"フレイル"と"メタボ" 高齢者の健康余命に関与するのはどっち?

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今回、東京都健康長寿医療センター研究所の新開省二副所長と北村明彦研究部長らの研究グループは、フレイルが日本人高齢者の中長期的な自立喪失(要介護発生または死亡)の有意の危険因子であることを明らかにした。

 

本研究では、群馬県の一地域の高齢者約 1,500 人の平均 7 年(最大 12 年)の追跡研究により、フレイル、メタボリックシンドローム等の諸因子による、自立喪失(要介護発生または死亡)のリスク上昇の程度を明らかにしました。その結果、男女ともにフレイル群、プレフレイル群(フレイルの予備群)はフレイル無し群に比し、自立喪失発生率は有意に高率で、フレイル区分別にみた自立曲線はきれいに分かれました(図1)。

一方、メタボリックシンドローム区分と自立喪失発生率との間には一定の関連は認められず、自立曲線にも明らかな差は見られませんでした(図2)。

詳細を読む(引用元):http://www.tmghig.jp/J_TMIG/release/index.html

 

メタボリックシンドロームは健康余命に関連が見られなかったという研究結果が発表された。

 

逆にフレイルは、近年提唱されてきている概念であり、養成校で学んでいない人も多いことだろう。

 

フレイルとは、海外の老年医学の分野で使用されている「Frailty(フレイルティ)」に対する日本語訳で「虚弱」や「老衰」・「脆弱」という意味である。

 

①体重減少、②歩行速度低下、③握力低下、④疲れやすい、⑤身体活動レベル低下の5項目のうち3つ以上当てはまればフレイルとみなされる。

 

フレイルの評価には、Friedのモデルを改良してつくられたJ-CHS基準が一つのツールとして有効である。

 

機能予後について
 

一般高齢者において、サルコペニア有病率は 10-20%、フレイル有病率は10% 程度。いずれも後期高齢者でその有病率が高まるとされており、機能予後に関する報告も多い。

 

サルコペニアおよびフレイルの高齢者はそうでない高齢者と比較して,介護必要率およびポリファーマシー率は2倍以上,1年間に2回以上入院する率は3倍に近かった。(中略)

65歳以上の外科手術入院患者594人で検討した研究では,術前にフレイルである場合,フレイルでない高齢者と比較して,術後合併症が約2.5倍,介護施設への退院が約20倍にもなったという結果であった。

詳細を読む(引用元):週間医学会新聞

 

治療の第一選択として運動療法があげられるが、「サルコペニア」や「フレイル」状態に陥っている高齢者は、栄養状態も落ちていることが予想される。

 

栄養素の補給によりこれらの状態が改善することは示唆されているものの、補給量や適応等に関して現状不明確な部分が多い。

 

高齢者では食後の骨格筋におけるタンパク質合成が低下しているため、タンパク質に関しては現時点で男女問わず1.2~1.5g/kg程度の摂取が必要とされる。しかし腎障害や人工透析などを行なっていればその限りではないため注意が必要である。

 

薬剤に関しても「サルコペニア」や「フレイル」に対する確立した治療薬は現状存在しない。またポリファーマシーの問題からも適切な内服管理等も必要不可欠になるだろう。

 

このことからも高齢者の老年症候群を予防、改善するには運動だけでなく適切な栄養管理や内服コントロールが必要であり、我々理学療法士だけではなく、医師をはじめとした管理栄養士や薬剤師などいわゆるチーム医療が必要であることは明白ではないだろうか。

 

高齢だからと加齢のせいにしてしまうことは、その患者の予後を決定づけてしまうことに繋がるかもしれない。

 

 臨床において、「サルコペニア」にはSARC-F、「フレイル」にはCardiovascular Health Study(CHS) Frailty IndexやStudy of Osteoporotic Fractures(SOF)など簡便に評価できる指標がある。

 

まずはしっかり評価を行い、早期から適切な他職種による介入を行っていくことが望ましい。

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