金曜日担当の平 純一朗です。
メディカルフィットネスやスポーツ現場においてコンディショニングを行う際に、どのような評価を行っているのかご紹介していきます。
前回の片脚立ちの評価では外力が身体にどのように働いているのかを考えながら、問題点に対して原因を探すことの重要性についてお伝えさせていただきました。
今回はスポーツ動作で必須となる回旋動作の評価についてご紹介させていただきます。
体幹回旋
立位での体幹回旋動作を確認します。
体幹回旋動作において、胸椎と股関節の回旋が可動域の観点から重要ということはご存知かと思います。
評価ではそれぞれが体幹回旋にどのような影響を及ぼしているのかを考えていきます。
そこで体幹回旋に伴う運動連鎖を確認します。
回旋に伴い回旋側腸骨後傾、対側腸骨前傾、回旋側足圧中心は母趾球方向へ移動、対側足圧中心は後外側移動が生じる。
結果の出せる整形外科理学療法
体幹回旋動作にて、対象者に足圧中心を感じてもらうのと同時に、代償動作の有無を確認します。
体幹回旋不全がある場合、前額面における体幹側屈で代償することが多く感じます。
そのため、両側の腸骨稜を結んだ線の傾き、両肩峰の結んだ線の傾きを確認し、体幹側屈の代償動作を確認します。
評価のポイント
仙腸関節の評価
片脚立ち同様に回旋量の評価だけでなく、動きの確認も同時に行います。
体幹回旋に伴い、回旋側の寛骨は仙骨に対して後傾し、仙腸関節の適合性を高め構造的に安定させます。
この仙骨に対する寛骨後傾は、Stork testで確認します。
S2に対してPSISが後下方への動きを確認します。
正常であれば、立脚側のPSISはS2に対して後下方に移動します。
そのため片脚立位と共に、体幹回旋の回旋側における寛骨後傾をstork testにて確認します。
股関節可動域制限
回旋側|寛骨後傾制限・股関節屈曲内旋制限
対側|寛骨前傾制限・股関節伸展外旋制限
股関節の可動域制限は回旋側への重心移動を制限するため、可動域の改善は必須となります。
寛骨後傾に対しては、寛骨前面に付着する大腿直筋や大腿筋膜張筋のタイトネスを確認します。
体幹回旋に伴い大腿は外旋方向に移動しますが、より上位の骨盤帯の回旋量が多いため、股関節は内旋することになります。
そのため、股関節後面の外旋筋群のタイトネスを改善する必要が有ります。
足関節・足部との関係性
回旋側|足圧中心後外側移動
対側|足圧中心前内側移動
足部・足関節の可動域制限による足圧中心移動制限がある場合、より上位関節での代償を招くことになります。
回旋側では足関節が回外することで足圧中心が後外側移動します。
足関節の回外制限により、足部が回内した状態では運動連鎖により、寛骨は前傾位となり足圧中心の後外側への移動を制限することになります。
胸郭の評価
座位にて骨盤帯を固定した状態での体幹回旋運動を確認します。
立位での体幹回旋動作と同様に骨盤帯の傾斜や両側肩峰を結んだ線の傾斜の確認を行い、体幹側屈動作による代償の有無を確認します。
胸椎の回旋に上位肋骨・下位肋骨、肩甲骨の動きを伴うため、それぞれの動きの確認が必要になります。
上位肋骨|回旋側への前上方への動き(ポンプハンドル運動)
下位肋骨|回旋側への外側への動き(バケツハンドル運動)
肩甲骨|回旋側で後傾・外旋
上記の可動域制限は上半身質量中心の移動を制限するため、座位における体幹回旋動作を制限することになります。
そのため、体幹回旋において上半身質量中心を回旋側の坐骨上まで移動できるかどうかを確認します。
また回旋に伴い側屈を伴わずに、第10肋骨がASISより後方に移動するかを確認します。
また肩甲骨の挙上を伴わずに、後傾・外旋動作を確認し肩甲骨による代償動作も確認します。
今回は普段臨床で行っている体幹回旋の評価についてお伝えさせていただきました。
全身の動きの中で、一部の可動域制限は他部位での代償を招き、連動性を欠いた動きとなってしまいます。
その状態で、トレーニングを重ねても動きが低下した部位の改善は困難になると考えられます。
当メディカルフィットネスではトレーニングを始める前に、全身の動きの連動性を獲得することも目標とし、その評価を実施しています。
参考にしていただけたら幸いです。