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日病協、電子処方箋署名サービス有償化に反発 厚労省に要望書を提出

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電子処方箋普及の阻害要因として、年間最大11万円の利用料発生に懸念

23日、日本病院団体協議会(日病協)は代表者会議後の記者会見で、HPKIセカンド電子証明書による電子処方箋リモート署名サービスの有償化について、厚生労働省に要望書を提出したと発表しました。

突然の有償化通知に困惑

望月泉議長は会見で、「電子処方箋の電子署名について、医療情報システム開発センター(MEDIS)から突然、利用料有償化の通知がありました」と説明しました。具体的には、許可病床数に応じて年間5.5万円(400床未満)または11万円(400床以上)の費用が発生し、2025年6月末までに支払われない場合、7月からサービスが利用停止となります。

現在、電子処方箋を運用している病院は954施設、利用申請済みは2,710施設に上ります。HPKIセカンド電子証明書は、従来のHPKIカードが半導体不足の事情で新規発行が困難な状況を受け、1日1回の認証で済む利便性から広く使われています。

厚労省は「検討する」と回答

日病協は同日午前、福岡資麿厚生労働大臣宛てに要望書を提出し、城克文医薬局長と面談しました。要望内容は以下の2点です。

  1. 1.HPKIセカンド電子証明書による電子処方箋リモート署名サービス利用料有償化の見直し
  2. 2.サービス提供者(MEDIS)に対する公的補助の再開

医薬局長からは「ランニングコストとしては補助金が出せませんが、必要なことだと思うので検討します」との回答を得たということです。

医療DX推進の流れに逆行

望月議長は「電子処方箋は国が先頭に立って進めている話であり、突然の有償化には驚いています」と述べ、「医療DXの基盤となるサービスを有償化することは、普及促進の流れに逆行するもの」と強く批判しました。

有償化の背景として、MEDISは以下を説明しています。

  • 公的補助金が年々減少し、2024年は補助がなかったこと
  • 災害対応未実装のため、開発費と維持費の増額が見込まれること

ICU管理料の格差是正も議論

会見では、5月22日に開催された入院外来医療等の調査評価分科会についても報告されました。特定集中治療室管理料5・6(宿日直許可による)と1〜4(交代制勤務)の点数格差について、患者の重症度に実際の差があるかどうかをSOFAスコアなどのデータで検証し、要望を検討する方針を示しました。

また、回復期リハビリテーション病棟における栄養連携体制加算の算定率が9%と低迷している問題についても言及しました。土日のリハビリ実施要件(平日の8割以上)の厳しさが主因であることが報告されました。

今後の対応

日病協は厚労省の検討結果を待ちつつ、MEDISに対しても6月以降のサービス停止回避を求める要望を行う方針です。電子処方箋の普及促進に向け、継続的な働きかけを行っていく考えを示しました。

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