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第三回:考え方の教育【森ノ宮医療大学|工藤慎太郎先生】

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理学療法のパターン化

 

― 長く携わることが正しい、という風習ができつつあると感じます。

 

工藤先生 そうですね。日本ですと、時間のことはよく言われますが、本当に大事なことは治療回数や期間のはずです。

 

現状で、このような問題があるということを考えると、自分が最初の1.2年をどう過ごすのか、ということをちゃんと考えないと駄目ですね。「大きい病院にとりあえず就職する」ということが、今は安泰ではないですし、いくら優秀でも卒業して、これまでお話ししたような視点がないと芽が出ないでしょう。

 

自分が理学療法士になって思うことは、考えるためのベースが必要だから、勉強することが大事なのだということです。それがないと、昔の部活動のように「水飲むな」などと、おかしい事でも、当たり前のように受け入れるだけになってしまいます。私は幸いにも、林先生などから、「考え方」を教えていただいていたので、「分からなかったら解剖学から入ってみよう」ということが徹底されていました。

 

大事なことというのは、何年たっても変わらないはずですし、ここまで学生時代に教育出来るのか、というとなかなかできません。ただ、学生時代から少しずつ、考え方の習慣付けをしておくと、少しずつそれが経験になっていくように思います。

 

理学療法を見ていると、なんだかよくわからないけど、とりあえず全身をやってみて、何が効果的だったのかわからない。とりあえず、〇〇疾患の患者さんを担当したら、いつも通り、コレとコレをやろうとパターン化する状態。

 

「なぜ、この方法を行なっているのか説明して」といっても、答えられないケースが増えています。とりあえず、可動域をはかって、いつも通りのトレーニングをする。

 

この場合、治っても再発することが増えますが、その理由を考えていくと、理学療法士の指導量が多すぎる点にあることも多いと思っています。教えられた患者さんは、とりあえずやっているけど、治っているのかどうかがわからない。その結果気づいたら、結局何もよくなっていないケースをよく目にします。

 

運動療法は薬と一緒で、効果があるかないかわからないけど、とりあえず指導して、よくわからないから新しい運動を伝えて、薬でいうとわからないから抗生物質を出すような。

 

結局そこに理論や考え方がないので、消炎鎮痛薬や頭痛薬、湿布や咳止めを処方して、全ての症状に効果がありそうなものを提供する。そんなのだめですよね。でもリハビリではそういう状況になっているのではないか、と危惧しています。

 

患者さんもそれではよくならないことがわかってきて、別の病院に転院することはよくあると思います。ここで大切だと感じるのが、評価だということです。それに対して「運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略」という本を出版しました。

 

 

本は好評で、講習会もさせてもらっています。講習会で「こういう時にはこういう運動療法しますよ」という話をします。

 

しかし、そもそもどこを治さなきゃいけないのか分からない人がいます。なんで改善するのかということが分からないと、再発させてしまいます。ですから、最終的に落ち着くのは、考え方から変えないと難しいということです。

 

書籍は仲間内で楽しく書く

 

― 運動機能障害の「なぜ?」がわかる評価戦略は、全国学会で断トツに売れていたようですね。

 

工藤先生 最後は、大畑先生の「歩行再建―歩行の理解とトレーニング」に抜かれてしまったようです。

 

歩行再建―歩行の理解とトレーニング
Posted with Amakuri at 2017.9.26
大畑 光司
三輪書店

 

 

あんまり言いたくないことですが、今回の学会の前の学会で、「来年最後の学会の時に、一番になって終わろう」ということをみんなで誓い合っていました。それなのに最後抜かれてしまい、少し残念でしたね。

 

 

― 何かプロモーションをされたのですか?

 

工藤先生 売り出す前に、Facebookで執筆活動に携わった人たちの思いを投稿していました。

 

結果、宣伝の投稿になりましたが、宣伝というよりは、「自分たちが楽しんで書いています」ということをお伝えしていました。私自身も、周りの人がどんな苦労をしながら書き上げたのかわかりました。私は出版する際、仲間内で書くことが多いのですが、みんなが楽しく書けるということを大事にしています。それを実際やっていると、かなりリーチも伸びました。SNSは今の時代、強いですよね。

 

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工藤先生オススメ書籍

 

工藤慎太郎先生プロフィール

【学歴】

2003 年 平成医療専門学院 (現:平成医療短期大学) 理学療法学科 卒業 2005 年~2011 年 愛知医科大学医学部 研究員 在籍

2011 年 鈴鹿医療科学大学大学院 医療科学研究科 医療科学専攻 入学・在籍 2013 年 鈴鹿医療科学大学大学院 医療科学研究科 医療科学専攻 博士後期課程

 

【業績(著書)】

 

【業績(論文)】

Kudo S, Hatanaka Y. Comparison of the foot kinematics during weight bearing between normal foot feet and the flat feet. The Foot and Ankle Online Journal 9 (1): 2

 

Kudo S, Hisada T, Sato T. Determination of the fascicle length of the gastrocnemius muscle during calf raise exerciseusing ultrasonography. J Phys Ther Sci. 2015 Dec;27(12):3763-6.

 

・Reliability of the Transverse Arch of the Forefoot as an Indicator of Foot Conditions.

Journal of Physical Therapy Science. May Vol. 24 (2012) No. 4 335-337. ・コメディカル養成校における『解剖画像教材』を用いた授業とその効果.

形態・機能. Vol. 6 (2007-2008)No.2 135-141 他・多数

 

【業績(学会発表 【業績(学会発表)】

・A comparison of the kinematics and kinetics of overground walking and a functional mobility task in healthy subjects.

2013 2nd congress, International society of posture and gait research にて発表

・Does hallux compression force influences the gait? WCPT‐AWP&ACPT 2013 にて発表 ・The development of measurement methods for flexibility of the transverse arch of the forefoot.

4th Asia society of Sport Biomechanics(2012) にて発表 ・超音波画像診断装置による固有背筋の観察.第 47 回日本理学療法学術大会(2012)にて発表

 

【活動】

形態学と運動学に基づく理学療法研究会 代表

【その他】

O.G.I.G (Obserbational Gait Instructor group) Advanced Class 修了

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