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第三回:患者と後輩のマネジメント【畿央大学大学院|理学療法士 今井亮太先生】

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患者教育とは

今井先生 慢性疼痛の患者さんでは、自分の体を腫れぼったいと感じる人が圧倒的に多いと聞いたことがあります。自分の体を絵で描くと、実際より大きく書いたり、モノを取る動作をしてもらうと、障害物に当たらないよう、明らかに回避行動をとるようです。(当たったら痛いかもしれないという恐怖から)。実際にみたことはありませんが。。。

 

― 今井さんの治療方針はどういった形で進めるのでしょうか?

 

今井先生 一番初めは患者教育として痛みのマネジメントを行います。一般的にどれくらいのタイミングでどれくらい痛みが治まってくるのか、ということを説明します。

 

骨折や手術前は問題なく動いていた足や手が、術後には全く動かすことができなくなります。力が入らなかったり強烈な痛みがあったり。患者さん自身もどうやって動かしたらいいのかわからず戸惑うことも多いようで、痛みが伴わないように動く感覚を丁寧に作り上げることを大切にしています。

 

術後なので絶対痛いですけどね。笑 それでも少し一緒に動かすだけで楽になったと言われることが多いです。

 

当然、生理学に基づいた急性期の痛みは確実に存在するので、それ相応の処置が必要です。痛みが少しでも軽減して、自分で我慢してでも動かせるのであれば、少しずつ自立を促せるようにしていきます。

 

― 今度の学会では急性疼痛のシンポジストとして登壇されるそうですが、そこではどういった内容を話されるのですか?

 

今井先生 運動錯覚とは違い、新しい研究をお伝えさせていただければと思っています。これまで沢山の患者さんをみる中で、心理面の評価をおこなってきました。

 

しかし、急性期ならではなのか(慢性疼痛をみたことがないので)、実際に運動している状況と心理面のアンケートでは乖離していることがあり、悩んでいました。

 

術後急性期の予後予測の報告も出てきてはいますが、評価する環境にも大きく左右されるので、心理面を客観的に評価できればと考えています。

 

理学療法士は運動分析の専門家でもあると思いますので、運動分析から、心理面をとらえることが出来るのではないかという仮説のもと研究しています。

 

― それが仮に出来るようになったとして今後理学療法士はどうなっていくと思いますか?今の学校教育ではまず太刀打ちできないと思うのですが。

 

今井先生 急性期病院では、組織損傷や術後患者に関わることが非常に多いです。そのような中で、今までのように痛みの感覚的側面だけに対応していては、まず太刀打ちできないようになってくると思っています。その無知が原因で、痛みを慢性化させることになりますし。

 

私の時は大学で痛みを詳しく習うことはなかったです。現在はどうなっているか分からないですが、痛みの講義をもっと増やすべきだと思います。

 

― 患者さんにマネジメントと同様に、後輩教育をマネジメントとかされることもありますか?

今井先生 もちろん挑戦しています。私自身、論文を読んだり学会発表したりして、物事を広く考えることが出来るようになってきたと思います。今はセミナーにしか行かず、論文をじっくり読んでいる子は少ないため、去年から論文抄読会をはじめました。

 

最終的には、英論文を読める事を目標にやっています。今では自主的に英論文を読んでいる後輩も出てきました。

 

― 後輩の方も賞を取られましたよね?

今井先生 指導している後輩が大阪府ブロックの新人セクションで、最優秀をとり、さらにそのセクションごとに優秀賞をとった人が集まるなかでも、最優秀賞を取りました。論文を読むことによって、自分でいろいろと考えることが出来るようになってきたからではないかと思っています。

 

続くー。

 

【目次】

第一回:森岡ゼミがターニングポイント

第二回:「痛みはどうですか?」と聞き続ける言葉のバイアス

第三回:患者と後輩のマネジメント

最終回:あらゆる人と繋がり沢山の視点を得る

 

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今井亮太先生のプロフィール

河内総合病院リハビリテーション部 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室博士後期課程

 

学歴

2011年 畿央大学健康科学部理学療法学科 卒業

2011年 医療法人河内友紘会 河内総合病院リハビリテーション部 

2015年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室修士課程 修了

2017年 畿央大学大学院健康科学研究科神経リハビリテーション学研究室 博士後期課程 在学中

 

論文

  • 今井亮太,中野英樹,森岡 周:物体の視覚的提示に伴う腱振動刺激による運動錯覚時の脳活動-fNIRS研究-.理学療法科学.2012, 27(4): 401-405.
  • Imai R, Hayashida K, Nakano H, Morioka S. Brain Activity Associated with the Illusion of Motion Evoked by Different Vibration Stimulation Devices: An fNIRS Study. J Phys Ther Sci. 2014 Jul; 26 (7): 1115-9. 
  • 今井亮太,大住倫弘,平川善之,中野英樹,福本貴彦,森岡周.橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える効果‐手術後翌日からの早期介入‐.理学療法学.2015. 42(1)1-7.
  • 今井亮太,大住倫弘,森岡周.腱振動刺激による運動錯覚が痛みに与える効果.日本運動器疼痛学会誌.2015. 7(2). 213-218
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Influence of illusory kinesthesia by vibratory tendon stimulation on acute pain after surgery for distal radius fractures: A quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2016. 30(6),594-603
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effect of illusory kinesthesia on hand function in patients with distal radius fractures: a quasi-randomized controlled study. Clin Rehabil. 2017.31(5):696-701
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. The influence of trait anxiety and illusory kinesthesia on pain threshold. J Phys Ther Sci. 2017 29(7)1236-1241
  • Imai R, Osumi M, Ishigaki T, Morioka S. Effects of illusory kinesthesia by tendon vibratory stimulation on the post-operative neural activities of distal radius fracture patients. NeuroReport. 2017. in press.

受賞

  • 第48回日本理学療法学術大会 優秀賞
  • 第18回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞        
  • 第7回日本運動器疼痛学会学術大会 奨励賞ポスター賞
  • 第20回日本ペインリハビリテーション学会学術大会 優秀賞
  • 第7回学術誌掲載論文 理学療法学 最優秀賞(日本理学療法士学会)

学会活動

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