■この記事を読むとこうなる!
・足底腱膜炎の症例に対して鑑別から治療戦略が立てられるようになる
・足底腱膜炎に対する筋膜アプローチを行えるようになる
足底腱膜炎の鑑別方法
足底腱膜炎は、足底腱膜の炎症や変性に起因する踵骨結節周囲の疼痛と定義されていますが、正確な疫学は不明と言われています。
臨床症状としては、
・起床時の1歩目の踵痛
・安静時の歩き始めの踵痛
・長時間歩行での踵痛
など、荷重時の踵の痛みを主訴とするのが一般的です。今回は、足底腱膜炎と予測するための徒手検査をご紹介します。
windlass test(ウィンドランドテスト)
①患者の膝関節屈曲位とし、足関節を底背屈中間位となるように、一方の手で把持し安定させる。
②もう一方の手で第1中足趾節関節 もしくは 全ての中足趾節関節 を他動的に伸展させる。
陽性判定:足底腱膜領域、特に踵骨側の足底腱膜付着部に痛みが出現
注意すべき点は、足関節を中間位にするところ。
外反したりすると足根管症候群のテストになってしまうので注意が必要です。
検査の信頼性
さて、このウィンドラステストの信頼性が高いかというところですが、
このように、特異度がかなり高く報告されています。
つまり、本検査で陽性であれば足底腱膜炎の可能性が高いとされています。
足底腱膜炎と筋膜の関係
まず、足底腱膜炎の痛みのメカニズムを考えていきます。
基本的な考え方としては、足底腱膜に加わる【荷重ストレス・伸張ストレス】によって、痛みが生じると考えられています。
足底腱膜は、荷重時にアーチを保持する作用を有しています。
また、歩行の立脚期後半で踵が離床するため、MTP関節が伸展し、足底腱膜が巻き上げられます。
つまり、荷重や歩行により足底腱膜は強い伸張ストレスを受けることになり疼痛が生じることになります。
つまり、足底腱膜炎の痛みを改善させるためには、足底腱膜の適度な伸張性を獲得することが必要と考えられます。
では、具体的にどこのポイントへアプローチすればいいのか?
それは、
です。
なぜこのポイントかというと、
足底腱膜の構造を考えると足底腱膜は3つの部分に分けられ、中央部分は最も厚く、内側部分と外側部分は母趾と第5趾の内在筋の深筋膜に結合し、内側部分は母趾外転筋を覆う。
引用:Carla Stecco 筋膜系の機能解剖アトラス 医歯薬出版 2018 p369
つまり、足底腱膜と母趾外転筋が連結しているため、母趾外転筋が足底腱膜の伸張性に影響すると解釈できます。
筋膜の評価方法
では、具体的にどのように評価を行えばいいのか?
それは、
ことです。
▼実際にはこんな感じ
皮膚の上を滑らすように丁寧に触っていくと
高密度化を起こしているケースでは、皮膚の動きまで悪く固まっているようなポイントがあります。
そこを少し圧迫してフリクションした時に痛みを訴えるような場合はそこの筋膜が硬くなっていると判断します。
筋膜への具体的なアプローチ方法
では、これに対し実際にどういうアプローチをしていけばいいのか?
それは、
ことです。
▼実際にはこんな感じ
正しくアプローチできていると、「ごりごりした感じ」と「痛み」があります。
その固さと痛みが取れるまで3分程度続けてみてください。
このアプローチは、深筋膜に対し機械的刺激と炎症反応による熱刺激を加えてヒアルロン酸
の状態を変えるので、かなりの痛みを伴います。
なので、アプローチはマイルドに行ってくださいね。
また、アプローチの目的と理由をしっかりと患者さんに説明し、同意を得てから介入してください。
さて、このアプローチを行ったら前後でwindlass testや歩行時痛などの症状の変化をみてみてください。
これで改善がみられるようであれば、数回に分けて介入を続けて症状の改善を目指します。(1回の介入で取り切るのは難しいです。)
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今回ご紹介した筋膜アプローチはあくまで「小技」です。
本当は、このケースにおいてもまだ何パターンもアプローチの方法があります。
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