療法士の転職は夏が良い理由!

保健事業にPTOTは必要だが予算・人員確保に課題

2380 posts

20日PT、 OT協会は平成8年度より一 般財団法人日本公衆衛生協会の「地域保健総合推進事業」の分担事業において令和4年度実施のアンケート調査「地域や職場における予防・健康づくり等へのリハビリテーション専門職の関わりや役割に関する調査研究事業」の報告書を掲載。

 

「地域保健総合推進事業」では過去に災害支援に求められるPTOTの活用策の検討、母子保健領域へのPTOT配置の有効性調査、新型コロナウイルス感染症拡大状況下におけるPTOTによるフレイル予防等の実施、効果の調査などを行なっている。令和4年度の調査では、生活習慣病予防等にPTOTが寄与できること、人材育成や取り組みの普及啓発を行うための基礎調査を実施することを目的に、全国の保健所とPTOT都道府県士会を対象にアンケート調査を実施。

 

全国保健所へのアンケートでは、生活習慣病予防・ 腰痛予防・転倒予防・メンタルヘルス対策の実施状況とPTOTの関わりと必要性、各都道府県士会との連携状況を調査し以下のような調査結果をまとめた。

調査のまとめ

① アンケートの回収率は 25.6%(151/590 施設)であった。

② 二次医療圏等協議会への理学療法士会および作業療法士会の参加状況は、2021年度に開催 された会議のうち、理学療法士会および作業療法士会が参加した会議は 0 件であった。

③健康課題の有無と保健事業の実施状況

生活習慣病予防:健康課題有 96.0%、保健事業実施率 72.8%

理学療法士会と連携した事業 5.5%、作業療法士会と連携した事業 2.7%

腰痛予防:健康課題有 37.1%、保健事業実施率 13.9%

理学療法士会と連携した事業 19.0%、作業療法士会と連携した事業 19.0%

転倒予防:健康課題有 41.1%、保健事業実施率 9.9%

理学療法士会と連携した事業 13.3%、作業療法士会と連携した事業 6.7%

メンタルヘルス対策:健康課題有 82.1%、保健事業実施率 52.3%

理学療法士会と連携した事業 0.0%、作業療法士会と連携した事業 1.3%

④今後の連携希望

生活習慣病予防:理学療法士会との連携希望 40.8%、作業療法士会との連携希望 25.8%

腰痛予防:理学療法士会との連携希望 88.6%、作業療法士会との連携希望 45.5%

転倒予防:理学療法士会との連携希望 83.7%、作業療法士会との連携希望 46.5%

メンタルヘルス対策:理学療法士会との連携希望 13.2%、作業療法士会との連携希望 16.5%

 

 昨年度の二次医療圏等協議会には理学療法士会と作業療法士会のいずれも参加していなかった。 生活習慣病とメンタルヘルスに対する健康課題と保健事業の実施率は高い傾向にあったが、両会の 各事業への関与は 20%未満であり、今後連携を希望される地域はおよそ 10~40%であった。一方 で、腰痛・転倒に対する健康課題と保健事業の実施率はそれほど高くないものの、80%程度の保健所 が理学療法士会との連携を希望していた。

都道府県PTOT会向けアンケート・ヒアリング調査では、

調査のまとめ

① アンケートの回収率は 25.6%(151/590 施設)であった。

② 都道府県理学療法士会の保健事業の実施状況

【生活習慣病予防】

実施率:28.3%(集団への教育 93.8%)、連携機関:市区町村 69.2%

【腰痛予防】

実施率:43.5%(集団への教育 95.0%)、 連携機関:都道府県・医療関係職能団体各 35.0%

【転倒予防】

実施率:39.1%(集団への教育 87.0%)、連携機関:市区町村 81.3%

【メンタルヘルス対策】

実施率:6.5%(各種媒体を通じた情報配信 66.7%)、 連携機関:都道府県・保健所各 33.3%

③ 都道府県作業療法士会の保健事業の実施状況

【生活習慣病予防】

実施率:6.5%(集団への教育 100.0%)、 連携機関:市区町村・住民等ボランティア 100.0%

【腰痛予防】

実施率:8.7%(集団への教育 100.0%)、連携機関:市区町村 50.0%

【転倒予防】

実施率:15.2%(集団への教育 100.0%)、連携機関:市区町村 85.7%

【メンタルヘルス対策】

実施率:8.7%(集団への教育 75.0%)、連携機関:都道府県・市区町村各 50.0%

④ ヒアリング調査の対象士会と事業内容

【生活習慣病予防】

福島県理学療法士会にて協会けんぽと連携した健康経営をしている事業所向けの運動支援 セミナー(講演会)。

【腰痛予防】

京都府理学療法士会での医療・介護従事者に対する腰痛予防・介助教室。 静岡県理学療法士会での行政(市)・郡市区医師会と連携した企業向けの腰痛予防教室(講義・運動指導)。

【転倒予防】

長崎県理学療法士協会での行政(県)・保健所と連携した転倒骨折予防の個別・集団指導と 普及啓発。

【メンタルヘルス対策】

長崎県作業療法士会でのうつ病の兆候がある方々を「専門医療機関につなぐ」ことを目的とし た、行政(市町)と連携した特定健診の場等における「うつ検診」事業。

 アンケート調査から都道府県理学療法士会と都道府県作業療法士会ともに地域の関係機関 と連携し、生活習慣病予防、腰痛予防、転倒予防、メンタルヘルス対策の保健事業に取り組んで いることが確認できた。都道府県理学療法士会では腰痛予防と転倒予防、都道府県作業療法士 会では転倒予防を目的とした保健事業の実施率が高い傾向にあった。また、保健事業の実施内容では、「集団への教育」がもっとも多かった。 ヒアリング調査から、調査した 5 士会の多くが事業を運営するために外部資金の活用や士会員からの人材確保に取り組んでおり、他士会に普及していく際に事業を開催・運営するための重 要な視点と考えられた。また、保健事業の対象者への効果は検証できていないことを今後の課題とする士会があった一方で、関係者の健康意識が向上したとの成果を述べられる士会があった。 最終的に健康課題の改善を図ることは重要であるが、保健事業を継続的に行うことは、対象者だけでなく連携する関係機関の活性化や地域の発展に寄与することも大切な視点であると推察された。

▶︎https://www.japanpt.or.jp/info/20230320_068.html

保健事業にPTOTは必要だが予算・人員確保に課題

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事