タイってどんな国?
「タイ」と聞いて、皆さんはどんな想像をしますか?インフラ(社会的生産基盤)が整っておらず、道路、通信、電力、水道などの整備率が低い国なんじゃないか?
また昨年はクーデーターのニュースが日本でも報道されていたこともあり、政治混乱が続いている国なんじゃないか?
そんな印象をお持ちの方もいると思います。しかし首都バンコクを、数年以内に訪れた方は分かると思いますが、ウルトラ都会です。そして治安もそこまで悪くない。
つまり、日本と変わらない生活が送れます。しかしバンコクを少し離れると、皆さんが想像しているような「タイ」が見れるかもしれません。
タイ国内で感じるリハビリテーション格差
タイの理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の数を、日本の療法士と人口比で比較すると、理学療法士は約7倍、作業療法士は約40倍、言語聴覚士は約47倍少ないことが分かります。
タイでは2002年から国家の政策としてアジアの「メディカル・ハブ構想」を掲げ、メディカルツーリズム(医療観光)を推進しています。
メディカルツーリズムとは、自国では受けられない手術や、より高い医療サービスを求めて海外へ渡ることを意味し、これまでのところ、順調に医療産業は拡大しています。
一方で富裕層と貧困層、都心部と農村部の間にある医療格差は大きくなっていると感じます。
メディカルツーリズムに関連する私立病院が都市部に増えているため、医師、看護師、理学療法士などの医療従事者が待遇面で優る私立病院を選択する傾向にあります。
そのため国民の約75%が対象とされる30バーツ医療制度(1回約90円の手数料で、保健センターで登録した国公立病院で疾患の診断・治療、出産。
入院患者向けの食費および室料、歯科治療や薬剤などのサービスが受けることができる制度)で利用できる公立病院には、理学療法士が少ない場合が多く十分なリハビリテーションを受けることなく退院させられます。
私の活動する国立の障害者ホームでも理学療法士はいません(写真右)。
しかし、富裕層が多いメディカルツーリズムに関連する私立病院には、多くの療法士がおり、PTアシスタントと一緒に患者をみる場合が多いです。
ロボット装置を導入している病院も多くあります(写真左)。
このように現在、タイで受けられるリハビリテーションには大きな差があります。
さらに日本のように回復期リハビリテーションという考え方もありませんので、脳卒中を発症しても入院期間は1週間前後で、その後は在宅に戻る場合がほとんどです。
次回は、タイにおえる義肢装具士の現状について書かせていただきます。
【現在、タイとカンボジアで下肢装具を募集しています】