週の真ん中水曜日の江原です。有痛性疾患の中には痛み以外に特徴的な症状を持つものがあります。本日ご紹介する疾患は有痛性疾患の中でも稀であり、専門職の中でも知られていないかもしれません。
私はたまたま症例を経験していましたので、実例をを交えてお話します。
痛む足動く足趾症候群
症状をそのまま説明したような疾患ですが、Painful legs and moving toes syndrome(PLMT)という有痛性の症候群です。障害像が似ているむずむず足症候群(レストレスレッグス症候群)がドパミン系の異常が原因とされているのに対して、原因不明であると言われています。
その他、症状が増悪する因子があることが多く、姿勢や足趾の運動、圧迫、バルザルバ手技、寒冷刺激などが挙げられます。足趾の不随意運動は、足趾の屈曲伸展、外転内転、ゆっくりとくねるような運動など、連続的な不随意運動が繰り返し起こっており、患者は不快感を訴えます。
一方で短時間なら意図的に止められたり、睡眠中は不随意運動が消失するという特徴があります。実臨床で経験した症例では、ジストニアの様にゆっくりとした不随意運動やミオクローヌスの様に小刻みに動く足趾を経験しました。他動的に不随意運動を止めることは困難でした。
歴史
1971年にイギリスの神経内科医Spillaneが初めて紹介した症候群であり、片側もしくは両側の下腿の刺すような痛みや灼熱痛、疼くような持続的な疼痛、しびれのような異常感覚、足趾の不随意運動を特徴としています。