001

第一回:師入谷誠との出会い【コンディショング・ラボ 所長|理学療法士 園部俊晴先生】

  • Line
  • Hatena
3485 posts

怪我をした人のケアをしたい

 

 先生が理学療法士になったきっかけを教えていただけますか?

 

園部先生 はじめは、高校生の時にスポーツトレーナーになりたいと思ったことがきっかけでした。それでそのことを体育の先生に相談したら、「アメリカでは、理学療法士がスポーツトレーナーとしてトップだ」と聞きました。当時の日本では、理学療法士の知名度はほとんどないという時代でしたが、たまたま相談した先生が理学療法士を知っていて、この道に進もうと決意しました。ただ、調べてみると脊髄損傷とか片麻痺をメインで治療するという情報ばかりでしたから、理学療法士になればスポーツトレーナーになれるのか、正直なところは半信半疑でした。

 

 たまたま話を聞いて知ったということですね。実際、学校に入って実習とかではじめて患者さんと接したと思うですが、自分が思い描いていたのとギャップはありましたか?

 

園部先生 どの人もそうだと思いますが、最初は何をやっていいのか全くわからなかったですね。学生時代はすごく勉強した方だと思うのですが、実習では全くその知識は通用しませんでした。叱られたり、レポートなんかを直されたりして、自分にはこの仕事があまり向いていないのかもしれないと思った時期もありました。でも後に就職する関東労災病院に実習に行って、「理学療法士って面白いな」と思うようになりました。

 

スポーツトレーナーになりたかったということで、運動器に興味を持っていたんですか?

 

園部先生 そうですね。理学療法士の学校に入ってからは、トレーナーになりたい気持ちもあったんだけど、勉強していく中で、自分には整形外科が向いているな、というのは思っていたんです。脳卒中とか、そういう方向にはいかないだろうなとは思っていました。それは実習に行ってもそうでした。

 

 学生時代にラグビーをやっていて、かなり怪我をしたんです。そういうのも含めて、「怪我をした人のケアをしたい」という思いはずっとありました。トレーナーになりたいと思ったのはそこがスタートなんだけど、そういう意味では、自分の中に整形外科の分野をやりたいという思いがずっとあったんだと思います。

 

「この人は将来、整形外科の分野で日本一のPTになる」

 

そして学校を卒業して関東労災病院に勤めたと。

 

園部先生 そうです。実習で関東労災病院に行って、当時のバイザーの先生に誘われたんです。スポーツもやりたかったし、すごくいい選択だったと今でも思います。実際にとても恵まれた環境で大切な時期を過ごせたと思っています。

 

 1年目の時に師である入谷誠先生に出会ったんですよね。そのときのエピソードを教えていただけますか?

 

園部先生 エピソードと言えるかはわからないですけど、入谷先生は当時、全く無名の理学療法士だったんです。インソールもやり始めたばっかりだったんじゃないかなと思います。

 

でも福井勉先生が「この人は将来、整形外科の分野日本一のPTになる」って言っていたんです。それでとても興味が沸いて学生時代に一度、入谷先生の臨床を見に行ったことがありました。そのときに、「この人は普通の人じゃない」と思いました。それがきっかけで、就職したらすぐにこの人のもとで学びたいと思って、入谷先生に直接手紙を書いて研修を志願しました。今思うと、怖いもの知らずもはなはだしいですね(笑) 

 

 やはり実際に研修見学に行って入谷先生の治療というのは違ったんですか?

 

園部先生 入谷先生は当時と晩年では理論も全く違いますし、足底板の形も、何から何まで違ったんですが、ただやっぱり一人の患者を診て、満足して帰す、という力が当時からありました。

 

入谷先生と私はちょうど一回り(12歳)違うから、私が臨床に出始めた頃は入谷先生が34歳だったと思います。34歳の入谷先生は、すでに理学療法士としては、感覚的にもすごく逸脱した能力を持っていたと思います。天才という言葉で片付けてはいけないかもしれないけれど、臨床的な感覚として天才的なものを持っていたというのは、あの当時の入谷先生を振り返って思うことです。

 

 

 先生は足底板の講師をしていらっしゃいますが、入谷先生が亡くなった今、今後を気にされている方も多くいると思います。先生が今後どのように、それを伝えて行くのか教えていただけますか?

 

園部先生 入谷式足底板というのは、やはり効果があるし、入谷先生のところはもちろん、私のところにもこうやって、壁一面の著名人が来るのは、やはりそれだけのことができるからだと思っています。

 

とはいえ、どうしても感覚的な部分が多いので、今後、凡人を非凡に変える仕組みを作るってことが大事だと思っています。具体的に説明すると、動作分析では、瞬時にどこにストレスがかかるのか判断する必要があります。しかし、これは普通の人間には難しいですよね。

 

そのため、まずは各々の歩き方が、力学的にどういう意味をもっているのかを学問として理解するための基盤を構築していきます。このことは私の「力学的推論を理解するためのステップ講座(全49回)」の無料講座でも紹介していますで、是非ご覧下さい。

 

そのあとに、実際にどうやって動作を診るのかを体系化することが必要だと考えています。そして、私が最終的に作らないといけないのは、それを見るトレーニングシステムだと思っています。

 

「このときは体重が後ろなんですよ」「外側にかかっているんですよ」と言われてもあまりに感覚的ですよね。だからこうしたことを捉えるためのトレーニングシステムが必要なんです。それができたときには、画期的にこの業界の動作分析が変わると思っています。

 

もしこれができれば、天才的な能力がなくても、みんながある程度の臨床力を身につけられる」というところまでたどり着けるのではないかと思っています。入谷式足底板を本当にマスターしようとすると、どうしても動作分析という壁があって、そこが乗り越えられないといけないんです。でも、トレーニングする仕組みができれば、これまでよりも誰でも動作が診られるようになると考えています。

 

 私も、入谷先生の基礎編だけは受けさせていただいたんですが、正直入谷先生にはなれないんじゃないかって思ってしまって。というのも入谷先生の目を私はもっていないし、その感覚ももっていなくて、そこに辿り着くまでにどうすればいいかっていうところで悩んでしまいます。

 

園部先生 そこは、すごくいい疑問だと思うんです。私が思っているのは、例えばプロ野球のテレビを見ていると「球離れが早い」「肩の開きが早い」などと、解説者が言いますよね。でもそれって、150キロを投げるピッチャーの球離れが早いとか、遅いとか動作なんて人間の目で見るというのは、理論上不可能だと思います。

 

 

でも毎日、野球のピッチングを見ている人は、感覚的になんか分かることがあるんだと思うんです。実は、歩行の動作分析もそれと似ていると思っています。

 

「こういう視点で、このような見方で診る」というトレーニングをずっと続けると、野球の解説者が見ているような、ちょっと逸脱した能力が身についてくるのではないかと思っています。このように特別な能力がなくてもトレーニングをずっと続けると誰でもできる、ということはいろいろな場面でいえることです。

 

例えば、野球のフライなんかも同じで、「カーン」と打った瞬間に、野球選手はどこに落ちるか分かります。だけど普通の人間は「カーン」と打ってほどなく球を見てから、後ろに下がったり、前に行ったりしますよね。でもそれは、「カーン」という音の種類を聞き分け、球の角度がどれくらいで、と文章化できるものではないと思います。文章にできるものじゃないんだけど、ずっとフライのトレーニングを子供の頃からやっていると、誰でも瞬時に動けるようになるってことだと思います。

 

これと同じように、分析においても習得するためのトレーニングシステムを最終的に作りたいんです。構想はあるんだけれども、まだはっきりと言葉にはできません。でも、凡人の私でも出来るようになったんですから、そのシステムを作ることは必ず出来ると思っているし、生涯のたくさんある目標の1つなんです。

 

園部俊晴先生の無料講座「力学的推論を理解するためのステップ講座(全49回)」は下記のURLから登録可能です。是非ご覧下さい。

▶︎ http://pt-sonobe.com/mail-lecture

 

【目次】

第一回:師入谷誠との出会い

第二回:倒立振り子理論

第三回:運動と医学の出版社を設立

第四回:コンディション・ラボを開業

第五回:家族

 

園部先生コメント>>一般書では、松下幸之助の道をひらくっていう本がすごく好きです。あとは斉藤一人、勝間和代、マイケル・ボルダック、デール・カーネギー、ナポレオンヒル、スティーブRコヴィーとか好きです。1番多い年は200冊ぐらい本を読んだんですよ。下記は私のお勧めの書籍集です。ぜひご覧ください。http://pt-sonobe.com/books

 

園部先生のオススメ書籍

肩関節拘縮の評価と運動療法 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
Posted with Amakuri at 2018.1.9
赤羽根良和(さとう整形外科病院)
運動と医学の出版社
脳卒中後遺症者へのボバースアプローチ〜臨床編〜 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
Posted with Amakuri at 2018.1.9
古澤 正道・曾根 政富・鈴木 三央・掛越 逸子・椎名 英貴
株式会社運動と医学の出版社

園部 俊晴先生プロフィール

・コンディション・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)所長

・運動と医学の出版社 代表取締役社長

・臨床家のための運動器研究会代表

・身体運動学的アプローチ研究会会長代行

経歴

平成3年4月 関東労災病院リハビリテーション科勤務

平成18年6月 秩父宮スポーツ医科学賞奨励賞

平成22年10月 臨床家のための運動器研究会 代表理事

平成28年1月 身体運動学的アプローチ研究会(入谷式を発展させるための会) 会長代行

平成29年3月 26年間勤務した関東労災病院を退職

平成29年4月 コンディション・ラボ(インソールとからだコンディショニング専門院)を開業する。 同時に㈱運動と医学の出版社 代表取締役 社長に就任。足・膝・股関節など、整形外科領域の下肢障害の治療を専門としている。故、入谷誠の一番弟子。一般からスポーツ選手まで幅広く支持され、、多くの一流アスリートや著名人などの治療も多く手掛ける。身体の運動連鎖や歩行に関する研究および文献多数。著書多数。新聞、雑誌、テレビなどのメディアにも多く取り上げられる。また、運動連鎖を応用した治療概念は、専門家からの評価も高く全国各地で講演活動を行う。

主な執筆書籍

改訂版・スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション
Posted with Amakuri at 2018.1.9
園部 俊晴, 今屋 健, 勝木 秀治
運動と医学の出版社
医療・福祉で役立つ『効果的な文章の書き方』入門講座 (医療・福祉で働く人のスキルアップシリーズ)

 

 

テレビ出演

「ニースの森(TBS)」 「発掘あるある大辞典(フジテレビ)」 「バースデイ(TBS)」 「助けて!きわめびと(NHK総合)」など多数。

  • Line
  • Hatena
第一回:師入谷誠との出会い【コンディショング・ラボ 所長|理学療法士 園部俊晴先生】