第三回:「動作分析力」はどのようにして磨くのか【鈴木 俊明先生】

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動作分析のコツはストーリーを創ること

ー 今の時代、理学療法士も一種のアイデンティティークライシスに陥っていて、何を学べば良 いのか悩みを抱えている人も多いと思います。先生なりの考えを教えてください。 

 

鈴木先生 理学療法士はまず何をする仕事かというと、「基本動作をよくする仕事」です。私は よく「”完全に”治せるセラピストになりなさい」と話しています。 

 

この”完全に”というのは、単に歩けなかった人が歩けるということではなく、例えば友達と同じ くらいのスピードで歩けるようになるとか、外に出ても麻痺があると気付かれないくらいに歩け るようになりなさいということです。 

 

近年、ロボットや装具を用いることによって「歩く」という動作自体は以前より出来る人が増え てきています。しかし、私たち理学療法士が目指すのは「格好はどうでもいい」という歩行では なく、もっと細かい動作を変えてあげるとこにあると思います。

 

装具やロボットにはできないと ころを追求して行くしかないと思うんですよね。 動作分析を苦手としているセラピストも多いですが、それは学生の時に学ぶ運動学が暗記モノに なっているからだと思っています。

 

「筋肉が歩行周期のいつ働くのか」というのは覚えていて も、なぜ働くのかを説明できないのではないでしょうか。

 

 例えば、脳卒中片麻痺患者の立脚期における支持性低下の問題も、足関節の問題かもしれない し、股関節の問題かもしれない。その人の動作を見て、なぜ患者さまがこんな動きをしているのか、ストーリーを作ることが大切です。全ては動作分析で解決できるわけです。正常動作の理解 につきます。 動作分析を極めていけば、素晴らしい治療者になると思いますよ。 

 

ー 動作分析力を高めるために、先生はどのような工夫をしてきましたか。 

 

鈴木先生 昔は病院のビデオを借りて、患者さんを撮影させていただき、何回も見ては動作の特 徴と原因を考えたりしていました。動作分析はまず単関節から見るのではなく、どういう実用性 が低下しているのかを理解する必要があります。例えばスピードが低下しているのか、安定性が 悪いのかといったことです。 

 

ー 整形外科疾患と脳血管疾患で、動作の診かたはどのように変える必要があるのでしょうか。

 

鈴木先生 基本的には運動学的な解釈で考えて、治療をするということは全く変えなくていいと 思います。同じ診かたをして脳血管疾患ではその解釈に加えて神経学的な解釈ができれば、なお 良いと思います。 例えば、視床は感覚神経の中継核ですが、視床出血の患者さんの動作は感覚障害だけが問題とは なりません。疾患名だけで問題点を判断してしまうセラピストにはなってはいけません。

 

 

【目次】

第一回:内腹斜筋は3つの線維に分けられる

第二回:鍼×理学療法の可能性

第三回:動作分析力はどのようにして磨くのか

最終回:本物の臨床家こそ研究者であれ

 

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鈴木俊明先生プロフィール

関西医療大学 保健医療学部  理学療法学科   教授、学科長
大阪府理学療法士会  理事、副会長
日本基礎理学療法学会  運営幹事 

【経歴】

昭和61年3月 京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科 卒業
昭和63年4月 京都大学医療技術短期大学部 理学療法学科 助手
平成  6年4月 関西鍼灸短期大学 神経病研究センター 講師、助教授(平成13年)
平成14年3月 藤田保健衛生大学より博士授与
平成15年4月 関西鍼灸大学 神経病研究センター   助教授
平成19年4月 関西医療大学保健医療学部理学療法学科  教授
平成23年4月 関西医療大学大学院保健医療学研究科 教授

 

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