外反母趾への介入方法のヒント
みなさん臨床で脳血管疾患や整形外科疾患の方々で、よく外反母趾を目にすることがあると思います。特に女性に多く、早いと10代から見られる場合もあります。
実際に症状が出ていて運動療法や徒手療法、薬物療法などを行っても改善せず、痛みが続く症例も経験したことがあると思います。
今回はそんな外反母趾への介入方法の一つとして「靴」が非常に有効であることを知っていただき、臨床に活かしていただきたいと思います!
弊社では「靴・インソール(以下、アーチサポート)」を理学療法の一つとして行っており、臨床だけでなく、小学校や地域ケアプラザなどに「足育」や「靴の重要性」を知ってもらう啓蒙活動も行っています。そこで培ってきた知識と技術を特別にお伝えさせていただきます!
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外反母趾のとは!?
母趾が第2趾の方に「くの字型」に曲がり、つけ根の内側部が突き出た状態です。
診断基準のひとつとして、母趾基節骨骨軸と第1中足骨骨軸のなす角度(外反母趾角Hallux valgus angle 以下、HV角)があります。
HV角が20度〜30度は軽度、30度〜40度が中等度、40度以上が重度に分類されます。
症状としては隆起部の疼痛、第1MTP関節痛、他趾との交差、歩行不安定などが挙げられます。
疫学的には女性に多く、またヒールをよく履く習慣があると発症リスクが高くなるという報告もあります。
では外反母趾の原因は何が挙げられるでしょうか?
まず先天的な要因としては
・足趾の形状
・遺伝
後天的な要因としては
・靴の不適合(ヒールをよく履く、サイズが合っていないなど)
・加齢や筋力低下
・肥満
先天的な要因と後天的な要因、どちらも特に日常的に必ず履く「靴」の影響が大きいことは言うまでもありません。これらは正しい靴選びと履き方が重要になります。
これらを考慮すると「靴選び」がまず重要になってくることがわかると思います。
間違った靴選びと正しい靴選び:
では靴選びにポイントがあることは過去にもお伝えしましたが、外反母趾の方で気をつけるべきポイントをお伝えしていきます。
まずは間違った靴選びです。
①サイズや幅が大きい靴
②クッション性が高すぎる靴
③留め具が紐ではない靴
④ヒール靴を履く
①サイズや幅が大きい靴
サイズや幅が大きい靴を履くことは、外反母趾の痛みが出る部分にあたりが弱くなるので、一時的に痛みを回避することはできます。しかし、サイズが大きい靴を選ぶと歩行時に足が靴の中で前滑りを起こし、アーチを保持できずに結果として外反母趾を悪化させてしまいます。
②クッション性が高すぎる靴
一見クッション性が高いことはいいことのように思えますが、クッション性が高いということは沈み込みが強まり、足部のアーチ機能などが低下している外反母趾の方ではより足部が不安定になり変形や痛みを助長してしまう可能性があります。
クッション性が高い靴は、ランニングシューズに多い傾向がありますが、これは走行という条件でクッション性が高いことの効果が発揮されるので、歩行をメインとした外反母趾の方にはおすすめはできません。
③留め具が紐ではない
靴の機能も様々ありますが、どんな靴でも調整の幅が無ければ外反母趾を改善することは難しいです。その中でも留め具は一番調整ができるので、靴を選ぶ際には非常に重要です。
留め具とは紐やベルト、ダイヤルなど様々ありますが、「紐」が一番調整がしやすく、足部の機能を高めることができます。
一番いけないのは留め具がない靴です!
足が靴の中で動いてしまい、余計なところに足部の機能を使わなければならず、外反母趾を悪化させる可能性が非常に高いです。
ベルトでも調子ができますが、細かい調整が紐ほどできないので、外反母趾や足のサイズ・幅の問題で紐靴が選べない際にはベルトの靴を選択する場合もあります。
④ヒール靴を履く
ヒールやパンプスはファッション性が高く、靴としての機能的な部分が足部には適していない靴になります。ヒールが高くなると前足部への負担が大きくなり、外反母趾を助長したり、それ以外のトラブルも起こりやすです。
そのため現在、外反母趾傾向の方や扁平足の方は予防的観点から履くことをおすすめしません。
仮に仕事やファッションにおいて履かなければならない、履きたい方には可能な限りヒールの低いもの(3cm以下)を選択してもらい、必ずベルトがついているものをすすめています!
上記を踏まえると正しい靴選びに大切なことは以下になります。
①紐靴
②靴のサイズと幅をできるだけ適正サイズに寄せる
③ハイヒールははかず、ヒールが適度な靴をはく
これらを踏まえて靴選びをすることで、外反母趾の進行を防げたり、症状の改善をすることができます!
痛みが出にくい履き方
では靴を選ぶだけで予防することができたり、症状を改善することはできるでしょうか?
答えはもちろん「NO」です!
そこで次に重要になるのが、「靴の履き方」になります。
靴の基本的な履き方についてはコチラの動画を参考にして下さい。
それでは外反母趾に対する靴の履き方を解説していきます。
ポイントは2つあります
①ヒールカウンターに踵骨をおさめる
②紐は骨突出部位に圧がかからないよう締める
①ヒールカウンターにしっかり踵骨をおさめる理由
通常の歩行では接地が踵から行われます。踵接地で踵骨が安定しなければ、その後の歩行周期において不安定になりやすいです。ここでヒールカウンターに踵骨がおさまると後足部が安定し、安定した歩行につながります。ここで踵骨が安定しないと外反母趾のみならず様々なトラブルが起きてしまう可能性が高まります。
またヒールカウンターに踵骨がおさまらなければ、前述した靴の中で足が前に滑ることにつながり、爪先やMTP関節に負荷が加わり痛みの原因になります。
②紐の締め方
足根中足関節(リスフラン関節)を固定すると足の3つのアーチ(内側・外側・横アーチ)が支えられ、足部が安定します。この関節は基本的には動いてはいけない関節のため、紐でしっかり安定させる必要があります。
また外反母趾の方は足部の内在筋の活動が低下している場合も多く、扁平足や横アーチの低下など様々な問題が併発していることがあります。そのため、母趾外転筋をはじめとする足部の内在筋の活動を高めるために、紐をしっかりと締めることで足部の内在筋の活動を補助することができます。
これらを行った上で、インソールを作成することで、アーチサポートの効果が最大限発揮されます!
インソールは靴を考慮せずに作成すると、狙った効果が得られず、痛みや変形を助長する可能性があるため注意が必要です。
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いかがだったでしょうか?
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