外反母趾の基礎
外反母趾はMTP関節での母趾外反と第1中足骨の内反により、第1中足骨頭が突出した状態です。実際に臨床の中でも多く認められ、疼痛を訴える例も見られます。
発生頻度に関しては18~65歳の成人で23%、65歳以上の高齢者で35.7%と報告されており、発生率は年齢とともに増加します1)。また、男女比に関しては男性13%に比べ女性30%であり、女性に多い傾向にあります1)。実際には診断方法などでばらつきは認める可能性はありますが、多くの方が外反母趾を認めていることが分かります。
外反母趾に関して経過を評価した研究の中では1年間の調査で26%の方に症状の進行を認めたと報告しています2)。この研究では有意性などについては記載されていませんが、約4人に1人が1年で進行することを考えると対策をする必要があると考えられます。直接的にオーダーが出ることはほとんどないと思いますがアドバイス程度で自主トレなど簡単に伝えることが必要であると考えています。
外反母趾の診断
外反母趾の診断においては荷重位の足部背底単純X線が一般的になります3)。レントゲンを撮影することでHV角というものを計測し、重症度の判断を行っています。
HV角とは母趾基節骨軸と第1中足骨軸のなす角度であり、以下の写真の様に判断されます。正常は15~20程度と考えられており、20°以上を外反母趾と定義しています。20~30°未満を軽度、30~40°を中等度、40°以上を重度と定義しています3)。