皆さん、こんにちは。火曜日担当の藤本裕汰です。本日もよろしくお願い致します。前回は腰椎圧迫骨折について解説しました。本日はその中でも説明した骨粗鬆症について解説していきます。
骨粗鬆症
骨粗鬆症は低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である
と定義されています1)。
有病率に関しては40歳以上で腰椎男性3.4%・女性19.2%、大腿骨頸部男性12.4%・女性26.5%と報告されています2)。また、有病率は年齢とともに増加します。
骨の強度に関しては骨密度と骨質の2つの要素から決定します。骨密度が70%を占め、残りの30%が骨質になります。そのため、骨密度が正常であっても骨折リスクがないとは限りません。
腰椎圧迫骨折や大腿骨頸部骨折は移動能力に影響を及ぼすため、非常に重要な問題となります。また、骨密度の低下が死亡率の上昇につながるとの報告3)もあり、様々な要素から介入や治療が必要になることが分かると思います。
骨粗鬆症の要因
骨は破骨細胞と骨芽細胞により代謝され、骨リモデリングと呼ばれるサイクルがあります。古い骨を壊して、新しい骨を形成するまで3ヶ月程度かかり、全身の3-6%の骨が常にリモデリングされています。この破骨と骨芽のバランスが崩れると骨強度の低下を認めます。
このリモデリングの際にカルシウムやビタミンDが必要なため、欠乏していると骨形成が不十分になります。その結果、骨密度の低下に繋がります。骨強度の低下には多様な要因が関与しており、以下のような要素が関わります。
【骨強度の低下】
骨強度 ↓ = 骨密度 ↓ + 骨質(構造 ↓・材質 ↓)
主な要因:
- 二次石灰化度の低下
- 微細構造劣化
- 骨基質の変化(ビタミンD・K不足)
- 骨吸収の亢進、骨形成の低下
- 酸化ストレス
- 加齢、エストロゲン欠乏、生活習慣病
骨粗鬆症性骨折の危険因子に関しては女性、高齢、低骨密度、既存骨折が挙げられます。他にも喫煙、飲酒、ステロイド投与、BMIなどが関わります。BMIに関しては高BMIが上肢骨折、低BMIが大腿骨近位骨折のリスクが上がります。
また、骨粗鬆症の骨折リスクを評価する方法としてFRAX®️があります。これは10年以内の骨折リスクを推定するツールです4)。
骨粗鬆症の診断
診断の流れに関しては①医療面接(病歴の聴取)、②身体診察、③画像診断、④血液・尿検査、⑤骨評価、⑥鑑別診断、⑦原発性骨粗鬆症の診断基準になります1)。