認知症の病名だけでは脳血管リハは原則認められない 審査支払機関が公表するリハビリの「統一取扱い」7テーマ

273 posts

提出したレセプトが査定されるかどうかは、法令や通知を踏まえた各審査委員会の医学的判断に委ねられています。ただし取扱いを揃えられた部分は公表されており、社会保険診療報酬支払基金が849事例、国民健康保険中央会が別の一覧を出しています。リハビリテーション料に関する論点は7テーマ。認知症の病名だけでは脳血管疾患等リハビリテーション料は原則認められず、自閉症スペクトラム障害では原則認められる、という線引きが示されています。

審査の取扱いが「統一された事例」とは

医療機関が出したレセプト(診療報酬明細書)を点検し、保険者に請求をつなぐのが審査支払機関です。健康保険などの被用者保険を担うのが社会保険診療報酬支払基金(支払基金)。国民健康保険と後期高齢者医療は各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連合会)が担い、その中央団体が国民健康保険中央会(国保中央会)にあたります。

審査そのものは、健康保険法、療養担当規則、診療報酬点数表と関係通知を踏まえて、各審査委員会の医学的見解に基づいて行われます。同じ請求内容でも地域や委員会によって判断が分かれうる構造です。そこで両機関は、審査の公平性と透明性を高めるため、取扱いを統一できたものを事例として公表してきました。

支払基金が公表しているのは2系統あります。ひとつが「審査情報提供事例」で、平成16年7月に設置された審査情報提供検討委員会が扱ってきたもの。医科は82事例で、内訳は検査53、画像診断12、処置7、手術4、麻酔3、病理診断2、入院料等1です。リハビリテーションの区分はここにありません。

もうひとつが「支払基金における審査の一般的な取扱い(医科)」です。平成29年1月から平成31年3月までは公表に関する検討委員会が、平成31年4月以降は「審査の一般的な取扱いに関する検討委員会」等が検討しています。第1回の公表は平成29年4月24日の9事例。直近の第38回は令和8年7月31日に12事例が加わり、累計849事例になりました。リハビリテーション料の事例は、こちらに収められています。

849事例のうち、リハビリテーションは6件

849事例を診療項目別にみると、検査306件と投薬242件で全体の6割を超えます。以下、手術89件、注射68件、処置60件、画像診断29件、病理診断14件、麻酔12件、医学管理等7件と続き、リハビリテーションは6件でした。入院料等4件、精神科専門療法4件、放射線療法3件、その他3件、在宅医療1件、食事1件がこれに続きます。

図1 支払基金「審査の一般的な取扱い(医科)」849事例の診療項目別内訳

この6件は、いずれも右上に「支払基金・国保統一事例」と表示されています。支払基金の説明によれば、この表示は国保中央会から合意が得られたものを指します。合意に向けて検討中の段階では「支払基金統一事例」と表示され、実際に第38回で公表された12事例のうち1件は、まだこの段階にとどまっています。

⇆ 横にスワイプして確認できます

事例66

上腹部悪性腫瘍の開腹手術前後のH003呼吸器リハビリテーション料

原則として認められる

令和6年2月29日公表

事例177

K476乳腺悪性腫瘍手術後のH002運動器リハビリテーション料

術式により可否を区分

令和6年5月31日公表/令和8年6月1日更新

事例660

未破裂脳動脈瘤術後のH001脳血管疾患等リハビリテーション料

原則として認められない

令和7年8月29日公表

事例683

パーキンソン症候群のH001脳血管疾患等リハビリテーション料

原則として認められる

令和7年9月30日公表

事例684

原因疾患のない筋力低下のH002運動器リハビリテーション料

原則として認められない

令和7年9月30日公表

事例828

自閉症スペクトラム障害等のH001脳血管疾患等リハビリテーション料

原則として認められる

令和8年4月30日公表

認められないとされた2件 未破裂脳動脈瘤術後と、原因疾患のない筋力低下

事例660は、未破裂脳動脈瘤の術後に対するH001脳血管疾患等リハビリテーション料です。留意事項通知が示す対象患者は脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脳炎、急性脳症、髄膜炎等であり、未破裂脳動脈瘤はこれらに該当しない、というのが理由です。ただし術後に脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などを実際に合併し、その合併病名がレセプトに記載されている場合は算定を認めるとされています。病名を追加すれば算定できる、という趣旨ではありません。

事例684は、原因疾患のない筋力低下に対するH002運動器リハビリテーション料。特掲診療料の施設基準等(別表第九の六)は、対象を「急性発症した運動器疾患又はその手術後の患者」と「慢性の運動器疾患により、一定程度以上の運動機能及び日常生活能力の低下を来している患者」に限っています。原因疾患のない筋力低下は後者にも当たらないと整理されました。筋力低下だけを傷病名としてH002を算定した請求は、原因となる運動器疾患が確認できなければ原則として認められない、という取扱いです。

認められる

認知症の病名だけでは脳血管リハは原則認められない 審査支払機関が公表するリハビリの「統一取扱い」7テーマ

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事