スタッフとの関係作りには重要な活動だったと感じています。

原早恵子先生経歴

経歴

専門学校卒業後、精神科病院で6年,身障リハセンターで3年勤務した後、青年海外協力隊としてマレーシアの公立病院の精神科にて活動を行った。帰国後も、作業療法士として、高次脳機能障害を持つ方への社会参加に向けた支援を行っている。

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