「痛み」と「疼痛」、正しい使い方はどっち?

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Painの和訳である「痛み」と「疼痛」の使い分けについての記事です。患者側に立てば「疼痛って身近じゃない」という意見もあれば、「膝に疼痛がありまして」なんて訴えをする患者も時折いらっしゃり、人それぞれに使っています。医療者側も同様だと思います。慢性的に続く痛みを表す用語も「慢性疼痛」なのか「慢性痛」なのか、ここまで相当議論されたようです。painの和訳から、歴史、意味の違いの議論と自分の使用経験についてまとめました。

Buenos noces!terapeuta!(スペイン語でこんばんは療法士のみなさん)、週の真ん中水曜日の江原です。

痛み、疼痛、侵害受容刺激、痛みを表す言葉はいろいろあります。以前の記事でも侵害受容刺激と痛みは同じようなものを指しているが、全然違うのでしっかり区別しましょう話しました。

今回は英語のpainを訳した言葉である「痛み」と「疼痛」に関してです。これらの用語に関しては学会でも時間をかけて議論されてきました。みなさんはどの様に使い分けていますか?painの和訳から、歴史、意味の違いの議論と自分の使用経験についてまとめました。

学会委員会での議論

私も学会員であります日本ペインクリニック学会では用語委員会があり、痛みと疼痛の議論を続けてきました。用語集の第2版では、painの和訳は「痛み、疼痛」で同義語で区別されていませんでした。しかし、本当に同義なのか?』という意見から同委員会でたそうで、

1.painの訳語

2.痛みと疼痛の意味の違い

3.日本と中国の違い

について議論を重ねました。それぞれについてみてみましょう。

1.painの訳語

わが国では特別に用語の定義をしてこなかったが、1992年に「pain threshold」を『痛みの閾値』と訳したことが発端とみられている(兵頭ら1992)。その理由としては、疼痛の「疼」が常用漢字ではなかったためであり、意味の違いでの使い分けについては言及していない。

現在の訳:医学辞典ではpainの和訳は「痛み、疼痛」になっており、pain=疼痛となっている辞書でも、痛みの項目は「痛み=疼痛」となっているため、pain=痛み=疼痛である。

また一般の辞典では、painの和訳は、(肉体的な)苦痛、苦しみ、痛み、精神的な苦痛、心痛、悲嘆などで痛みと記載されているが疼痛の記載はない

2.痛みと疼痛の意味の違い

「痛み」と「疼痛」、正しい使い方はどっち?

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