木内 大介先生-オリンピック帯同で必要とされた理学療法士(PT)の強み -第2回

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理学療法士も「ハリ」が打てる

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木内先生:2012年のロンドンオリンピックの2年前からオリンピックでのボランティア募集がありました。

最初、書類審査があり、その後面接がありました。

運良く選ばれ、選手村の総合クリニックで働く経験をしました。そこではオリンピックに参加している選手、コーチ、あとは国についている役員の方々を診ました。

そこのクリニックを利用する選手は、主に小国から来ていて、自国では医療チームを派遣していない人が多かったです。

例えばタイの女子ボクサーの選手とかアフリカのマラソンランナーとかカンボジアの柔道選手とかを診ました。

日本チームはオリンピック村の外に場所を借りていて、そこを選手団が使えるようにしていました。

ちょうど日本の医療チームが選手村のクリニックを見学に来たときに勤務していたので、クリニック内を案内しました。その中にPTの方も何人かおられて、その方達とも交流をしました。

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インタビュアー:選手村って好きなだけマックを食べられるんですよね?

木内先生:好きなものをいくらでも食べられるのは選手だけです(笑)。選手はいろいろな国の料理をバッフェスタイルで食べてました。ボランティアには、シフトの度に食券が支給されていました。

インタビュアー:メディカルチームの中に鍼灸師さんとか他のトレーナーの人いないんですか?

木内先生:カイロプラクターやスポーツマッサージ師がいました。お互いの情報交換ができ面白かったです。イギリスに限らず、ヨーロッパやオーストラリアのPTは、卒業後に鍼を打つ資格を取れば、鍼を打てます。中医学や東洋医学的な要素もありますが、西洋針で主に痛み止めに使います。

筋膜やトリガーポイントの仮説を基に理論的に打っていきます。理学療法の治療効果の中で、運動療法によるものが一番エビデンスは多いのですが、鍼も最近はエビデンスが多く出てきています。イギリス人にも興味のある人が多く、その下地には「安全」ということと「効果がある」というエビデンスがあるから受け入れられやすいのだと思います。

理学療法士の地位向上にはマネージメント力が不可欠

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木内先生:PTはメディカルチームの中で施術もするし、マネージメントもする。PTとしてできることを理解してもらうために、研究してエビデンスを積み上げていくし、エビデンスに基づいた効果を発信していく。

もちろん職人になるのもいいとは思いますけど、基本的にはエビデンスベースで「これだけ成果がでます」と言えないと価値が上がってこないし、社会的地位も向上しないと思います。それには教育の充実と研究できる能力、少なくとも研究を理解して利用できる能力がやはり必要だと思います。

医学は、科学なのでエビデンスありきの世界であり、医師と対等にリハビリの専門家として患者の治療に貢献するためには、理学療法士も自らの能力をしっかりと高めていく必要があると思います。

インタビュアー:イギリスってPTの地位が高いって言いますけど、正直給料おいくらくらいなんですか?

木内先生:だいたい新卒の初任給で年400万円くらい。それがイギリスの平均所得なので、経済的には恵まれています。なによりも社会的認知度が高く、PTであることに誇りを持って皆さん働いていますね。

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*目次

第1回:イギリスで9年勤めた理学療法士

第2回:オリンピック帯同で必要とされた理学療法士の強み

第3回:イギリスの教育で培われてきた能力を日本の医療現場に活かす

木内大介先生経歴

京都大学農学部卒業後、英国ロバート・ゴードン大学大学院修士課程にて、理学療法士の資格を取得。

英国の病院、クリニック、スポーツクラブにて9年働く。2012年ロンドンオリンピックでは、理学療法士として選手村で各国の選手・役員の治療に当たる。

2014年から株式会社メディヴァにてコンサルタントとして勤務。

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