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ストレッチング介入における関節柔軟性変化のエビデンス

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ストレッチングは、理学療法士やトレーナー、セラピストによって日常的に実施される重要な介入法です。関節の柔軟性を向上させるために行われるこの技術について、どのような方法が最も効果的であるのか、またその効果の持続時間について、最新のエビデンスを基に解説します。

1. ストレッチングの種類と実施時間

一般的に行われるストレッチングには、スタティックストレッチングとダイナミックストレッチングの2種類があります。西九州大学の中村教授による研究によると、スタティックストレッチングの実施時間は10~60秒が一般的です。ウォーミングアップ時には平均21.8秒、クールダウン時には平均26秒のストレッチが行われています1)。この時間は、海外の文献と比較するとやや長めであり、外国では一つの筋肉に対して12~15秒のストレッチが一般的です。

2. 短時間ストレッチの効果

短時間のストレッチでも関節の可動域は増加するのか?中村教授の研究では、20秒間のスタティックストレッチを行った結果、関節の可動域は平均23.7度から29.4度まで増加しました。この効果は5分後には26.1度、10分後には24.8度まで減少しますが、即時的な効果は確かに認められます。一方で、筋硬度はストレッチ直後であっても変化しません。つまり、短時間のストレッチでも関節の柔軟性は向上し、その効果は少なくとも10分間持続することが分かっています2)

3. 長期的なストレッチングの効果

2023年の大規模なレビュー研究3)によると、長期的にストレッチを続けることで関節の柔軟性が著しく向上することが示されています。スタティックストレッチングやPNFストレッチング(プロプリオセプティブ・ニューロマスキュラー・ファシリテーション)など、筋収縮を伴うストレッチは、可動域の増加に最も効果的です。一方で、バリスティックストレッチングやダイナミックストレッチングも一定の効果がありますが、スタティックストレッチングやPNFほどの効果は期待できません。

4. ストレッチの最適な実施時間と頻度

ストレッチングの実施時間について、バンディ教授の研究によれば4)、30秒および60秒のストレッチが最も効果的であるとされています。15秒のストレッチでも効果はありますが、統計的に有意な差は認められません。週5回の頻度で30秒または60秒のストレッチを行うことが推奨されます。若者の場合、30秒のストレッチで十分な効果が得られますが、高齢者には60秒のストレッチがより効果的です5)

5. 一週間当たりの総ストレッチ時間

ストレッチの効果を最大化するためには、一週間あたりの総ストレッチ時間が重要です。研究によると、週に300秒以上のストレッチが推奨されます6)。この時間を達成するためには、例えば1回のセッションで30秒のストレッチを5回行う、または60秒のストレッチを週5回行うといった方法があります。さらに、一回のセッションを90秒に分割して行うことも効果的です7)

6. 継続的なストレッチの重要性

ストレッチの効果を持続させるためには、頻繁にストレッチを行うことが重要です。週に一度だけ長時間のストレッチを行うよりも、短時間のストレッチを頻繁に行う方が関節の柔軟性向上には効果的です。特に、高齢者や柔軟性が低い人には、週に5回以上の頻度でストレッチを行うことが推奨されます8)

まとめ

ストレッチングは関節の柔軟性を向上させるために非常に効果的な介入法です。短時間のスタティックストレッチでも即時的な効果があり、長期的な効果を得るためには定期的なストレッチが必要です。最適な実施時間は30秒から60秒であり、週に5回以上の頻度で行うことが推奨されます。継続的なストレッチを通じて、関節の柔軟性を向上させ、より効果的なリハビリテーションやトレーニングを実現しましょう。

引用文献

1)Takeuchi, K., Nakamura, M., Kakihana, H., & Tsukuda, F. (2019). A Survey of Static and Dynamic Stretching Protocol. International Journal of Sport and Health Science, 17, 72-79. Retrieved from.

2)Sato S.,Kiyono, R.Takahashi, N., Yoshida,T., Takeuchi,K, Nakamura, M. (2020). The acute and prolonged effects of 20-s static stretching on muscle strength and shear elastic modulus. PLOS ONE, 15(2), e0228583.

3)Konrad, A., Alizadeh, S., Daneshjoo, A., Hadjizadeh Anvar, S., Graham, A., Zahiri, A., Goudini, R., Edwards, C., Scharf, C., & Behm, D. G. (2024). Chronic effects of stretching on range of motion with consideration of potential moderating variables: A systematic review with meta-analysis. Journal of Sport and Health Science, 13(2), 186-194. 

4)Bandy, W. D., & Irion, J. M. (1994). The effect of time on static stretch on the flexibility of the hamstring muscles. Physical Therapy, 74(9), 845-850. 

5)Feland, J. B., Myrer, J. W., Schulthies, S. S., Fellingham, G. W., & Measom, G. W. (2001). The effect of duration of stretching of the hamstring muscle group for increasing range of motion in people aged 65 years or older. Physical Therapy, 81(5), 1110-1117. 

6)Thomas, E., Bianco, A., Paoli, A., & Palma, A. (2018). The relation between stretching typology and stretching duration: The effects on range of motion. International Journal of Sports Medicine, 39(4), 243-254. 

7)Johnson, A. W., Mitchell, U. H., Meek, K., & Feland, J. B. (2014). Hamstring flexibility increases the same with 3 or 9 repetitions of stretching held for a total time of 90 s. Physical Therapy in Sport, 15(2), 101-105. 

8)Nakamura, M., Sato, S., Hiraizumi, K., Kiyono, R., Fukaya, T., & Nishishita, S. (2020). Effects of static stretching programs performed at different volume-equated weekly frequencies on passive properties of muscle-tendon unit. Journal of Biomechanics, 103, 109670.

>>関節拘縮に対するストレッチングの効果、エビデンス

ストレッチング介入における関節柔軟性変化のエビデンス

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