第四回:なぜその課題は、症例検討では解決できないのか(前編)

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第3回では、マネジャーとプレイヤーに求められるスキルの違いについて、カッツ理論を基に①テクニカルスキル②ヒューマンスキル③コンセプチュアルスキル の3つについて解説しました。特に、マネジャーに求められる③コンセプチュアルスキルについてはやや分かりにくいため、私なりの意訳として「課題解決力」と言い換えて、ミニケースを通して読者の皆さん自身で考えて頂くよう投げかけました。

 

今回は、前回提示したミニケースを紐解きながら、コンセプチュアルスキル(課題解決力)について考えていきましょう。

 

 

「最近臨床の質が低下しているため、その打開策として症例検討を開催させて欲しい」と提案するBさん。「あなたがC技師長だったとしたらどのように課題解決をしますか?」というのが、私から皆さんに投げかけた問いでした。

 

意欲的に改善策を提案してくれるBさんに好意的な印象を持った人も多いかもしれません。私もそう思います。上司として、このように具体的な提案をしてくれる部下・後輩は非常に頼りになる人材です。

 

一方で、何となく腑に落ちない感覚を覚えた方もいるかもしれません。C技師長も(症例検討を開催すれば問題は解決するのだろうか・・・)と少し腑に落ちないところがあるようです。その理由について、少し掘り下げてみましょう。

 

コンセプチュアルスキルを意訳すると「課題解決力」であるとお伝えしました。

今回は、普段私が用いている『課題解決のフレームワーク』に沿って考えてみたいと思います。

 

<STEP1:課題を具体的に定義する>

 課題を解決するためには、まず課題そのものを定義しなければ解決できません。

Bさんの考える課題は「臨床の質が低下していること」のようです。しかし、「臨床の質」という言葉は非常に曖昧です。受け手によって解釈が大きく分かれてしまう言葉は、MBAでは「ビッグワード」と呼ばれ忌み嫌われていました(笑)。課題を解決するうえでも、ただ何となく抽象的な定義ではなく具体的な課題を定義した方が良いでしょう。前回の記事で「多角的にとらえるための思考軸」として5つの軸を紹介しましたが、そのうちの、(①抽象-具体の軸)です。

 

参考:<多角的に捉えるための思考軸>※第3回記事より引用

 ①抽象―具体

 ②短期―長期

 ③主観―客観

 ④大局―分析

 ⑤直観―論理

 

 

 私は、『現状とあるべき状態とのギャップ=課題』と考える方法で課題の定義をしています。課題を定義するということは、思考の範囲を決めることと言い換えることもできます。その範囲の両端は「現状」と「(目指したい)あるべき状態」とすることで定義しやすくなります。

 

【現状の分析】

 現状の分析は、できるだけ解釈ではなく事実を基に把握することがポイントです(③主観-客観の軸)。そして、仮に現状のまま数カ月・1年・・・と月日が経過した時にどのような状態になっているのかを想像し、長期的な視点でも考えてみると、目の前の課題に振り回される短期的思考に陥ることなく本質的な課題が見えてくることがあります(②短期-長期の軸)。長期的な視点で状態を想像してみる時には、脳内で動画イメージを再生できる程度に具体化することが大切です。

 

【あるべき状態を描く】

 あるべき状態を描く時も同様です。「臨床の質が向上した状態」という言葉だけで、脳内で動画イメージを再生できたでしょうか?ちょっとイメージしにくいですよね。もう少し具体化してみると、例えば

 

Ⅰ.適切なタイミング・適度な介助量で歩行介助ができている状態

Ⅱ.歩行観察場面にて、短時間で正確に事実情報を抽出し、分かりやすく分析結果を報告・記録できる状態

Ⅲ.カンファレンスで多職種に退院後の生活を分かりやすい言葉で伝達できている状態

 

等々、色々な場面がイメージできそうです。このレベルまで具体化すれば、脳内で動画イメージを再生できたのではないでしょうか?「臨床の質が低下」というビッグワードのままでは、これらの状態すべてが課題解決後のゴールイメージとなってしまいます。そう考えると、Bさんの提案である『症例検討の開催』という解決策のみで全て対応できると考えるのはちょっと違うかな?と感じることと思います。

 

 このように、課題を定義する際には抽象的なものを分解し、より具体的なものにしていった方が本質的な課題解決に結びつきます。分解するためのツールとして、非常に強力な武器となるロジックツリーと呼ばれる方法があります。詳細はここでは省きますが、重要なポイントを一つだけお伝えします。分解と同時に「漏れもなくダブりもないか?(これをMECEと言います)」を同時に満たしているかチェックすることです。

 

臨床の質が向上した状態をイメージするうえで

・上記Ⅰ~Ⅲだけでなく、他に漏れていることは無いか?

・上記Ⅰ~Ⅲのうち、同じ内容や重複する内容は無いか?

といった問いを自分自身で投げかけ考えてみるとチェックできると思います(④大局-分析の軸)

 

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後編はこちら>>

 

【お願い】

読者の皆さんからの感想やマネジメントについての悩み、知りたいこと等をtwitter(@taishimatsuyama)または、tmatsuyama☆yachiyo-hosp.or.jp (☆→@に変えて送ってください)にてお寄せください。頂いた感想や質問に返答するかたちで、連載後半の記事を執筆したいと考えています。

 

【参考文献】

グロービス経営大学院:グロービスMBAクリティカル・シンキング(グロービスMBAシリーズ)

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第四回:なぜその課題は、症例検討では解決できないのか(前編)
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