目次
- 「不器用」で片付けていませんか
- DCDとは何か
- なぜ見逃されるのか
- 年齢別のサイン
- 家庭でできる簡易チェック
- 早期発見で何が変わるか
- 専門家に相談すべきタイミング
- 療法士である親だからこそできること
- 参考文献
「不器用」で片付けていませんか
「うちの子、ちょっと不器用なんです」
小児リハの現場でも、保護者からこの言葉をよく聞きます。箸がうまく使えない。ボタンがかけられない。縄跳びが何度練習してもできない。体育でいつもビリ。
多くの場合、「まあ、そのうちできるようになるでしょう」で終わります。
でも、その不器用さが単なる個人差ではなく、脳の協調機能の発達に関わる問題だとしたらどうでしょうか。
発達性協調運動障害、英語でDevelopmental Coordination Disorder、略してDCD。この名前を聞いたことがある方は、まだ少ないかもしれません。しかし2024年に発表されたメタ分析によれば、DCDの有病率は5%。30人クラスに1〜2人いる計算です。決して珍しい障害ではありません。
この記事では、子どもを持つ療法士の皆さんに向けて、DCDの基礎知識から家庭でできる簡易チェック、そして専門家への相談タイミングまでをまとめます。自分の子どもを見る目が、少し変わるかもしれません。
DCDとは何か
DCDは、神経疾患や知的障害がないにもかかわらず、協調運動の習得や遂行に著しい困難を示す神経発達症です。DSM-5では以下の4つの診断基準が定められています。
A. 協調運動技能の習得や遂行が、年齢や学習機会に比して著しく劣る
B. 運動技能の欠如が日常生活に支障をきたしている
C. 症状の発症は発達期早期である
D. 運動技能の欠如は、知的障害や視覚障害、運動に影響する神経疾患では説明できない
要するに、原因となる病気がないのに、同年齢の子どもと比べて明らかに運動が苦手で、それが生活に支障をきたしている状態です。
有病率のエビデンス
2024年にFrontiers in Pediatrics誌に掲載されたLiらのメタ分析は、18研究・31,203名のデータを統合しました。
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全体の有病率メタ分析
5%
18研究・31,203名のデータを統合
解釈:30人クラスに1〜2人いる計算
Li et al., 2024
男女差性差
男児7% / 女児4%
男児のほうがやや多い傾向
解釈:男児は約1.75倍のリスク
Li et al., 2024
早産児リスク因子
21%
37週未満で出生した児
解釈:一般児の約4倍のリスク
Li et al., 2024
極低出生体重児リスク因子
31%
1,250g未満で出生した児
解釈:NICUを経験した児は要注意
Li et al., 2024
他の発達障害との併存
DCDは単独で存在することよりも、他の発達障害と併存することが多いです。厚生労働省のDCD支援マニュアルによれば、ADHDの55%、自閉スペクトラム症の79%に協調運動の問題が認められます。「発達障害」という言葉を聞くと、コミュニケーションや注意の問題を思い浮かべがちですが、運動面の困難も見逃せない要素です。
なぜ見逃されるのか
DCDがこれほど高頻度でありながら、あまり知られていないのはなぜでしょうか。






