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「痛いところに手が届く」評価と治療法

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PTになって20年間、少しずつ触診の技術は上がってきたと思います。そして、ここ数年ようやく「痛いところに手が届く」ことができるようになってきました。痛みの原因である末梢神経を特定したり、組織の損傷か癒着のどちらに由来する痛みかを判定したり、あるいは股関節関節包周囲にある癒着と痛みとを特定したり、といったところまで主訴を触診で探ることができるようになってきました。どのように「痛いところに手が届く」ようになったのかについて、書いてみたいと思います。若いセラピストの皆さんに、少しでも参考になればと思います。

広島国際大学リハビリテーション学科 教授
蒲田和芳

■ 患者の主訴を精密に特定するため

「痛いところに手が届く」ことができるようになった背景には、組織間リリースの技術を磨く中で、リリースで使う指先の面積を極力小さくすることに取り組んできたことが挙げられます。例えば2mm程度の細い皮神経をリリースしようとすると、指先の末節骨に1mm程度の小さな点「リリースポイント」をつかってリリースを行う必要があります。小さな点で触診することは、リリースしなければならない癒着を見つける上で不可欠であることがわかってきました。

 

実は、これができるようになったのは3年ほど前からです。それまでのPTとしての過去を振り返ってみると、大きな面積での触診で「痛いところに手が届かない」かもしくは「痛いところの周囲広範囲を押しているだけ」であったことに気付かされます。つまり、発痛源を特定せずに治療を続けてきたのです。

 

痛いところを特定せずに治療をすることは、痛みの正体がわからないまま、そして患者の主訴を厳密に特定せずに治療を行っていたことになります。今から思うと、とても未熟だったと言わざるを得ません。

 

■ 精密触診の技術とは

精密触診は、指先の触診ポイントを小さくするだけではありません。以下の4つの技術からなります。

 1)圧迫法: 個々の組織の深さを精密に把握し、一切潰さずに正確にその表面に触れる技術。例えば、腓腹筋深層にある足底筋の深さとヒラメ筋の深さが異なることを把握。

 2)表撫法: 組織の表面を潰さずに撫でる技術です。圧迫法で正確に深さを把握した上で、その表面を丁寧になでていきます。例えば大殿筋の深層で、坐骨神経の表面を撫でることなどにより、その形状を把握します。

 3)弾発法: 神経や腱のような硬い組織を触るとき、その組織を弾くようにすると硬さが把握できます。神経は硬いので容易に弾くことが出来ますが、足底筋などは緊張が低く、硬度も低いので弾くことができません。

 4)スクレイプ法: 深層の組織の表面を表撫法で擦るようにすることで、その表層にある組織との間の癒着を探索する技術です。スクレイプ(擦ること)ができなくなり指の動きがピタリと止まったら、滑走限界すなわち癒着があることを示します。

 

以上の技術により、組織の深さ、形状、硬さ、癒着、拍動、痛みなどを把握することが出来ます。例えば膀胱や胃のような内臓も把握できますし、上殿皮神経や大後頭神経のような皮神経の状態も把握できるようになります。

 

■ 組織間リリース(ISR)の技術とは

ISRの技術は、指先を組織の間に滑り込ませて、末節骨遠位端を使って1mmの精度で疎性結合組織をリリース(解放)します。スクレイプ法を用いて滑走限界を見つけたら、その場所に指先を動かさずに止めておくと、徐々に抵抗感が低下し、最終的には抵抗がなくなってリリース完了を触知します。

 

ISRによりあらゆる軟部組織(=皮下組織、筋、腱、神経、骨膜など)を対象として、組織間の癒着を解き、滑らかに動くよう改善させることができます。組織をつぶすことなく、溶かすように組織間の滑走性を改善させます。

 

■ セラピストとして必須の技術です

こういう技術を教わる機会は、20年前にも10年前にもありませんでした。しかし、今であれば「精密触診」と「組織間リリース」という形でセミナーを受講することができます。これらの技術を若いときに身につけると、今後数十年間に渡って「痛いところに手が届く」評価と治療ができるようになります。これを医療機関内、さらには養成校において必修化する必要があると考えています。POSTの読者の皆様の身近な環境でも必修化出来ないか検討してみてください。

 

この技術を、一人でも多くのセラピストに伝え、正確に痛いところを探しきることができるようになってもらいたいと思い、以下のようなセミナーを企画しました。

 

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■精密触診と組織間リリース(1日)

  札幌会場:6月16日

 

お申込み・詳細: https://realine.info/schedule#schedulePalpation

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■組織間リリース初級編:産前・産後ケア(3日コース) 福岡会場

日にち: 6月8日(土)、7月13日(土)、8月3日(土)

 

■組織間リリース初級編(3日コース) 東京会場(残席わずか)

日にち:5月25日(土)、6月22日(土)、7月27日(土)

  

■組織間リリース初級編(3日コース) 名古屋会場(残席わずか)

日にち:7月14日(日)、8月4日(日)、9月8日(日)

  

お申込み・詳細: https://realine.info/schedule#scheduleISR

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■ 筆者・セミナーご紹介

筆者:蒲田和芳

・広島国際大学総合リハビリテーション学部 リハビリテーション学科 教授

・株式会社GLAB(ジーラボ) 代表取締役

・一般社団法人日本健康予防医学会 副理事長

・株式会社リベラシオン 代表取締役

 

セミナーご紹介:蒲田和芳が講師を務める~全身の関節疾患の治療法を学ぶためのセミナーシリーズ~CSPT2019 クリニカルスポーツ理学療法セミナーの受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/cspt 

 

長期間の「拘縮」や「可動域制限」に対しても、確実に可動性を回復させるための徒手療法技術ISR(組織間リリース®)セミナー2019も受講者お申込み受付中です。

https://realine.info/seminar/isr 

 

 

■ 関節疾病の治療と進行予防のスペシャリストになるためのサイト

 

▼ ReaLine.infoのサイトはこちら

https://realine.info/

 

関節疾病の治療を進めるには、一時的な症状改善ではなく、メカニズムを含めた根本からの治療が必要です。メカニズムを解決することにより、効果を長続きさせ、再発しにくい状態に回復させることが可能となります。関節疾患の原因へ根本から働きかけるリアライン・コンセプトは、足関節から膝、股関節、胸郭、肩、肘など全身の関節に適用できます。


ReaLine.infoでは関節運動指導士の技術を取得するための各種セミナーとともに、アライメント修正に有効なリアライン商品をご紹介しております。リアライン・ブログでは、蒲田の治療経験などを惜しみなく紹介しています。是非お立ち寄りください。

 

 

 

 

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