第一回:言語聴覚士になったきっかけ【藤田保健衛生大学 客員教授|言語聴覚士 小島千枝子先生】

  • Line
  • Hatena
855 posts

言語療法士→言語聴覚士

 

―言語聴覚士になられたきっかけを教えてください。

小島先生 私が言語に関する仕事についたその頃はまだ、言語聴覚士(97年制定)という資格は誕生していませんでした。当時は、言語療法士と呼ばれ、資格制度がなく独学で学んだ時代です。

 

私は幼少期にポリオに罹患し、両下肢が不自由になりました。7歳の時に当時設立された新潟のはまぐみ学園という施設に第一号として入りました。それまで訓練というのはマッサージなどが主流でしたが、日本で初めて機能訓練が導入され、私もその訓練を受けたおかげで歩けるようになったのです。理学療法の草分けで、日本の整形外科の歴史はポリオによって発展したといわれています。

 

その施設に、実は言語療法を行っている方がいました。言語障害のある脳性まひ児を対象に、口唇に蜂蜜やウエハースをつけて舌で取る練習などをされていたようで、そこに行って蜂蜜やウエハースを食べられる友達がうらやましかったのを覚えています。言語療法の先駆けだったと思います。

 

この施設は、手術とその後のリハビリを受ける施設で退院して普通学校に戻り、中学も地元の中学に入学したのですが、長岡は雪が深く、冬場は通学が困難なために、当時設立された新潟養護学校に入りました。その時に出会ったのが湧井豊先生です。

 

英語の先生でしたが「憧れの君」でした。湧井先生は御茶ノ水女子大学に開講された言語療法士養成課程に国内留学され、その後新潟市の「ことばの教室」第一号として、地元のニュースに出たのです。それを見て、「この仕事なら座ってできるし、私にもやれるかも」と思ったのです。高校生のときのことです。

 

 

当時まだ、言語聴覚士の養成校もなくそれに近い福祉系のことが学べる大学ということで、日本福祉大学に行きました。大学生活は大変充実しており、次第にケースワーカーの夢を持つようになりました。その実習地を選んだのが、聖隷浜松病院です。

 

ここはかつてはまぐみ学園で園長をされていた河野左宙先生が新潟大学の整形外科教授を退官されたあと、整形外科顧問としていらっしゃるので連絡をしてみたらと、はまぐみ時代の看護婦さんから勧められたことがきっかけでした。

 

河野先生は、幼少期からの私の主治医で、はまぐみ学園に入園中もとてもかわいがってくださり、実習後に「ケースワーカーとしての求人は今ないが、脳外科の先生が言語療法士をほしがっているから、言語療法士になったらどうか」と手紙をくださいました。

 

実際には3回もお断りしたのですが、熱心に誘ってくださり、その時に、そういえば私はそもそも言語療法士になりたかったと思い出し、お誘いをありがたく受けとって就職させていただきました。しかし、当時言語療法の本も教育の機会もなく、ほとんど独学で学んできたというのが私の出発でした。後に、論文を書いたときに、河野先生は大変喜んでくださったことを思い出しますし、私が今あるのも河野先生のおかげだと思っています。

 

 

聖隷浜松病院に7年いたのですが、7年で3人に言語聴覚士を増やし、聖隷三方原病院で言語聴覚士が必要になったということで、私が行きました。この病院で、藤島先生という人に出会い、嚥下を一緒にやろうといわれたわけです。“小島千枝子”というと嚥下が代名詞になっていますが、小児もやってきたし、失語症や構音障害、知的障害者などあらゆることをやってきています。

続くー。

 

【目次】

第一回:言語聴覚士になったきっかけ

第二回:「嚥下をやろう」

第三回:「私はあなたが将来出会うであろう、患者さんを見ているんだ」

最終回:Kポイントの発見

 

小島先生オススメ書籍

 

嚥下障害ポケットマニュアル第3版
Posted with Amakuri
聖隷嚥下チーム
医歯薬出版
売上げランキング: 63550

 

脳卒中の摂食嚥下障害 第3版 Web動画付
Posted with Amakuri
藤島 一郎, 谷口 洋
医歯薬出版
売上げランキング: 116694

 

言語聴覚士のための摂食・嚥下障害学
Posted with Amakuri
倉智 雅子(編著)
医歯薬出版
売上げランキング: 125805

 

小島千枝子先生の略歴

日本福祉大学社会福祉学部卒業

聖隷浜松病院と聖隷三方原病院のリハビリテーション科言語室の開設にかかわる。

聖隷三方原病院では嚥下チームのリーダーとして全国に摂食嚥下障害の知識と技術を広めてきた。

平成16年4月 聖隷クリストファー大学リハビリテーション学部言語聴覚学科教授

平成27年3月 退職

現在 藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科 客員教授

日本摂食嚥下リハビリテーション学会では 評議委員、理事を経て、現在名誉会員

日本摂食嚥下リハビリテーション認定士、

日本言語聴覚士協会嚥下分野認定士

受賞歴

平成27年 日本摂食嚥下リハビリテーション学会論文賞 受賞

平成28年 第44回医療功労賞(読売新聞社主催、厚生労働省後援)

無料会員登録をする
  • Line
  • Hatena
第一回:言語聴覚士になったきっかけ【藤田保健衛生大学 客員教授|言語聴覚士 小島千枝子先生】