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膝蓋下脂肪体インピンジメント

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膝蓋下脂肪体は脛骨、大腿骨、膝蓋骨に囲まれた膝全面にあり、衝撃吸収などの役割を果たしていると考えられています。

 

通常、膝蓋骨脂肪体の形状は、膝の屈曲伸展に対してある程度の自由度を持って変化します。しかし炎症などにより膝蓋下脂肪体の可動性が失われると、可動域制限、大腿四頭筋セッティング時の疼痛、膝蓋骨下制、大腿四頭筋筋力低下などが起こります。

 

■ 脂肪体インピンジメントが起こる原因

 

典型的な病態と経過

  • MRIで膝蓋腱の変性と圧痛
  • 膝蓋下脂肪体近位部に損傷
  • セッティング時の痛み
  • 中間域での大腿四頭筋筋力発揮での痛み
  • ランニング、跳躍時の疼痛によるスポーツ実施困難
  • 安静や対症療法、トレーニング、PRP,、衝撃波、超音波など一般的な保存療法では寛解しない

 

脂肪体インピンジメントが起こる原因として、(1)膝蓋骨低位による脂肪体圧上昇により逃げ場を失った脂肪体がPF関節に入り込む場合、(2)膝蓋骨高位で膝蓋骨上昇にともない脂肪体が引き上げれ、膝蓋骨下行時に脂肪体の一部が膝蓋骨に追い越されるようにして挟み込まれる場合、などがあります。

 

(1)に対しては膝蓋腱の後面のリリースなどで膝蓋骨と膝蓋腱の上方移動を取り戻します。場合によっては脂肪体深層で横靭帯との間の滑走性を改善させて脂肪体の可動性を改善し、膝伸展に伴う脂肪体圧上昇を回避させます。

 

(2)に対しては、膝蓋骨の最大挙上時に脂肪体がPF関節面に引き込まれてしまうので、この脂肪体をかき出すように下方に移動させていきます。特に膝蓋骨外方変位があるとPF関節内側に脂肪体が入り込むので、内側を中心にかき出す治療を行い、その上で外側広筋や中間広筋の深層のリリースを行って膝蓋骨外方偏位を修正していきます。

 

いずれの場合も、背景として、膝窩部の皮膚の過緊張やハムスリングス間の癒着などによりPF関節圧迫症候群に陥っている場合があります。鏡視下術後には(1)が好発します。

 

上記の脂肪体のリリースには組織間リリースの高いスキルが必要になります。脂肪体を挫滅させるととても厄介な脂肪体炎に陥ることがあるため、「未熟な技術」で脂肪体周囲のリリースを行ってはいけません。絶対に脂肪体を潰さず、組織間に確実にリリースポイントを滑り込ませることができるようになってから脂肪体周囲のリリースにトライしてみてください。

 

■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2018 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

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