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NICUに入院している新生児の痛みの測定とアセスメントのeラーニングを国内で初めて開発しました

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【本研究成果のポイント】論文掲載

  • ・日本では、実際のあかちゃんの動画やスライドなどで痛みの測定とアセスメントを学習できる教材がありませんでした。
  • ・本研究では、NICU 看護師が、入院しているあかちゃんの痛みについて自己学習できる e ラーニング(e-PMaN)を国内で初めて開発し、その効果を検証しました。
  • ・その結果、開発した e-PMaN で学習した看護師は、学習前と比較して、痛みの測定やアセスメントに関する知識の向上、スケール(FSPAPI、日本語版 PIPP)による痛みの測定スキルが習得できることが明らかになりました。
  • ・動画コンテンツは、広島大学情報メディア教育研究センター、技術センターと協力して、病院での撮影や編集を行いました。

 

【概要】

広島大学大学院医系科学研究科基礎看護開発学研究室 小澤未緒准教授らのグループは、NICU 看護師を対象として、新生児の痛みの測定に関する自己学習を支援するe ラーニングの開発を行いました。開発した e-PMaN は、看護師の自己学習を支援する教材として有用であることが明らかになりました。今後は、病棟単位で効果の検証を行い、e ラーニングで得た知識や痛みの測定スキルが、臨床の現場において実際に生かされるか(痛みの測定や緩和の回数などへの影響)の効果を明らかにすることを目指します。本研究成果は 2021 年5月 27 日、National Association of Neonatal Nurses 発行の「Advances in Neonatal Care」に掲載されました。なお、本研究は、科学研究費補助金(科研費番号:17H05108)の助成を受けて実施されました。

 

【参考資料】

● e-PMaN の TOP 画面 

 

● e-PMaN へのログイン

https://e-nicupain.hiroshima-u.ac.jp/login/?redirect_to=%2F&reauth=1

※利用登録後にログインできます。現在、利用は日本新生児看護学会会員もしくは基礎看護教育課程の学生に限定しています。

 

<発表論文>

論文タイトル:

Effectiveness of e-Learning on Neonatal Nurses’ Pain Knowledge and Pain Measurement Skills:A Pilot Study

著者:

Mio Ozawa1, Kyoko Yokoo2, Takahiro Sumiya3, Reo Kawano4

1広島大学大学院医系科学研究科

2広島大学

3広島大学情報メディア教育研究センター

4広島大学病院広島臨床研究開発支援センター

DOI:10.1097/ANC.0000000000000894

Video Abstract Available:

https://journals.lww.com/advancesinneonatalcare/Pages/videogallery.aspx?autoPlay=false&videoId=46

 

【背景】

新生児は痛みを言葉で表現できないため、新生児の痛みの予防や緩和を適切に実施するためには他者による適切な痛みの評価が必要です。しかし、信頼性・妥当性が検証された痛みのスケールを導入して痛みを評価している施設は、国内外ともに限られています。また、わが国には新生児の痛みのスケールのトレーニングプログラムがないことから、スケールを導入したとしても、使用しているスケールで正しく痛みを測定できているかを確認する手段がありません。

 

この課題を解決していくためには、まず痛みのスケールを利用する医療者が共通の教材を用いて自己学習できる仕組みを作る必要があります。しかし、日本では痛みの測定やアセスメントに特化した e ラーニングがなく、その効果も検証されてきませんでした。

 

【研究成果の内容】

本研究では、NICU に入院している新生児の痛みの測定に関する自己学習を支援する e ラーニング(e-PMaN)を国内で初めて開発し、複数の施設の NICU 看護師に ePMaN を受講してもらい、e-PMaN 受講前後のテスト得点の比較を行いました。

 

本研究で開発した e-PMaN は、受講期間内であれば、いつでも対象者の都合の良い時に自分のパソコンからアクセスし、知識の習得、測定の練習、フィードバックの 3つのステップで学習できます。知識の習得では、パワーポイントのスライドと動画コンテンツで新生児の痛みと痛みのスケールについて学ぶことができます。 測定の練習では、NICU に入院している新生児の実際の足底採血場面のビデオによって、痛みのスケールのスコアリングをトレーニングします。フィードバックでは、クイズで自分の学習状況を確認することができます。

 

対象者は、e-PMaN 受講前にテストを受け、e-PMaN で 4 週間学習し、受講後にもテストを受けました。115 名が e-PMaN 受講前のテストを受け、受講後のテストまで受けた 52 名を解析対象とした結果、年齢や NICU 看護師の経験年数、最終学歴など背景が異なる対象者においても、受講前と比較して受講後のテスト得点は大幅に増加しました(図1)。 また、e-PMaN で自己学習した程度が高い人は、自己学習の程度が低い人に比べて受講後のテスト得点が高いことがわかり、自己学習を実際に十分にすると知識や技術が高まることが示唆されました。

 

図1

 

【今後の展開】

本研究では、開発した e-PMaN の学習者個人への学習効果は高いことが明らかになりました。今後は、病棟単位で効果の検証を行い、e-PMaN を受講することで実際に痛みのスケールを使用した頻度が上昇するのかなど臨床の現場においての効果を明らかにすることを目指します(科研費番号:21K10910)。

 

詳細▶︎https://www.hiroshima-u.ac.jp/news/65387

 

注)紹介している論文の多くは、単に論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎません。論文で報告された新たな知見が社会へ実装されるには、多くの場合、さらに研究や実証を進める必要があります。最新の研究成果の利用に際しては、専門家の指導を受けるなど十分配慮するようにしてください。

NICUに入院している新生児の痛みの測定とアセスメントのeラーニングを国内で初めて開発しました

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