控除対象外消費税の「一部還付など」具体策検討へ ── 日本病院会5月中の提言発信めざす

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日本病院会は4月28日のWeb定例記者会見で、病院経営を圧迫する「控除対象外消費税(損税)」への対応方針を明らかにしました。抜本策であるゼロ税率化を長期目標に掲げつつ、当面は消費税の一部還付などの具体的な制度の創設を優先的に要望していく構えです。連休明け、5月11日程度をめどに具体案をまとめ、5月中に提言として発信する考え。病院経営が悪化すれば、リハビリ部門の人員配置や機器更新にも影響が及びかねない。PT・OT・STにとっても、その動向は注視しておきたいテーマです。

「診療報酬での補填はもう限界」── 抜本策と当面策の二段構え

4月24日にひらかれた常任理事会では、消費税問題をめぐる3回目の議論が行われ、論点を集約していく方向でまとまりました。会見ではその内容が報告されています。

そもそも社会保険診療は非課税。医療機関は患者から消費税を受け取れない一方で、医薬品や医療機器の仕入れにかかる消費税は負担しなければなりません。この「控除対象外消費税」が経営を圧迫してきた構造は、長らく指摘されつづけてきた課題です。

厚生労働省は「診療報酬のなかで補填している」との立場をとっていますが、日本病院会の相澤孝夫会長はこの説明に疑問を投げかけます。「調査をすると、病院ごとにかなりのばらつきがある」。診療報酬に含まれているとされる約3.77%という補填分についても、「算定の根拠について十分な検証がなされていない」と踏み込みました。過去公表分の補てん率集計で複数の誤りが判明した経緯にも触れています。

マクロでみれば帳尻が合っているようにみえても、一般病院、公立病院、大規模病院といった施設類型ごとに補填不足の度合いには大きな差がある。これが赤字の主因のひとつになっている、というのが日本病院会の見立てです。

ゼロ税率は長期目標、緊急策として一部還付などを要望

相澤会長は、根本的な解決策としては「課税取引としたうえでのゼロ税率方式」が有効との認識をあらためて示しました。ただ、税制改正のハードルは高く、実現には相当な時間がかかる。「基本方針として崩さず、長期的に実現をめざす」というのが日本病院会のスタンスです。

そのうえで、いまの厳しい経営状況をふまえれば、悠長に構えてはいられない。当面の緊急対応として打ち出されたのが、「控除対象外消費税の一部還付などの具体的な制度の創設を優先的に検討・要望していく」という方針でした。

背景にあるのが、自由民主党と日本維新の会の連立政権合意です。このなかには「高度医療機器および設備の更新等にかかる現在の消費税負担のあり方の見直しを検討する」との文言が盛り込まれています。日本病院会はこの合意を足がかりに、具体的な制度設計を提案し、各方面へ働きかけていく考えを示しました。

質疑応答 ── 「還付か、支援金か」 制度の形は今後つめる

質疑では、一部還付の仕組みを今後つめていくのかと問われ、相澤会長は「税として還付するのか、あるいは経営支援という形の支援金にしていくのか、方法はさまざまある。何がよいのか、具体的な案をまとめていきたい」と答えました。制度の形そのものが、いまだ複数の選択肢として残っていることがうかがえます。

関係者の意見をどう集約するかについても質問が出ました。相澤会長は「理事会などの会議をひらくのはなかなかむずかしい。メール等で方向性や具体案をしめし、意見を求めるかたちになる」と説明しています。

まとめ・今後の展望

今回の会見で固まったのは、つぎの二段構えの方針です。

ひとつは、抜本策としてのゼロ税率方式を長期目標として堅持すること。もうひとつは、当面の緊急対応として、控除対象外消費税の一部還付などの具体的な制度を優先的に要望していくこと。

今後のスケジュールは、連休明け、5月11日程度をめどに具体案をとりまとめ、メール等で関係者の意見を集約したうえで、5月中に日本病院会としての提言を発信する予定です。

会見の最後、相澤会長は6月から新たな診療報酬によるレセプト提出がはじまることにも触れ、「今年は激動の年になると見ている」と語りました。診療報酬改定への対応と、消費税問題への要望活動。ふたつの動きが同時並行で走る局面に、日本病院会は入っていきます。

控除対象外消費税の「一部還付など」具体策検討へ ── 日本病院会5月中の提言発信めざす

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