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糖尿病の投薬について生理学的に理解する

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糖尿病

低血糖症状で、訪問リハをキャンセル?

 

A さん
私が担当しているご活用者様◯◯様、先ほど奥様から電話連絡があり「今朝、なかなか起きてこないので寝室に行ったら、ぐっすり寝ていて声かけにも応答せず、何かおかしいなと思っていると、口をパクパク開けて…これは様子がおかしいと思い救急車を呼んで△△病院に運ばれました」という事で当分のあいだ、訪問リハビリはキャンセルとなります。
生理 マナブくん
Aさん,そうなんですか.ちなみに原因は何なんでしょうか?
A さん
奥様が病院の先生に指摘されたのは「おそらく風邪を引いて下痢や嘔吐が続いていたにも関わらず、糖尿病薬はしっかりと欠かさず内服していたことによる低血糖ではないか」とのことのようです。
生理 マナブくん
えっ!?Aさん、それはどういうこと?
A さん
実は年末最後の訪問をしようとしたら、奥様から「主人風邪を引いたらしく下痢・嘔吐の症状が出ております。ですので年末最後の訪問ですが、お休みさせていただきたいと思います。宜しくお願い致します」と電話連絡があったのですよ。
生理 マナブくん
それでAさんはどの様に対応したの?
A さん
「わかりました。お大事にしてください」と伝えました。奥様からは、訪問指示書を出してくれている主治医のところに受診する予定だからとも言ってましたし。
生理 マナブくん
Aさん、それはLE訪問看護リハステーション(以降LE)の「生活・生命を守る」という理念に反しているよ。その対応の不適切さが、今回の低血糖症状らしき状態を引き起こしましたね。地域理学療法としての自覚をもっと持ってください。
A さん
・・・すみません。
生理 マナブくん
 今回のことを二度と起こさない様、そしてAさんが将来後輩指導において、後輩が担当になったご活用者様が、この様な生活生命を脅かす事象に遭遇する前に事前に予防できるよう、今回のケースをしっかりとフィーッドバックしていきましょう。
A さん
はい。

 

 

糖尿病についてもう一度復習

 

生理 マナブくん
では早速ですが、糖尿病とは何ですか?知っている知識を復習しましょう。
A さん
糖尿病はインスリン分泌が障害され、細胞に糖が正常に取り込めなくなり慢性の高血糖になることです。糖尿病の3大合併症として網膜症/腎症/神経症があります。治療としては、インスリンの注射、私たちリハビリとしては、食事療法の指導と運動療法が推奨されています。
生理 マナブくん
そうですね。概要は抑えてますね。しかし、ここLEでは、ご活用者様の生活生命を守る使命があるので、リハビリだけに特化した知識だけではなく、病態知識もしっかりと持ちご活用者様の全身状態を把握する必要があります。それが理念でもある安心安全に生活してもらう、につながるのです。
では、Aさんに質問です「糖尿病はインスリン分泌が障害される」と言ってましたが、それだけですか?
A さん
えっ、それ以外にあるのですか...すみません分かりません。
生理 マナブくん
ここがまず一つのポイントです。糖尿病は、インスリン分泌障害タイプとインスリンが分泌されるが効きにくくなっている状態、つまりインスリン抵抗性亢進が病態としてあげられます。それによって、医師の治療方針、つまり薬物療法の方法が異なるのです。
A さん
すみません、これが何に大切なのかイメージできないのですが…

 

 

内服薬の確認は必須

 

生理 マナブくん
では、インスリン治療の代表的なものは何ですか?
A さん
インスリン注射だと思いますが。
生理 マナブくん
そうですね。このインスリン注射はインスリン分泌障害の方に対して行う治療としてよく聞きますよね。では、Aさんが担当したご活用者様はインスリン注射を行っていましたか?
A さん
いや、インスリン注射は行っていませんでした。
生理 マナブくん
では、ご活用者様はどのような糖尿病治療をされていたのですか?
A さん
インスリンの薬を内服していたような…
生理 マナブくん
カルテから内服薬をしっかりと確認しましょう。
A さん
すみません、確認してみます。
グリミクロンという薬が処方され内服しているみたいです。
生理 マナブくん
内服薬を理解しておくことが重要なのです。リハビリスタッフでも、地域理学療法として責任ある専門職になるためには、しっかりと抑えましょう。さて、グリミクロンというお薬、調べてみましょう。何か見つかりましたか?
A さん
はい。スルホニル尿素 (SU)薬とあります。そこには、インスリン分泌促進系とも書いてあります。
生理 マナブくん
そう、そこです。一つ目のポイントとして指摘した内容。図1を見てください。インスリンの病態で、ピンク色でインスリン抵抗性増大とオレンジ色でインスリン分泌能低下がありますね。

 

糖尿病_図表1

 

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A さん
はい。
生理 マナブくん
このインスリン抵抗性増大とインスリン分泌能低下によって使用する経口薬が異なるのです。そこのオレンジ色の線でつながったところに、紫色でスルホニル尿素 (SU)薬がありますね。その主な作用として「インスリン分泌の促進」とありますね。
A さん
はい。
生理 マナブくん
最初に糖尿病の病態を説明した際、インスリン抵抗性亢進とインスリン分泌障害を伝えましたね
。同じ糖尿病でも病態が違うので、それに対する薬の処方、薬物作用が違うのです。医師がある内服薬を処方した際、その意図はどういうものなのか、どのような作用やリスクがあるのかを考える上で、正常生理学/病態生理学さらに薬理学の知識は地域理学療法士には非常に重要かつ必要なのです。少しは実感し見えてきましたか?

 

 

 

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