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【書評】作業療法士の「扉」を開く指南書|急性期・回復期でおさえておきたい脳卒中作業療法の心得

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今回はメジカルビュー社の新刊を書評させていただきます。「急性期・回復期でおさえておきたい脳卒中作業療法の心得」は、作業療法士や関連する医療専門家にとって非常に価値のある一冊です。

患者の「扉」を開く作業療法士の役割

序文にあるように作業療法士は、患者が新たな人生を歩む「扉」を開く支援を求められています。特に急性期や回復期の病院で働く作業療法士には、患者の多様な人生とその目標・ニーズに対して適切かつ十分に対応する重要な役割があります。作業療法士がどのように患者の多様なニーズに対応するか、具体的なケーススタディやエビデンスに基づいたアプローチが詳細に解説されています。

卒前教育と現実のギャップ

本書は、卒前教育で提供されるフレームワークだけでは、社会から求められる作業療法士の役割を全うできない現状に対処するために書かれています。このギャップを埋めるために、最低限必要な知識や技術について14のテーマをピックアップしてまとめています。

14のテーマに焦点を当てた構成

本書は14のテーマに分けられており、それぞれが作業療法士が直面する具体的な課題に対応しています。例えば、「急性期における作業療法」では、急性期の患者に対するアプローチが詳述されています。また、「回復期におけるADL・IADLに対するアプローチ」や「回復期における脳卒中後の上肢麻痺に対するアプローチ」など、回復期に特化したテーマも多く取り上げられています。各テーマに対する最新の研究結果や実践例が豊富に紹介されています。特に注目したいポイントは各テーマの合間に記載されている「新人OTのギモン」「エキスパートの考え方」「Technical Hint」は熟読すべき内容であると感じます。

まとめ

「急性期・回復期でおさえておきたい脳卒中作業療法の心得」は、その名の通り、急性期から回復期にかけての脳卒中作業療法について包括的に解説しています。14のテーマごとの構成は、この複雑なテーマを理解しやすくする大きな助けとなります。作業療法士が患者の「扉」を開く役割を果たす重要性も、この書籍を通じて強調されています。

▶︎https://www.medicalview.co.jp/catalog/ISBN978-4-7583-2092-4.html

【目次】

第 I 章 急性期・回復期脳卒中患者に対する作業療法の歴史と役割
急性期と回復期における作業療法士の動向と役割  [竹林 崇]
  急性期と回復期における作業療法士の役割とは
  急性期病院における作業療法士の働き方と役割
  回復期病棟における作業療法士の働き方と役割
  
第 II 章 脳卒中後の作業療法でおさえておきたい 14 テーマ
その1 急性期における作業療法  [髙橋佑弥]
  急性期病院と作業療法
  脳卒中急性期リハ
  脳卒中急性期リハにおける目標設定とOT の役割
  急性期における脳卒中後の転帰
  事例
その2 回復期の作業療法を円滑に進めるための管理運営  [村山幸照・小林勇矢]
  回復期で把握しておくべき関連法規
  効果的介入を実現するための運用上の工夫
  回復期における作業療法の役割
その3 回復期の作業療法における目標設定  [山口理恵]
  目標設定の総論
  目標設定のツールと評価指標
  事例
その4 回復期におけるADL・IADL に対するアプローチ  [平田篤志]
  ADL・IADL 総論
  ADL・IADL の評価
  ADL 評価とアプローチの実際
  IADL 評価とアプローチの実際
  事例
その5 回復期における脳卒中後の上肢麻痺に対するアプローチ  [竹林 崇・梶本千愛]
  エビデンスと最新の研究動向
  脳卒中後の上肢麻痺に対する評価指標
  回復期に用いることが可能な上肢機能アプローチ
  事例
その6 回復期における脳卒中患者に対する上肢装具およびポジショニング  [庵本直矢]
  上肢装具とスプリントの区分,使用目的
  上肢装具とスプリント療法のエビデンス
  ポジショニングの目的とOT の役割
  事例
その7 回復期における脳卒中患者に対するシーティング  [串田英之]
  脳卒中患者が座れなくなる理由
  脳卒中の運動麻痺の特徴と理解
  個別機能訓練外の座位・臥位の姿勢管理
  シーティングプロセス
  事例
  シーティング効果を測る方法
  まとめ
その8 回復期における脳卒中後の高次脳機能障害に対するアプローチ  [花田恵介]
  高次脳機能障害とは
  高次脳機能障害の分類
  高次脳機能障害に対するアプローチの実際
その9 回復期における血管性認知症およびその他の認知症に対するアプローチ  [山口智晴]
  認知症の定義ととらえ方,エビデンス
  血管性認知症
  認知症の評価
  認知症へのアプローチ
その 10 回復期における脳卒中後の抑うつ・アパシーに対するアプローチ  [新宮尚人・杉山善彦]
  エビデンスと最新の研究動向
  脳卒中後の抑うつ・アパシーに対する代表的な評価指標
  回復期に用いることが可能な脳卒中後の抑うつ・アパシーへのアプローチ
  患者へのアプローチ
その 11 回復期における脳卒中患者へのリハ栄養支援  [成田雄一]
  栄養管理の現状
  栄養評価
  リハ栄養の定義とケアプロセス
  事例
  おわりに
その 12 回復期における脳卒中患者に対する自動車運転支援  [加藤貴志・飯倉萌絵]
  回復期における自動車運転支援の流れ
  おさえておきたい道路交通法のポイント
  自動車運転関連評価
  検査による評価
  DSによる評価
  実車評価
  安全性向上に向けた取り組み
  事例
その 13 回復期における脳卒中患者に対する就労支援  [野々垣睦美]
  就労支援とは
  就労支援の流れ
  就労アセスメント
  支援の方法
  就労支援にかかわる制度・社会保障制度
  事例
その 14 回復期における脳卒中患者に対する退院準備支援  [生田純一]
  回復期リハにおける退院準備支援
  退院支援に際して必要な評価
  回復期リハで行う退院準備支援
  使用できる関連制度
  事例

【書評】作業療法士の「扉」を開く指南書|急性期・回復期でおさえておきたい脳卒中作業療法の心得

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