キャリアコンサルタントが徹底サポート

リハビリ職のキャリアは「短い」のか ── データと現場感のあいだで

107 posts

「同期がもういない」「中堅が続かない」── 現場で繰り返し聞かれる声。平均勤続年数8.4年という数字も、しばしば「短い」の根拠として引用されます。しかし本当に短いのか。若い職業であること、バーンアウトの実態、中堅層の空洞化。日本の統計と国際研究を重ねて、この問いを解きほぐします。

目次

気づけば、同期がいなくなっていた

入職して数年。ふと周りを見渡すと、同期の顔ぶれが変わっている。

「あの人、辞めたんだ」「転職したらしいよ」。そんな会話が増えてきた。残っているのは自分を含めて数人。あの頃一緒に悩んでいた仲間は、今どこで何をしているのだろう。

辞めた人たちは、決して能力が低かったわけではありません。むしろ、患者のことを真剣に考え、丁寧に向き合っていた人が多かった。だからこそ、理想と現実のギャップに苦しんでいたのかもしれません。

リハビリ専門職のキャリアは、思ったより短いのではないか──。現場では、そう感じる瞬間が繰り返し訪れます。しかし、そう言い切れるだけの根拠はあるのでしょうか。

「短い」は本当か──データを問い直す

「リハ職のキャリアは短い」という言説をよく目にします。まずは、その根拠とされる数字を確認します。

単純比較では確かに「短く」見える

厚生労働省 令和7年(2025年)賃金構造基本統計調査

理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士(4職種合算)の平均勤続年数は8.4年。同調査における一般労働者全体の平均勤続年数は約12年台です。両者を並べれば、確かにリハ職は約4年短い。

※2020年以降、賃金構造基本統計調査ではPTは作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士と合算して集計される仕様に変わっています。

しかし、この比較は交絡因子を見落としている

勤続年数は、年齢とほぼ比例して増える指標です。同じ職場に30歳の人と50歳の人がいれば、当然後者の勤続年数は長い。だから、職種ごとの勤続年数を比較するときは、平均年齢を見なければなりません。

⇆ 横にスワイプして比較できます

リハ職(PT/OT/ST/視能訓練士)令和7年

勤続 8.4年

平均年齢 36.2歳/労働者数 約28万人

令和7年賃金構造基本統計調査

看護師令和6年

勤続 9.4年

平均年齢 41.2歳。リハ職より5歳年上で、勤続年数の差は1年

令和6年賃金構造基本統計調査

一般労働者 全体令和6年

勤続 約12年

平均年齢 約43〜44歳。リハ職より7〜8歳年上

令和6年賃金構造基本統計調査

同じ医療専門職である看護師(平均41.2歳、勤続9.4年)と比べると、リハ職(平均36.2歳、勤続8.4年)の勤続年数は、年齢差約5歳に対して1年短いだけです。つまり、年齢構造を考慮すれば、リハ職の勤続年数は「極端に短い」とは言い切れない水準にあります。

なぜリハ職は若いのか

リハ職が若い理由は、職業そのものが比較的若いからです。理学療法士の国家資格制定は1966年。養成校の急増は2000年代以降で、PT有資格者21万人の多くが2010年代以降に資格を取得しています。作業療法士、言語聴覚士も同様です。

業界全体がまだ若いために、平均年齢が低く、結果として勤続年数も見かけ上短く見える。これは「辞めが多い」のではなく、「業界がまだ成熟途上」という側面が大きいのです。

リハビリ職のキャリアは「短い」のか ── データと現場感のあいだで

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事