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岡田瞳先生-ドイツの理学療法(PT)教育-

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ドイツの教育システム

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インタビュアー:ドイツのPT教育システムとはどのような感じでしょうか?

岡田先生:日本とドイツでは、土台となる部分は同じですが、全体的に見ると色々な違いがありますね。 学校で行う理論授業、実技授業は最低限必要とされる時間数が日本の約2倍となっています。臨床実習も同様です。

養成校だけでも2900時間、臨床実習にいたっては1600時間以上こなさなければなりません。実際にはそれよりも多くの時間を費やしていますが。

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養成校となっているのは大学か専門学校で、ドイツの場合は専門学校がメインです。

これはドイツの教育システムそのものの違いで、大学は研究機関という認識が非常に強く、専門学校はその道の専門家を育成するということで、理学療法士は技術を持った専門家ということに分類されるんですね。ですので、まずは専門学校を考える方が多い。

そして専門学校で学び、社会に出て、それから研究に興味を持ち大学に進学するという流れの方が主流ですね。

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アメリカと比較してはどうか?というご質問もよくお受けしますが、やはりヨーロッパとの違いはあるように思います。アメリカの事情は詳しくありませんが、アメリカから帰国された方々は日本の免許取得にあたり認定を受けやすいようです。

しかしドイツの場合は時間数や科目名、学んでいる内容が違ったりするので、認定を頂くまでにかなりの時間を要しましたね。

理学療法士はドイツで有名?

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インタビュアー:ドイツ全体のPTに対する認知度はどうですか?

岡田先生:高いですね。日本よりも認識は高いと思います。クレジットカードを作るときや銀行口座を開くときに理学療法士と記入すると、まず信頼していただけますから。

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たとえば私は外国人なので賃貸契約すら問題だったんです。しかしその時に「クリニックでPTをやっています」と言うだけで、それなら大丈夫となるくらいの信頼感はある。一般的に、理学療法士を知らない方はいませんし。

日本では「医」学療法士と間違われたりすることもあると思いますが、あちらではそういったことはありません。

開業する理学療法士

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インタビュアー:今、介護保険分野で在宅に行くということが多くなっていますが、ドイツにはどういう分野があるんですか?

岡田先生:色々ありますが、整形外科の開業院が一番多いと思います。例えば腰痛や肩こりでも、整形外科を受診して処方箋を発行してもらい、ドクターから紹介される、あるいは口コミなどを参考に通院したいところを探して処方箋を提出し、予約を取ることになります。

処方箋には例えば、マニュアルセラピー20分、マッサージ20分、物理療法20分、温熱療法20分といったような内容と治療時間、治療回数や頻度などが記載されています。

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日本のように、マッサージサロンなどがあちこちに乱立するような状況はありません。医療系では、理学療法士の開業院がほとんど全てと言っていいと思います。

もちろん、エステやリラクゼーションのサロンも存在しますが、少しでも不調があれば理学療法を受けにいきますし、そこで自己負担のオプションとしてマッサージを受ける方も多い印象です。自由診療でマッサージを提供している開業院は多いですから。

開業権に関しては、2年以上の臨床経験と、卒後教育で一定以上のポイントを取得することが必要になります。ドイツ国内では理学療法士向けに様々な卒後教育が用意されていて、専門とする分野に必要なさらなる資格を得るために社会人となってからも学びに行くことになります。そこでポイントを付与されるんです。

講習会情報

 

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【目次】

第一回:不安を感じる前に自ら動く姿勢を大切に

第二回:ドイツの教育システム

第三回:留学のお金事情

第四回:ドイツ理学療法士国家試験

第五回:44の医療機関を受けて43落とされた

第六回:人に認めてもらう方法

最終回:ドイツと日本でPT免許を取得

 

岡田瞳先生経歴

経歴:

1982年10月31日生まれ、茨城県出身。 筑波大学在学中に女子バスケットボール部に所属しながらスポーツ医学を専攻し、アスレチック=トレーナーの基礎を学ぶ。

卒業後は単身ドイツに渡り、フィジオセラピスト(理学療法士)の国家資格を取得。その後アスリートのコンディショニングに特化したスポーツクリニック『スポーツリハ=ベルリン』にてブンデスリーガやナショナルアスリートの治療、リハビリ、トレーニング指導に携り、同時に様々なブンデスリーガ加盟クラブの専属フィジオとしても活動。

2012年、約7年半のドイツ生活に終止符を打ち、2012 FIFA U-20女子ワールドカップをきっかけに帰国。同大会ではFIFAメディカルスタッフの一員として国際レフェリーのコンディショニングをサポートした。

2013年 厚生労働省より特例認定を受け、日本でも理学療法士の免許を付与される。

2014年、株式会社アレナトーレに入社し、さらに活動の幅を広げる。

【所属】

株式会社アレナトーレ

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【資格】

理学療法士(ドイツ/日本)

国際スポーツ理学療法連盟公認スポーツフィジオセラピスト(ドイツ)

マニュアルセラピー(ドイツ)

医療徒手リンパドレナージ(ドイツ)

高等学校保険体育教員免許(日本)

赤十字救急法救急員(ドイツ/日本)

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岡田瞳先生-ドイツの理学療法(PT)教育-

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