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加島守先生—国際福祉機器展にたずさわる理学療法士(PT)—第一部

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福祉機器と療法士の共存

POSTインタビュアー:最近ではリハビリ機器が増え、それに対して否定的な意見も聞かれる中で、どのようにしたらそのような機器と私たち療法士は共存出来ますか?

リハビリ職者の目的は、「患者さんや利用者さんがどれだけ生活環境に適応できるか?」ということです。その期間が、より早く適応できるようお手伝いするという役割が私たちにはあると思っています。私自身、平成5年から在宅の福祉用具と住宅改修の仕事を始めました。そこで、身体機能が変わらなくても福祉用具を使うことで生活が変わるということを目の当たりにしました。そういった部分が明確になれば、私達のような専門職と福祉機器、ロボットなどとの共存が可能なのではないかと思います。また、それ以外にも私たちの臨床経験から得られた生きた解剖、運動学をもとに福祉機器やロボットの開発に携わるということも共存の一つではないかと思っています。

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住宅改修にリハビリが負けた?

POSTインタビュアー:福祉機器への認識の低さとして「自分の手でなおす。」という強い想いがあります。それについて率直にどう思われますか?

今お話ししましたように、なかなか福祉機器やロボット等に対する理解が患者さんや利用者さんはもとより現職の方々も不足しています。その原因としまして現在では、急性期、回復期、慢性期、生活期などと分業されてしまっていることがあげられます。特に急性期にお勤めの場合ですと、なかなか在宅を目にする機会がありません。このように縦割りの仕組みを変えることと各時期の間での情報交換という連携が重要なのではないかと思っています。 また、若い方ですと「自分の手で回復できるように」という想いが強く素晴らしいことではありますが、リスク管理として、また手では補えない部分として一過性に福祉機器等を使ってもらい、手でなければできないところを認識することも必要なのではないかと思います。昔よく言われたことですけど「リハビリで機能を高めれば住宅改修は必要ないのではないか?」とか「住宅改修にリハビリが負けた」などと言われたこともありました。病院内と在宅での生活は全く違いますから、病院で高めた機能をより生活の中で行かされるよう福祉機器や住宅改修が必要になります。また、そのようなことを在宅に関わっている方々が、回復期の方々に伝えられるようにするということが必要なのではないでしょうか。

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エンドユーザーの声を届ける

POSTインタビュアー:私たちの専門性が生かされる場面は一般企業にありますか?

私は、様々なメーカーさんとお会いする機会が非常に増えていて、福祉機器などの開発に関わることもあります。しかし、関わり方としては理学療法士としてというよりは「利用者さんたちが…。」というようなエンドユーザーさんの声をメーカーに届けることが大切だと思います。それも、利用者のご家族の方々の意見まで総合したものを届けることが大切です。利用者さんにとっては良いものであってもその後、家族の方々にとっては負担になる場合もあります。その声を届けられるのは私たちなのだと思います。

逆にメーカーさんから「こんな技術があるのだけど、何かに応用できないか?」というような依頼もあります。それが偶然にマッチングして製品化することもありますね。

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加島守先生経歴

<経歴>

理学療法士 高齢者生活福祉研究所所長 財団法人保健福祉広報協会評議員

昭和55年医療ソーシャルワーカーとして勤務。

その後、社会医学技術学院理学療法科に通いながら、至誠学舎特別養護老人ホーム緑寿園に勤務。

資格取得後は越谷市立病院に勤務。越谷市立病院、武蔵野市立高齢者総合医療センター補助器具センター勤務を経て平成16年高齢者生活福祉研究所設立

<著書>

在宅介護ですぐに役立つ福祉用具の基礎知識―実践!福祉用具サービス計画
住宅改修アセスメントのすべて―介護保険「理由書」の書き方・使い方マニュアル


明解!福祉用具サービス計画の手引き
生活にあわせたバリアフリー住宅Q&A (シリーズ・高齢者の暮らしを支えるQ&A)
ガイドラインにそった福祉用具の選択・活用法―介護現場で役立つ!


【バックナンバー】
最終回:これからの在宅支援
加島守先生—国際福祉機器展にたずさわる理学療法士(PT)—第一部

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