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日本理学療法士協会 糖尿病足病変・糖尿病腎症患者における理学療法士の関わりの実態調査報告書

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現在、糖尿病に関して我々理学療法士の必要性が提唱されている。糖尿病の基本治療である食事療法、運動療法、薬物療法において、理学療法士が運動療法を指導する役割でチーム医療に携わる機会も多くなってきている。

今回、糖尿病を起因とした疾患、糖尿病足病変/下肢慢性創傷、糖尿病性腎症/透析に対する理学療法士の実態が、日本理学療法士協会の調査により明らかとなった。

 

今回の調査は主に4つ

・下肢慢性創傷を「糖尿病神経障害(動脈・静脈・リンパ・膠原病に起因する皮膚血流の障害)により発生し、治癒の遷延を来している潰瘍・壊疽」と定義したうえでの、理学療法士の関わりについて。

・理学療法場面における糖尿病足病変のリスク管理の実態について明らかにすること。

・保存期糖尿病腎症(腎症)の理学療法における、腎障害の進展予防(重症化予防)に焦点を置いた関わりについて。

・現時点における透析患者に対する理学療法の実施状況およびその実態について。

 

 

・下肢慢性創傷に対する理学療法実施率は、有効回答1,363件のうち498件(36.5%)と4割に満たないことがわかった。

・理学療法評価については、ADL・身体機能・歩行能力・疼痛の評価は行われていたが、慢性創傷患者の疾患特異性を反映すると思われる「創の評価」「下肢虚血の評価」「心機能の評価」「足底圧(足底負荷量)の測定」の実施率は低く、当該事項についてはリスク管理が不十分である可能性が示唆された。

・糖尿病性足病変の疾患特異性を考慮した評価としては、末梢神経障害の評価、足部変形の評価、皮膚・爪病変の評価が多く実施され、下肢虚血の評価(ABI等の測定)や足底圧(足底負荷量)の評価の実施は少なかった。

・勤務する施設によって、糖尿病足病変のリスク管理として実施する評価や介入に違いがあることが本調査の結果より示された。

・糖尿病透析予防指導管理料に関わっている理学療法士の印象として、運動により腎機能の悪化はみられず、概ね維持〜改善が得られていることが示された。

・理学療法士の対象となる透析患者が抱える障害については、筋力低下(94.8%)、運動耐容能低下(89.3%)、歩行障害(88.0%)、バランス障害(73.4%)の回答数が多く、透析患者においては高頻度に身体機能の低下が生じており、筋力低下や運動耐容能低下に起因するADL能力の低下が大きな問題となっている。

(引用元:日本理学療法士協会

 

現在、下肢慢性創傷に対する理学療法実施率は、有効回答のうち36.5%、腎症に対する理学療法の実施率は有効回答のうち39.4%と共に4割に満たないとのこと。

糖尿病に対する運動療法のエビデンスも明らかになってきており、運動は糖尿病腎症を悪化させず、むしろ患者のADLを維持させるためには運動は重要であるというコンセンサスが得られている現状においても、糖尿病を起因とする下肢慢性創傷、糖尿病足病変、糖尿病腎症などにおける理学療法士の関わり方は確立できていないということである。

実施率が低い現状においては、「医師の処方がない」、「診療報酬が得られない」、「マンパワーの問題」など体制上の問題が実施を阻んでいる可能性が示唆されている。そのため、これらの疾患に対しての介入におけるリスクの把握やリスク管理として、理学療法士の関わりが重要であるという理解が進むようなエビデンスに基づく情報の提供、処方をもらうための取り組みが必要になってくる。

 

また、これらの疾患に対して理学療法を実施している施設でも、下肢虚血の評価や足底圧の評価の実施は少なかったという調査結果が出ている。運動療法に対してのエビデンスが確立されている中、二次的に生じる障害に対するリスク管理が不十分である可能性が浮き彫りになった。

 

これから糖尿病患者に理学療法を提供していく中で神経障害、腎症などにより生じる障害に目を向けつつ、適切な評価を行っていく必要がある。

 

最近では糖尿病だけでなく、下肢救済や透析患者に対する理学療法などを中心とした勉強会や研究会も増えてきている。

この機会に一度学んでみてはどうだろうか。

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日本理学療法士協会 糖尿病足病変・糖尿病腎症患者における理学療法士の関わりの実態調査報告書