認知症治療2.0へ【血液脳関門】突破の新薬開発

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「GABAを含むサプリメントは脳にいいから、認知症に効く」は本当かー。

 

この答えは生理学を学んだ医療従事者であれば「NO」と言えるはず。と言うのも、脳には「血液脳関門」という、脳の毛細血管中の物質を脳内(脳細胞が存在する側)へ通すか否かを判別している関門がある。

 

点滴や錠剤など(GABAも含む)大きな物質はこの血液脳関門によってブロックされてしまうため、脳の中に薬を送り込むことが今までは困難であった。

 

しかし、血液脳関門を突破する新薬がもう少しで開発されようとしている。現在パードリッジ名誉教授らによってブラジルで治験が行われているハーラー病新薬は血液脳関門を突破し、認知症特効薬の開発の道筋も見えるという。

▶︎ 認知症薬、脳の「関門突破」に前進――悲願達成へ治験の現場

 

この薬の開発にあたって、パードリッジ名誉教授はインスリンほどの大きい物質がなぜ血液脳関門を通り抜けられるのかに目をつけた。

 

研究を進めると、血管の細胞膜が小さなカプセルを作ってインスリンを包み込み、そのカプセルごと脳の中まで運んでくれるという仕組みが明らかとなった。新薬はこのメカニズムを利用し脳に届けられる。

 

パードリッジ名誉教授は「アルツハイマー病の原因とされるアミロイドβは30年以上も前に発見されているのに、いまだに病気の進行を止める治療薬がないなんて、本当にショックです。」と述べている。

 

アルツハイマー病の原因物質を【血液検査】で発見できるようになる?

もう一つ、認知症関連の最新ニュースをお伝えする。

▶︎ アルツハイマー、血液で原因物質を検出 発症前診断に光

 

数年前世間を賑わせた下の方をみなさんは覚えてないだろうか?

そう、たんぱく質をイオン化することに成功しノーベル賞を受賞した田中耕一氏である。

 

田中氏が所属する島津製作所と国立長寿医療研究センターの研究グループが、アルツハイマー病変を血液検査で早期に検出する手法を確立し、英科学誌Natureオンライン版に成果が掲載された。

 

研究対象は日本とオーストラリアの健康な高齢者やアルツハイマー病患者ら232名。田中氏が開発した質量分析技術を用いてアミロイドβを血液から検出し、PET(positron emission tomography )を用いて脳と比較した。

 

結果は、健康な人も含めて、このアミロイドβが脳にたまっているかをほぼ90%の確率で正しく見分けられたそうだ。

 

チームの柳沢勝彦・同センター研究所長は「当面は治療薬が効いているかの判定に役立てられる。結果を広く活用するには社会的な合意も必要」、田中氏は「今回の研究成果は、根本治療薬の開発を含むさまざまな医療技術を進展させる基礎となると思う。世界の人々の健康長寿に貢献していきたい」と話している。

認知症治療2.0へ【血液脳関門】突破の新薬開発

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