今年12月、藤田医科大学 武地一教授(認知症・高齢診療科)と認知症介護研究・研修仙台センターらが、認知症カフェの大規模調査を行い、カフェは1回2時間が主流であり、様々な立場の人の望みを「黄金比」のように叶えていることを示した。
▶認知症・高齢診療科の武地一教授の研究成果が医療学術誌「JAMDA」に掲載されました
認知症カフェとは、認知症の人とその家族を支援することを目的にし、地域の人達のつながりを作るきっかけとなる新しい場所として作られた。
世界中で広がりを見せているが、どのように実施され、どのような人に、どのような効果があるか、実態が示されていなかった。
そこで、武地一教授らは、2016年度厚生労働省老人保健健康増進等事業によって行われた「認知症カフェの実態に関する調査研究事業」(国内1477ヵ所の認知症カフェが調査に回答している)をもとに、大規模なデータ解析を実施。
今回の研究では、1477ヵ所のうち回答が有効であった1355ヵ所を分析し、開催時間やカフェの有効性など調査した。
その結果、認知症カフェの開催時間は2時間が53.8%と多く、認知症の人にとっては開催頻度がより頻繁で、コンサートなどの催しがあること、認知症の人の家族にとっては専門職と相談できることや同じ立場の方と話し合えることがカフェの有効性に関係していた。
また、認知症やその家族でない地域住民からは認知症に関する講話や、専門職に相談できる点が効果がある結果となった。
認知症カフェの源流とされているオランダのアルツハイマーカフェでは、2時間の間にミニ講和や話し合い、コンサートなど30分ごとに開催されており、認知症の人、その家族、地域住民の望みを「黄金比」のように叶えながら運営していることが判明した。
認知症カフェは、世界各国で実施されることが増えてくると予想されるので、今回の研究成果が多くの地域での実践につながることが期待されるとのこと。