日本のPTが世界へ羽ばたくために|青年海外協力隊の活動を終えて

5689 posts

初めまして、小林純と申します。私は、3ヶ月前まで青年海外協力隊の理学療法士として、東ティモールで2年間の活動をしていました。

 

帰国後、多くの理学療法学生や若手理学療法士から「青年海外協力隊の経験から何を得たか?」と聞かれるのですが、その際に私は、「理学療法とリハビリテーションについて考え直す機会を得た」と答えています。実際に、日本では「理学療法=リハビリ」と解釈され、理学療法士が「リハビリをしましょう」と対象者に説明している場面に多く遭遇しますよね。しかし、東ティモールでの活動を通して、その言葉の使い方の違和感に気づきました。

 

 

それは、ある歩行障害を呈した6歳児の女の子に関わっていた時のことでした。

 

見守り独歩で一緒にミサ(カトリック教会での礼拝)に行けるようになり、次は小学校に行くことが目標だと意気込んでいたある日、女の子の家に訪問すると、10歳くらいのおねえちゃんがいました。

 

私はおねえちゃんに「学校に行かないの。」と聞くと、「ナンシア(理学療法を行った女の子)の見守りがあるから、学校にはいけない。」と答えました。今でも、はっとしたのを覚えています。

 

口では「リハビリしましょう。」と言っていたけれど、実際は「理学療法(機能訓練)」のみを行い、ナンシア(家族を含む)が持つ多様な問題(貧困や障害者差別など)に目を向けていなかったのに気づきました。この経験は、私に理学療法とリハビリテーションについて考え直す機会を与えてくれました。

リハビリテーションを創造する専門家

10月30日現在、私は認定NPO法人グッドネーバーズ・ジャパンに所属し、広島市安芸区災害ボランティアセンター(安芸区社会福祉協議会)に配属されています。2018年7月の西日本豪雨災害により、広島は甚大な被害を受けました。災害後、地域の災害復旧から生活支援を行うことを目的に広島市安芸区災害ボランティアセンター(安芸区社会福祉協議会)が設置されました。

 

私は理学療法士としてではなく、リハビリテーションの知識を持った一職員として、災害による一時的な生活困窮者に対する相談業務や被災者の住環境コーディネート業務(被災家屋内の生活動線確保など)を行っています。直接的な理学療法業務には携わっていませんが、帰国後も地域住民や社会福祉士と共に地域リハビリテーションに携わっています。

 

また青年海外協力隊経験の社会還元のため、広島県理学療法士協会、広島国際大学、日本理学療法士学生協会国際部から講師として招かれ、講演をさせていただきました。今後も、広島県内外の学校や病院で講演をさせていただく予定です。

 

日本の理学療法士が世界へ羽ばたくために、理学療法士がリハビリテーションの専門家として広く国内外の様々な場所で活躍し、「理学療法士=理学療法(機能訓練)をする人」だけでなく、「理学療法士=理学療法の知識・技術を持ち、リハビリテーションを創造する専門家」としても認知されていくことを期待しています。

 

小林純先生プロフィール

 

1990年2月18日(満28歳)

特定非営利活動法人グッドネーバーズジャパン

2012 広島国際大学保健医療学部理学療法学科卒

    広島赤十字・原爆病院リハビリテーション科入職

2016  東ティモールバウカウ県立病院理学療法部門の理学療法士として活動開始(青年海外協力隊)

 

日本のPTが世界へ羽ばたくために|青年海外協力隊の活動を終えて

最近読まれている記事

企業おすすめ特集

編集部オススメ記事