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#1 なぜアメリカ留学したのか?|齊藤浩太郎先生

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なぜアメリカ留学したのか?

 

アメリカへの漠然とした憧れ、臨床現場での疑問、奨学金の存在などいろいろな要素が良いタイミングで重なったことが今回のアメリカ留学の動機です。小学校から高校までバスケットボールを続けていたことや大学でアメリカンフットボール部の学生トレーナーをしていたこともあり、NBAやNFLなどアメリカのスポーツが好きで、漠然としたアメリカへの憧れのような感情は以前からありました。

 

実際に留学しようと具体的に考えたのは、学部を卒業してそのまま進学した大学院修士1年生の時です。それまで、学部時代のトレーナー活動や、臨床を通じて、自分自身の介入には本当に根拠があるのか?ということをずっと考えていました。科学的根拠を求め論文を検索していても、英語力がないので論文を読むスピードも遅い、膨大な量の論文の中から目の前の対象者に適したものを見つけ、さらにそれを批判的に吟味する能力があまりにも乏しい。

 

それだけが評価や治療を選択する意思決定プロセスの全てだとは思いませんが、明らかに自分に不足している能力であり、そのような状態で根拠のある介入を行えるとは思えませんでした。どこかそれらが学べる環境はないかと探しているうちに、アメリカやオーストラリアなど大学院レベルでエビデンスベースの理学療法を学ぶことのできそうな環境に魅力を感じ、潜在的にあったアメリカへの憧れもあり、アメリカのDoctor of Physical Therapy program (DPT program)へ進学したいと考えました。

 

Doctor of Physical Therapy programは4年制の大学で学士をとった後、2年半~3年間のカリキュラムで理学療法士を養成するプログラムです。アメリカのDPT program入学のためにはprerequisitesという理系基礎科目を中心とした科目を履修しなければいけません。日本の大学でも似たような科目は履修済みでしたが、日米のカリキュラムの違いからほとんどがprerequisitesとして認められず、他学部の授業でも補完が難しいため、まずは大学院を休学してアメリカのコミュニティカレッジでprerequisites を履修することを決めました。

 

また、留学を決めた時期にちょうど大学でトビタテ留学JAPAN日本代表プログラムの奨学生を募集しており、このプログラムでは主にボランティア活動やインターンシップなどの実践活動に対して奨学金が給付されるため、せっかくアメリカにいくならコミュニティカレッジで授業を受けるだけでなく、現地で病院実習や研究活動もしようと思い留学計画に組み込んで応募しました。応募締め切りの2週間前にプログラムを知ったので、かなり焦りましたね。苦笑

 

先輩方に申請書類を添削していただくなどのご協力もあって、無事審査に合格したため、今回の留学10ヶ月間分の授業料、生活費、旅費など含めほとんどを奨学金でカバーすることができました。

 

この奨学金は日本の大学に在籍していて年齢制限をクリアしていれば誰でも応募でき、留学計画も自由にデザインできるので、もし海外で何か活動を考えている方がいたら一度調べてみるとよいかもしれません。

 

ここまで動機を述べてみましたが、留学を終えた今、留学の動機思い返してみると、理由が後付けされているなとも感じます。EBMも正しく理解しておりませんでしたし、渡米前に考えていた自分の学びたいことも抽象的、アメリカ・DPT programという環境への漠然とした憧れだけが強かったのかもしれません。

 

コミュニティカレッジでの生活

Photo:解剖学の講義

 

コミュニティカレッジでは秋学期、春学期の2セメスターに加えて冬季、夏季の集中講義でprerequisitesの履修を行いました。Prerequisitesとして多くのDPT programで要求される科目は解剖生理学、化学、物理、生物、統計学、心理学です。Programによっては運動生理学やWriting、その他の科目が含まれることもあります。

 

理系科目は日本のセンター試験レベル+αぐらいであり大学受験の時に嫌というほど勉強した内容なので、英語のハンデがあっても難易度自体は高いと感じませんでした。それよりも授業中のディスカッションについていけず、いつも取り残されるのがつらかったですね。発言はなるべく積極的にしたのですが、「なにを言っている?この日本人は?」みたいなリアクションが最初ほとんどでした。

 

ですので、周りの学生からは出来の悪い外国人だと思われていて、なにも聞いていないのに他の学生から講義の内容を再度説明されるという状況でした。いや、分かっているけどな、と思いながら最初は気の利いた返しもできず、Oh, That’s make sense. Thank you so much.しか言えませんでした。

 

ただ物理の1回目のテストで平均点の低い中、僕1人だけ満点だったのです。内容は日本の高校1年生レベルだったので、簡単だったのですが、それをきっかけに他の学生から今度はなんでもかんでも質問されるようになりました。そのおかげで他の学生ともコミュニケーションを取る機会が増えて英語力も伸びた気がします。

 

日本にいた時もオンライン英会話を毎日続け、TOEFLの勉強はしていました。また大学にいる留学生ともある程度コミュニケーションがとれていたかなと思っていたのですが、アメリカに来た当初は全く通じなかったですね。英会話の導入としては良かったですが、英会話の講師はネイティブよりかなりゆっくり話してくれるケースが多かったですし、日本人の英語にもかなり慣れている印象です。私の場合、アメリカに来た当初はスタバの店員さんに”Coffee”が一回で通じませんでした。

 

また、授業では私と同じようにDPTの進学を目指してprerequisitesを履修している学生が多かったです。グループワークで自己紹介などをすると4-5人のグループに一人はPT志望がいました。こっちへ来て自己紹介してPTを知らない学生がいなかったのも印象的でアメリカでのPTの知名度の高さが伺えました。彼らの多くは私と違い学士号をとっておらずコミュニティカレッジを卒業した後、4年生の大学に編入して運動学などを専攻、その後にDPTに出願といった形です。バックグランドが同じであると話も盛り上がってすぐに仲良くなれたので嬉しかったですね。

 

授業以外では英語力を伸ばすために、積極的にクラブ活動やボランティア活動などに参加する、図書館や教会でESLという無料の英会話教室みたいなものがあるのでそこで発音など教えてもらう、などしていました。rとl、bとv、thなど多くの日本人の方が苦手としている発音はなかなか直すのが大変でしたね。

 

Writingに関しても大学にWriting Center というエッセイを添削していただける場所があるので、そこに毎日通って自分のエッセイを添削していただきました。

 

ほとんどの科目は試験をパスするだけならそれほど英語を話さなくてもReadingさえできればなんとかなってしまいます。積極的に自分で英語を話さざるをえない環境を作ることが大事だと思います。

 

また、学外でボランティア活動も積極的に行っていました。ボランティア活動は大学で多く紹介されており、障害者スポーツのサポートなどに週末を利用して参加していました。もちろんケースバイケースですが、アメリカ国内ではボランティア活動などが学生を評価する上で重要視されている印象です。高校や大学への進学、奨学金を獲得する際のアピールのためにボランティア活動へ参加している学生が多かったです。

Photo:Special Olympics Arizona ボッチャのボランティア

 

Mesa Community CollegeのHP:https://www.mesacc.edu/

 

齊藤浩太郎先生プロフィール

【学歴】

2016-現在 名古屋大学大学院 医学系研究科リハビリテーション療法学専攻 

2017-2018 Mesa Community College, AZ, USA

2012-2016 名古屋大学医学部保健学科理学療法学専攻

<アメリカ留学概要>

2017年8月から2018年6月までアメリカ・アリゾナ州のMesa Community Collegeという2年制の短期大学に留学し、大学の授業の合間や長期休暇を利用して、外来クリニックや病院、スポーツ施設で見学させていただきました。また、国際学会で知り合ったArizona State Universityの研究室のプロジェクトにVolunteer Research Assistantとして参加しました。今回の留学では官民協働の海外留学支援制度トビタテ留学JAPAN日本代表プログラムの奨学生として、留学費用を支援していただいております。

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