【大内みふか先生|理学療法士】なぜ臨床ではなく教員の道に?

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教育の世界へ

ーー 名古屋の大学院に行かれていたと思いますが、どのような研究をされていたのですか?

 

大内先生 骨盤臓器脱の患者さんを泌尿器科の医師から紹介していただき、その方に対して骨盤底筋体操を行なった結果、筋力が上がるか否か、QOL・症状の変化、身体活動量の変化がとても興味深く、データを追っていました。 

 

ーー 骨盤臓器脱に対してのテーマで研究した理由はなぜですか?

 

大内先生 骨盤底筋体操をしたかったんです(笑)

 

「日本で出来る場所はあるのか?」と探しはじめ、ある研究室の先輩が、「排尿プラクティス」という雑誌の一部を執筆されていて、腹圧性尿失禁に対する骨盤底筋体操の方法が書かれていました。

 

その雑誌を見たことがきっかけで、その研究室を見学させて頂き、受け入れてもらえ、研究をはじめる事ができました。

 

日本で骨盤底筋体操をしたいという思いがあり、それが出来る場所が名古屋の研究室でした。

 

ーー その後、臨床ではなく教員の道に進まれたのはなぜですか?

 

大内先生 修士は2年間でしたが、2年目に博士課程に進むか否か、進路を考えるタイミングがありました。悩んでいた時期に、周りに「教員になりたい」という人がいたことがきっかけで「教員という選択肢もあるんだ」と改めて考えるようになりました 。

 

自分が教えるという立場になる事で、自分が今までやってきた事が、PTを志す学生への橋渡しが出来るのではないかと考えるようになりました。

 

 父親が教員だったことも、この道に進むきっかけだったと思います。私が学生の頃、父のゼミで、夏にバーベキューをやっているのを間近で見て、楽しそうに学生と交流している姿に憧れたこともあります。

 

それに加え、応募の機会があり、希望が叶ったという形です。

 

ーー 現在、沢山の大学・専門学校がある中で、大内先生がいらっしゃることで学生がウィメンズ・メンズヘルスケアを知るきっかけになりますね。学生の反響はいかがでしょうか?

 

大内先生 やはり学生自身が妊娠・出産することは遠い未来ではないと考えていると思います。卒業して何年か経験を積み「結婚・出産は5~10年後にある」という事を認識することで、興味をもってくれています。

 

ただ、ウィメンズでくくってしまうとことが多く、メンズが来ないという悩みがあります。授業で話をする中で「いずれ旦那さんになるんだからね」と伝え、男性にも興味をもってもらうよう促しています。

 

医師の世界でも泌尿器・産婦人科どちらも男女の先生方がいますよね。PTの世界も、もっと男性と一緒にできる事があれば良いなと思いますし、あまり性別で分けたくないと思っています。

 

大学院(博士課程前期)時代の恩師も男性です。また、妊産婦の立ち上がりなどのバイオメカニクスをテーマにされている男性の研究者もいます。男子学生、女子学生どちらも興味をもってくれたらという願望をもっています。

 

ーー 日本でも世界のスタンダードと同様の発展を期待していますか?

 

大内先生 正直、時間がかかると思います。しかし、これを一つの流行りで終わらせたくないです。ある程度、人も時間も必要だと思いますし、その中で自分が関われたら良いなと思っています。世界のスタンダード肩を並べることを、期待し、今後も続けていきたいと思っています。

 

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