週の真ん中水曜日の江原です。慢性疼痛の「過敏性」について悩まれたことはありますでしょうか?痛み関連での過敏性といえば、痛覚過敏が思い出されると思いますが、その他にも様々な過敏性が存在します。本日は慢性疼痛にみられる過敏性、聴覚過敏について書きたいと思います。
慢性疼痛の中枢神経感作
中枢神経感作(中枢性感作)とは通常、もしくは閾値以下の上行性刺激に対して、中枢神経システムにおける侵害受容ニューロンの感受性が増大することを指します。
痛みの領域においては、侵害刺激を受容した末梢の痛覚受容器から、脊髄や脳へインパルスが届く過程でインパルスが増強することや、疼痛抑制系機能が減弱することで生じる疼痛増強について述べられていることが多いです。
中枢神経感作は多くの慢性・難治性疾患において注目されており、線維筋痛症、顎関節症などの慢性一次性疼痛群に加え、過敏性腸症候群、レストレスレッグス症候群など中枢性感作症候群という疾患群を形成しています。
一般的には、繰り返される入力刺激によって、認知される感覚情報とその反応が中枢神経の要因によって増強する現象のことで、侵害刺激だけではなくその他の感覚、特殊感覚についても感覚入力の反復において確認できる現象です。
疼痛疾患においても、痛覚だけではない感覚モダリティの変容や過敏性が認められると報告されています。
アメリカの18~60歳の白人を対象にした痛みと感覚過敏の研究では、線維筋痛症(FM,n=27)、関節リウマチ(RA,n=28)、疼痛症候群のない健常対照者(n=28)の3群に分け、味覚/嗅覚、聴覚、視覚、触覚の感覚過敏についてどの程度当てはまるかについて調査が行われています。
FM群では、味覚・嗅覚、聴覚、触覚の各項目でRA群よりも優位に高値であり、慢性疼痛において痛覚以外にも感覚が便が存在するという結果が得られています1)。
聴覚過敏とは
聴覚過敏状態の患者は、響く、割れる、エコーがかかるというような表現で過敏性を伝えてきます。耳痛を伴うことが多く、不快感、恐怖、苛立ちなど、負の情動を持つ傾向があります。