今回はメジカルビュー社の新刊を書評させていただきます。「スポーツ理学療法学ー動作に基づく外傷・障害の理解と評価・治療の進め方ー第3版」は、臨床現場で活躍する理学療法士に向けた実践的な参考書です。外傷や障害の予防から治療に至るまでのプロセスを詳細に解説し、最新の研究成果と臨床経験を融合させた内容が展開されています。2020東京オリンピック・パラリンピックの開催は多くの理学療法士にとっての分岐点となり、この経験の共有は必要不可欠です。この英知を結集して完成した書籍が本書であるといえます。
1. 動作解析の重要性
この書籍は、動作解析に基づく評価と治療のアプローチを強調しています。選手の動作パターンを正確に分析し、それに基づいて個別化された治療計画を作成する手法は、非常に効果的です。理学療法士の視点からすれば、患者中心のケアを提供するための重要なツールと言えるでしょう。この部分は、現場での応用が期待される内容となっています。
2. 理論と実践の統合
この書籍の大きな特徴は、理論と実践の統合です。基礎知識から応用技術まで幅広く網羅しており、具体的なケーススタディや画像、図表なども豊富に掲載されています。理学療法士にとっては、選手に合わせた治療の提供が容易になります。実務者にとって、直感的に理解できる形で提示されているため、現場での応用が非常にしやすいと言えるでしょう。
3. 最新の研究結果
第3版においては、最新の研究成果を反映した内容(理学療法ガイドライン第2版を反映)が追加されています。最新の科学的エビデンスに基づいた治療方法の紹介は、現代のスポーツ医学の最前線で活躍する理学療法士にとって、非常に有用です。この書籍から得られる知識は、最新の治療法の適用や独自の治療プランの作成に役立つでしょう。
まとめ
「スポーツ理学療法学ー動作に基づく外傷・障害の理解と評価・治療の進め方ー第3版」は、理学療法士にとって必読の一冊となるでしょう。選手の動作解析から個別の治療計画の作成、最新の治療手法の適用に至るまで、包括的かつ実践的な内容が提供されています。この書籍は、新しい視点と知識を提供するとともに、日々の業務に直接関連する貴重な情報を提供しております。
▶︎https://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN978-4-7583-2085-6.html
目次
Ⅰ スポーツ医学の基礎知識・基本手技
メディカルチェック 渡邊裕之
アスリートに共通するコンディショニング 岡戸敦男
アンチ・ドーピングの基礎知識 草野修輔
スポーツ競技を実施するための感染症対策 坂本雅昭,加藤大悟
アスリートの傷害予防 浦辺幸夫,田城 翼
外傷の応急処置①:固定・初期評価・搬送 山田睦雄
外傷の応急処置②:皮膚損傷・捻挫・肉ばなれ・靱帯損傷・骨折 伊藤浩充
スポーツ活動における暑熱対策 細川由梨
アスリートに対するテーピングの基礎知識 澤田 豊
アスリートに対する徒手理学療法 赤坂清和
アスリートに好まれる物理療法 高橋佐江子,鈴木 章
アスリートに対するパフォーマンスエンハンスメント 相澤純也
メンタルトレーニング 笠原 彰
アスリートと栄養学 鈴木志保子
女性アスリートの特性 平野佳代子
国際総合競技大会における日本代表選手団メディカルの活動と理学療法士のかかわり 鈴川仁人
理学療法士によるホストとしての国際競技大会サポート活動 玉置龍也
Ⅱ 競技動作にかかわる外傷・障害と理学療法
陸上競技 舌 正史
体操競技 岡田 亨,関口貴博,内之倉真大,室井聖史
競泳 小泉圭介
バスケットボール 川島達宏,川島敏生,眞田 崇
バレーボール 板倉尚子,水石 裕
ハンドボール 浦辺幸夫,島 俊也
サッカー 松田直樹,堀田泰史
野球 高村 隆,鈴木 智,小川靖之,高見悠也,澤野靖之
テニス 赤坂清和
柔道 濵中康治
剣道 田中 聡,岡村和典
フェンシング 渡邊祐介,鈴木享之,板倉尚子
スキー競技 寒川美奈
ラグビーフットボール(ラグビー) 金村朋直,小林寛和,濱野武彦,野村真嗣
カヌー 中川和昌
ゴルフ 市川繁之
パラスポーツ①:視覚障害 門田正久,松井 康,樋口毅史
パラスポーツ②:車いすラグビー 中山 孝,藤縄道子,森田融枝
パラスポーツ③:車いすテニス 蛯江共生