O003 / 第14部 その他 / 第1節 ベースアップ評価料等

入院ベースアップ評価料(1日につき)

入院患者を持つ保険医療機関が、対象職員の賃金改善を実施することを評価する加算。区分1〜数百の多段階構造で、各区分Nの点数はそのままN点(区分1=1点、区分10=10点、区分50=50点等)。区分は対象職員数・月額賃金総額・1月あたりの延べ入院患者数から算出。入院基本料、特定入院料、短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)を算定している入院患者について1日につき1回算定。令和8年度改定では注5(継続賃上げ加算)が新設され、継続賃上げ実施の保険医療機関には所定点数に代えてより高い代替点数が設定。届出には3月の給与支払い実績が必要。

編集部注記本ページは厚生労働省の告示・通知・疑義解釈資料を編集部が整理したものです。改定前=令和6年6月1日〜令和8年5月31日、改定後=令和8年6月1日施行。さらに令和9年6月以降の段階的引き上げが組み込まれています。最終的な算定可否は厚労省発出資料および所管の地方厚生局にご確認ください。
改定の要点(5点)
  • 多段階区分構造。区分N(N=1〜数百)で、点数は区分番号と同じN点(1日につき)。区分1=1点、区分10=10点、区分100=100点。
  • 1日につき1回算定。入院基本料(特別入院基本料等を含む)、特定入院料、短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)を算定している入院患者が対象。
  • 区分計算は対象職員数・月額賃金総額・1月あたり延べ入院患者数から算出。届出には届出前3月における給与の支払い実績が必要(疑義解釈その2 問3)。
  • 注5(継続賃上げ加算)を新設。継続して賃上げに係る取組を実施した保険医療機関は、所定点数に代えて高い代替点数を算定(令和8年6月〜)。
  • 注6(令和9年6月以降の段階的引き上げ)。令和9年6月以降は所定点数および注5代替点数が更に引き上げられる段階的措置が組み込まれている。

基本情報(令和8年度改定後)

算定点数の構造(区分1〜数百)

点数のパターン
O003 入院ベースアップ評価料は多段階区分構造で、各区分Nの点数はそのままN点(1日につき)
例:区分1=1点、区分5=5点、区分10=10点、区分50=50点、区分100=100点、区分200=200点、区分300=300点。
区分は対象職員数・月額賃金総額・1月あたり延べ入院患者数から算出した値で決まる(詳細は施設基準通知の計算式を参照)。

算定点数表(代表区分・所定点数)

区分N=N点(1日につき) / 区分は対象職員数・月額賃金総額・延べ入院患者数から計算
区分 点数(1日につき)
区分11
区分1010
区分5050
区分100100
区分150150
区分200200
区分300300

※ 区分N=N点。N=1〜数百区分まで設定されている。注5(継続賃上げ加算)・注6(令和9年6月以降の引き上げ)等の段階的措置は告示原文・施設基準通知を参照。

算定要件(注書きまとめ)

注書きの構造
  • 注1(算定対象):対象職員の賃金改善体制につき施設基準に適合し届出した保険医療機関の入院患者であって、第1章第2部第1節入院基本料(特別入院基本料等を含む)、第3節特定入院料、第4節短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)を算定しているものについて、区分に従い1日につき1回所定点数を算定。
  • 注5(継続賃上げ加算)新設:継続して賃上げに係る取組を実施した保険医療機関は、所定点数に代えて高い代替点数を算定。
  • 注6(令和9年6月以降の段階的引き上げ):令和9年6月以降は所定点数・注5代替点数が更に引き上げ。

対象職員・区分計算の取扱い

留意事項通知 O003 / 疑義解釈より
対象職員はO001(Ⅰ)・O002(Ⅱ)と同じ:当該保険医療機関に勤務する職員(40歳以上の医師・歯科医師、業務委託職員を除く)。開設者・管理者・法人代表者・役員は対象外。
区分計算に当たっては、派遣職員についても一定要件下で対象職員に含めて計算可能。区分計算の「月額賃金総額」については、派遣職員の賃金改善に伴い増加する消費税分は含めない(疑義解釈その4 問2)。
対象職員数に1割以上の変動があった場合、改めて区分を算出して区分の変動があれば、算出を行った月内に地方厚生(支)局長に届出を行った上で、翌月から変更後の区分に基づく点数を算定する(疑義解釈その3 問4)。
届出には届出前3月における給与の支払い実績が必要(疑義解釈その2 問3)。

算定対象患者・対象入院料

告示原文 O003 注より
別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関に入院している患者であって、以下のいずれかを算定しているものについて、当該基準に係る区分に従い、それぞれ所定点数を算定する:
・第1章第2部第1節の入院基本料(特別入院基本料等を含む)
・同部第3節の特定入院料
・同部第4節の短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)
なお、対象職員の賃金の改善を図る体制を整備していることが必要。

改定の根拠(中医協答申 短冊原文)

中医協答申(短冊)原文 ─ 賃上げに向けた評価の見直し出典: 個別改定項目について p.18-26(Ⅰ-2-1-①)

第1 基本的な考え方

看護職員、病院薬剤師その他医療関係職種の確実な賃上げを更に推進するとともに、令和6年度診療報酬改定で入院基本料や初・再診料により賃上げ原資が配分された職種についても他の職種と同様に賃上げ措置の実効性が確保される仕組みを構築する観点から、賃上げに係る評価を見直す。

第2 具体的な内容

1. 入院医療、外来医療及び在宅医療等の医療提供体制を支える、保険医療機関に勤務する幅広い職員の人材確保及び確実な賃上げを実施する観点から、賃上げの対象となる職員に係る要件及び評価を見直す。

2. 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)並びに歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)について、継続的に賃上げを実施している保険医療機関とそれ以外の保険医療機関において異なる評価を行う。また、令和8年度及び令和9年度において段階的な評価とする。

改定後の点数(令和8年6月〜)

1 初診時 17点 / 2 再診時等 4点 / 3 訪問診療時 イ 同一建物居住者等以外の場合 79点 / ロ イ以外の場合 19点

改定前の点数(令和6年度)

1 初診時 6点 / 2 再診時等 2点 / 3 訪問診療時 イ 同一建物居住者等以外の場合 28点 / ロ イ以外の場合 7点

注5(新設)

別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た保険医療機関において、継続して賃上げに係る取組を実施した保険医療機関については、1、2並びに3のイ及びロの所定点数に代えて、それぞれ31点、6点、107点及び21点を算定する。

注6・注7(令和9年6月以降の段階的引き上げ)

注6:1から3までに規定する点数について、令和9年6月以降においては、それぞれ所定点数の100分の200に相当する点数により算定する。
注7:注5に規定する点数について、令和9年6月以降においては1、2並びに3のイ及びロの所定点数に代えて、それぞれ52点、10点、173点及び32点を算定する。

出典: 厚生労働省「個別改定項目について」(中医協答申資料)Ⅰ-2-1-① 賃上げに向けた評価の見直し p.18-26

留意事項通知 抜粋(保医発0305第6号)

O003 評価料の趣旨
入院ベースアップ評価料は、保険医療機関に勤務する対象職員の賃金の改善を実施することについて評価したものであり、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合した保険医療機関に入院している患者であって、入院基本料(特別入院基本料等を含む)、特定入院料又は短期滞在手術等基本料(短期滞在手術等基本料1を除く)を算定しているものについて、1日につき1回に限り算定できる。
O003 区分計算の考え方
O003の区分は、対象職員数・月額賃金総額・1月あたりの延べ入院患者数を基に計算する。区分計算の「月額賃金総額」については派遣職員の賃金改善に伴い増加する消費税分は含めない(疑義解釈その4 問2)。
対象職員数に1割以上の変動があった場合、改めて区分を算出して区分の変動があれば、算出を行った月内に地方厚生(支)局長に届出を行った上で、翌月から変更後の区分に基づく点数を算定する(疑義解釈その3 問4)。
医療観察法制度等の公費負担医療や労災保険制度等によりO003が算定される患者の診療回数(入院日数)についても区分計算に算入する(自由診療の患者は除く。疑義解釈その3 問2)。

関連する疑義解釈 Q&A(原典抜粋)

Q 看護職員処遇改善評価料を用いた賃金の改善措置の対象者及びベースアップ評価料の対象職員には、派遣職員など、当該保険医療機関又は当該訪問看護ステーション等に直接雇用されていないものも含むのか。
A 以下の要件を満たす医療機関等については、派遣職員(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律第2条第2項に該当する職員)に限り対象とすることを可能とする。なお、業務委託職員(請負業務を行う職員)については対象外。要件:①当該派遣職員について、派遣元と相談・協力した上で、当該保険医療機関に勤務する職員と同程度以上の賃金改善を行う、②区分計算に当たって対象職員に含めて計算、③看護職員処遇改善評価料及びベースアップ評価料を用いて賃金改善を実施した場合、賃金改善実績報告書等に当該派遣職員を含めて作成・提出。
出典: 疑義解釈資料(その1)別添2 問2(令和8年3月23日付事務連絡)
Q 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)について「1日につき」という文言が令和8年度診療報酬改定で削除されたが、その趣旨如何。
A 同一の保険医療機関内において同一日に他の傷病について、新たに別の診療科を初診として受診した場合並びに再診料の「注3」及び外来診療料の「注5」に規定する同一保険医療機関において、同一日に他の傷病で別の診療科を再診として受診した場合の2つ目の診療科についても、外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)及び歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)・(Ⅱ)を算定可能とする趣旨である。
出典: 疑義解釈資料(その2)別添2 問4(令和8年3月31日付事務連絡)
Q 新設した保険医療機関、保険薬局又は訪問看護ステーションにおいて、ベースアップ評価料の届出を行うに当たって、対象職員に対する給与の支払い実績は必要か。
A 必要。ベースアップ評価料の種類に応じて以下のとおり:
・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)、調剤ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅰ)については届出前の1月における給与の支払い実績が必要。
・外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、歯科外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料、訪問看護ベースアップ評価料(Ⅱ)については届出前の3月における給与の支払い実績が必要。
出典: 疑義解釈資料(その2)別添2 問3(令和8年3月31日付事務連絡)
Q ベースアップ評価料について、賃金の改善は算定開始月から実施する必要があるか。
A 原則として算定開始月から賃金改善を実施し、算定する月においては継続する必要がある。なお、6月から翌年5月の1年間に算定した当該評価料による収入を、当該年の4月から翌年3月の賃金改善に充当することは差し支えない。ただし、条例の改正が必要であること等やむを得ない理由により算定開始月からの賃金改善が実施困難な場合は、同年度末までに算定開始月(又は当該年の4月)まで遡及して賃金改善を実施する場合に限り、算定開始月から賃金改善を実施したものとみなすことができる。
出典: 疑義解釈資料(その2)別添2 問5(令和8年3月31日付事務連絡)
Q 令和8年度診療報酬改定において、令和8年度及び令和9年度にそれぞれ3.2%分のベースアップ実現を支援するための措置(看護補助者及び事務職員についてはそれぞれ5.7%)が講じられたところ、ベースアップ評価料を算定しても3.2%及び5.7%のベースアップを達成できない場合であっても、ベースアップ評価料は算定できるのか。
A 可能。ただし、施設基準に定めるとおり、当該評価料により得られる収入は、全て、対象職員の基本給又は決まって毎月支払われる手当の引上げ及びそれに伴う賞与、時間外手当、法定福利費(事業者負担分等を含む)等の増加分に用いること。
出典: 疑義解釈資料(その2)別添2 問7(令和8年3月31日付事務連絡)
Q 外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)及び(Ⅱ)、入院ベースアップ評価料の対象職員について、保険医療機関の開設者及び管理者並びに法人の代表者及び役員はいずれも含まれないか。
A そのとおり。(対象職員には含まれない)
出典: 疑義解釈資料(その4)別添2 問1(令和8年4月21日付事務連絡)

厚生労働省 一次資料

本ページは厚生労働省が公表した告示・通知・疑義解釈資料を編集部が整理したものです。 個別具体的な算定の可否や施設基準の充足判断については、所管の地方厚生局またはお手元の保険医療機関の事務担当者にご確認ください。 記載内容は最新情報を反映するよう努めていますが、最終的な解釈は厚生労働省の発出資料をご確認ください。

算定点数・要件・期間等は告示原文(令和8年厚労省告示第69号)、留意事項通知(保医発0305第6号)、施設基準通知(保医発0305第8号)、疑義解釈資料(その1〜その4)を一次資料として確認。二次資料との突き合わせクロスチェックを実施。

← 特集トップに戻る