俺の進むべき道はこれだ
ー 医師を志そうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
田中 実家が医療法人を運営しており、私が4代目になります。別に両親からと言われたわけではないですが、なんとなく身近に医者という選択肢があってその流れで医師になったのが本音です。
医者以外ですと高校の教師になってラグビー好きなのでラグビー部の指導をしたいと思っていました。
ー 医師になりリハビリテーション専門医(以下:リハ医)になったのでしょうか?
田中 ラグビーが好きなので、最初は整形外科医になって、スポーツドクターになることを目指していました。しかし、病院実習で外科の現場を目の当たりにした時に自分には向いていないと直感しました。
逆にリハビリテーション科を実習で回った際に、“俺の進むべき道はこれだ!”と直感しました(笑)。その理由は至って単純なんですが、リハ科はポジティブな科だったからです。
僕が医者として介入して、患者さんをマイナスにすることがないフィールドだと感じました。(外科だと手術してなんぼですが、手術には失敗が付きものです)
どんなに全力で手術に臨んでも真逆の結果になることがあり、その全ての責任を背負いながら毎日オペ室に立つ外科の先生方を、僕は心から尊敬しています。
リハ医になるために才藤栄一先生の下で学びたいと思い、藤田医科大学に研修に行かせていただき4年間勤務しました。専門医取得後に福岡みらい病院に勤務しました。そして、今は、実家である医療法人田中会に帰ってきてリハ医として働いている流れです。
ー リハ医はどんなことをするのでしょうか?
田中 リハ医学は活動の医学とも言われるように、リハ医は患者さんの生活や活動に医学的に介入します。例えば片麻痺で歩行能力が低下している患者さんには、“歩く”という活動にフォーカスして、歩く為に必要な医療的介入をします。
それは装具の処方であったり、痙縮を軽減させるための内服薬の処方やボトックス注射などですね。同様に食事や排泄などの問題にもリハ医は介入します。
また、リハビリの現場は医療の中でも最も多くの職種が関わるチーム医療の現場だと感じています。その中でリハ医は監督であり、チームをまとめる役割があります。
したがってリハ医の一番の強みは療法士や看護師とは勿論のこと、M S Wやケアマネたちとも共通言語で患者さんについて議論できることだと思っています。
ー 様々な理学療法士、作業療法士などと仕事をして療法士の可能性や改善点等はどのように認識していますか?
田中 スタートが藤田医科大でしたので素晴らしい療法士と仕事をしてきました。リハビリ現場では療法士が主役です。
しかし、場所によっての療法士の質の差が激しいと感じました。卒業されてから教育が不十分に感じます。卒後教育の強化は療法士にとっては不可欠です。
評価して問題点を抽出して治療することができない人が多いので、そこは課題だと思います。
ー 先生はリハ医をしている病院は、教育はどのようにやっているのでしょうか?
田中 クリニカルクラークシップや臨床研究に力を入れております。本格的に改革したのは私が赴任してからですので、丁度3年くらいです。最近では少しずつ結果も出てきていて学会発表とかでも賞を取る療法士も出てくるようになりましたが、まだまだ理想には程遠いです(苦笑)。
ー 研究とかは誰が指導しているのでしょうか?
田中 当院には臨床研究員という役職があり、彼らがリハ部全体の研究の指導をしています。彼らの業務内容は研究9割、臨床1割です。
しかし臨床研究員のトップを務めているP Tはまだ若手(PT9年目)ですので、次年度から外部の先生にも外部顧問としてご協力頂き、今まで以上に研究の質を高めていきたいと考えています。
ー まだ募集しているのですか?
田中 もちろん大募集中です!民間病院で研究したい人は是非、お待ちしております。あまりそういう人に出会ったことないので…
ー 素晴らしい環境ですね。これからの活躍に期待しております。障害者の支援をしていると聞きましたが、どんなことをしているのですか?
田中 今は車椅子ラグビーと障害者サーフィンのサポートをしています。最近はS O L I Tというアパレルブランドのメンバーとしても活動しています。障害があってもなくても人生を楽しめる環境を作りたいですね。
医者が「できるよ」と背中押せば、できることはたくさんあるので背中を押す存在になりたいと思っています。
私の理念として「障害と向き合って生きる人すべての人々の人生を豊かにする」を叶えられればと行動しています。
ー YouTubeで保険外リハビリについて発信していますがなぜ発信しているのですか?
田中 保険外リハビリは賛成です。ここ数年でかなりサービスが増えたと思います。しかし、価格が高すぎて受けれない人が多いのでそこは解決したいと思います。
構想がありまして、自主練主体の施設を作りたいと思っています。
ー 今後の展望はなんでしょうか?
田中 個人的な人生の一番の目標は、医療法人田中会を、日本一働きたい医療法人にすることです。全職員の方にここが好きだから働いているんだ!と言って頂ける法人にしたいんです。
医療は究極のサービス業だと考えていて、本来であればリッツ・カールトンにも負けないくらいのホスピタリティーで患者さんに接するべき仕事だと思います。しかし、実際の医療現場ではホスピタリティーのかけらも感じることができない発言や行動を多く見ます。
なぜ患者さんに優しくできないのか、その大きな理由の一つに医療業界の職場環境の劣悪さや、独特な固定概念や慣習があるからだと思うんです。サービス残業当たり前、医療従事者なんだから派手な格好はダメ、フレックスタイム制?は?みたいな(笑)。
僕は重要なのはそこじゃないと思っているので、そんなことはどうでもいいからもっと自由に、そして自発的に勤務できる環境を作り出し、全職員が患者さんに対してホスピタリティー精神満タンで向き合える医療現場にしていきたいです。
ー 何か始めるにあたって大事なことはなんでしょうか?
田中 まずは行動することです。情報はたくさんあるので行動して実際に体験したりすることが大切です。いろいろ行動することで出会いがあるのでその縁を大事にしていくことが大事です。
ー オススメの書籍または動画等はありますか?
田中 最近のオススメは、Netflixのライジングフェニックスがオススメです。パラリンピックの選手のドキュメンタリーです。最近のお勧めの書籍は、慶應義塾大学リハビリテーション科のリハ医の須田万豊先生が最近出された“はじめてのリハビリテーション医学”です。目から鱗の金言満載ですよ。
ー 田中先生にとってのプロフェッショナルとは?
田中 自分の本当にやりたいことを継続することがプロフェッショナルだと思います。
研究をしたい療法士必見!武蔵ヶ丘病院
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