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日本理学療法士協会はもっとテクノロジーを有効活用するべきだ【梶原侑馬】

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前回の内容▶︎ ヘルスケア企業への転職は厳しい?

行動変容とテクノロジー

 

ー やっぱり、テクノロジー化は進めた方がいいと。

 

梶原 そうですね。例えば、日本理学療法士協会が送ってくる冊子がありますが、印刷費や人件費等のコストかなりかかっているはずです。電子書籍化すればそれだけでかなりの費用が浮きますので、その分をもっと業界の発展のために使えるようになると思います。

 

臨床に関しても、目標達成までのスモールステップを見える化するのにテクノロジーがとても有効だと思っています。今は、理学療法士が患者さんに対して「良くなりましたね!」と伝えても、患者さんにとって実感値が湧かない場面って結構あると思います。

 

リハビリテーションの過程を見える化することで、患者さんが自信を持ったり、自己肯定感を保つようになることにも繋がりますし、あとは、患者さん同士が「競争したい」「協調したい」という願望があるとも思っていて、その点でも数値化、見える化は有効です。見える化は、自己内での比較(過去との自分との比較など)や他裳のとの比較と両面で有効活用できますよね。

 

例えば、5m歩行を同じような患者さんと一緒に「これぐらい良くなったんだよね」と互いに励まし合ったり競い合ったりとか、患者さんが受動的ではなく能動的になる仕組みが絶対必要です。行動変容という文脈においてテクノロジーは強力で、そのきっかけを作るし、患者さん自ら継続するようになります。

 

日本理学療法士協会がテクノロジーの会社と一緒に共同で実証実験をするスキームを作ったりとか、そこに力をもっと入れてもいいと思っています。

 

少なくとも、スポーツ庁では、令和2年度にスポーツ実施を阻害する課題解決のための実証実験及びターゲット横断的なスポーツ実施者の増加方策事業で、先端的なテクノロジーを活用したスポーツ実施者の増加方策を模索しています。

 

また、弊社(NTTデータ経営研究所)でも、早稲田大学スポーツビジネス研究所と協力し、異分野・異業種の連携、産官学の知見・技術の融合により、デジタル化時代に即した次世代スポーツビジネス、周辺産業や地域と連携したスポーツビジネスエコシステムの創出を目指す、事業創発プラットフォームである「Sports-Tech & Business Lab(スポーツテック&ビジネスラボ)」を設立し活動しています。

 

理学療法士協会もテクノロジーの活用に遅れをとると、今後取り返しがつかないことになるかもしれないと、私は危機感を感じています。


 

対面主義からの脱却

 

ー 理学療法士は、職人気質の人も多いですし、テクノロジーに対して敬遠意識のある人も多いような気がします。

 

梶原 テクノロジーは、ありたい未来を描くための道具や手段でしかないので、有効活用すればいいと私は思っています。みんな道具使っていますよね、関節可動域を測るのにゴニオメーターを使ったり、脳機能を見たり予測するのにMRI・CTを使ったり。それと一緒で、動作分析するのにセンシングセンサーを使えばいい。オンラインに繋がっているかどうかの違いだけだと思います。

 

私は、テクノロジーが仕事を奪うというよりは、共存とか拡張というニュアンスで捉えていて、患者さんが良くなって、業務の効率化・標準化ができれば理学療法士の価値が上がると思っています。そして、今までは24時間のうち1時間程度しか理学療法を提供できていないと思いますが、残りの23時間や自主トレをより効果的にするためにもテクノロジーを使うことは有効ですよね。

 

今は、残念ながらリハビリテーションの効果が不確かではっきりと良いと言いきれない部分があるから、社会的価値が上がらないということもあると思います。それをより良くするために、むしろテクノロジーを積極的に自分は使うべきで、結果の見える化、相乗効果による効果の改善向上が期待でき、しいては理学療法士の価値が上がり、医者等からも認められることにも繋がるんじゃないかと思っています。

 

かつ、理学療法士は、バイオメカニクスを学んでいたり理系的な要素があるのでテックとの相性も良いはずなんですよ。これから筋変位センサー等の開発が進んで、遠隔でも筋の収縮度合いが把握できて、オンラインで全てが片付いてしまう未来がすぐそこにきています。対面よりもオンラインを使った非対面のほうが、プッシュ通知等を活用して、接点を多く作ることができます。接点回数が多くなれば、ザイオンス効果もあると思いますし、受動から能動的に動くきっかけも作れると思っています。Covid-19の影響もあり、対面主義からの脱却も重要になってきています。

 

機械化するべき部分と人が接する部分を分けて考えるべき

 

ー テクノロジーによって理学療法士の役割も今後変わってくるのかもしれませんね。

 

梶原 はい。寿司で例えると、一皿100円の回転寿司だって、ロボットがシャリを握ってネタをつけて出していると思いますが、そこそこのクオリティーが保ててるじゃないですか。人じゃないからこそ、人件費も節約できて、安くてもお寿司が食べられていて、めちゃくちゃ繁盛していますよね。一方で、高級寿司は高いけど、お店の独特な雰囲気とか信頼感とかも含めて、味も美味しい。

 

理学療法も同じだと思っていて、機械化するべき部分と人が接する部分を分けて考えることも重要だと思っています。

 

今度、お話させていただく動作分析に関しても、モーションキャプチャーの方が人間の目視より明らかに正確ですよね。いまだに講習会で歩行動画を見せて「0.1ミリずれてるね」とか「ほら、〇〇した方が良くなったでしょ?」言っている人もいますが、胡散臭いと思ったことありませんか?笑

 

技術の標準化に関しては、どうしたってテクノロジーの方に軍配が上がります。となると、理学療法士の役割はどこにあるのかとなった時に、コミュニケーション力とか提案に対する信頼感という部分が重要になってくると思います。そして、価値創造の部分ですね。

 

あとは、全然話変わりますけど、今って、運転免許を更新するのにわざわざ時間かけて免許センターに行って、視力検査と講習ビデオを見させられますよね。YouTube等で自宅でビデオを見て、近くの眼科で視力検査をすればそれで済むと思いませんか?

 

リハビリテーションを継続してもらうことを考える時に「手間を省略してあげる」というのはとても大事になってきます。面倒くさいことがテクノロジーでできるだけ省いて効率化することで、継続率はあげることができますし、ユーザーにとってはそちらの方がメリットですよね。

 

人間が提供したほうが良い価値、機械が提供したほうが良いか価値を見極め、共存していき、よりよい社会をデザインしていきたいですね。理学療法士もリハビリテーションの中だけで何ができるかを考えるのでなくて、社会としてできることを考えたほうが幅が広がるかもしれませんね。

 

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