週の真ん中水曜日の江原です。慢性手術後疼痛について書いています。本日は脊椎術後に認められる疼痛の症状である、『脊椎手術後疼痛症候群 Failed back surgery syndrome(以下FBSS)』について書きたいと思います。
FBSSとは
FBSSは、脊脊椎術後に腰部、下肢に痛みやしびれが残存した状態を指す用語として用いられています。
図1 広範囲の胸腰椎固定術後のFBSS患者の脊椎レントゲン画像
術後数年間も痛みは改善していなかった
実臨床においては、脊椎術後に症状が変わらない患者さんの状態を説明する時に、FBSSという症候群的に使われている印象があります。疾患名ではなく病態を示す「坐骨神経痛」の使われ方に似ています。
文献的には、
・脊椎の直近の手術から6カ月以上持続する腰下肢痛を有する
・十分な診察,画像検査の結果,外科治療の対象となる責任病変がない
・追加の外科治療が適切ではないという学際的な合意があること(以上、Rigoard P et al Pain Res Manag 2019)
・腰痛や下肢痛、または両者の併発を緩和するために、腰椎に1回または数回の介入を行ったが、効果が得られなかった場合の外科的最終段階(Follett KA et:Neurosurg Q 1993)
・腰椎手術の結果が、患者と外科医の術前の期待を満たさない場合(Waguespack A et al 2002)