【福井勉先生 | 理学療法士】海外と比較した日本の理学療法士界事情 文京学院大学

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人生の前半と後半でやること

理学療法の国家資格ができて50周年になりましたが、ほとんどが輸入品です。私は今まで16カ国に理学療法を見に行って感じた事は、その国々に素晴らしい病院と素晴らしくない病院とありました。平均をとると国ごとのレベルの違いはあると思いますが、圧倒的に違うのは病院ごとの差です。さらに考えると個人個人の違いなわけです。それを考えると個人のオリジナリティが足りないなと感じます。


うちの学校(文京学院大学)では学生が1つの事を何回も学ぶということよりも、色々な技術的な内容を学んでもらえるようにカリキュラムを組んでいます。ブラッシュアップコースでも特徴的な講師をお呼びしていますが、誰かの模倣をするのではなく自分が考える事を大事にしてほしいという事を伝えています。自分の臨床をやる以上、何かに取り込まれるのではなく、取り込めというように伝えています。それがオリジナリティだと思うからです。

 

経験値が必要な仕事ですし、人生の前半は何が正しいのか自信もないから、何をしても良いんだと思っていますが、人生の後半は自分が主体となって新しい事に取り組むことが必要だと思います。

 

新しい事をやらないと世の中の底上げになりません。日曜日にやっていた「花燃ゆ」では吉田松陰など20代でとにかく日本を変えようとしている。そのスケールがすごい。新しい事をやるとはそういうこと。世のために何かしないと人生寂しいですよ。


人のためにやるということ。自分の事ばかりになると人相が悪くなります。尻の穴も小さくなります。リハビリは人のためにやることだけれど、その中でも相対的に自分の事ばかりを考える人もいる。利他主義といいますが、自分のことよりも他の人の事を考えた行動をとると、人間として力が発揮しやすくなる。


震災などでボランティアに行く人は偉いといいますが、行く人自身は偉いとか思ってなくて、人のために力を使う事が自分の力になることを確信しているんだと思います。その点はリハビリも同じですよね。

 

それにしてももっと外に出た方が良いと思います。

 

今の日本に足りないのは…

海外の学会で思ったのは、日本人が発表のポスターの前で外人が質問しても、英語が話せないから質疑応答にならないんだよ。ひどい場合はポスターの前に立たない人もいる。それで発表してきた事になるのかと。日本人は外国で発表するとそれだけでブランドになってしまう。海外に留学してきましたとか。そういうつまらないのが日本の嫌なところです。

 

留学は本人の体験としては素晴らしいですが、鼻を高くする事ではないですよね。色々出来るようになっても、その中の何人かは新しい事をやっていただかないと全体が進みませんし、日本の文化はまだそういうのが根強い気がします。外国から来た先生を崇め立てるようなことがありますよね。良い人を呼んでいるから間違ってはいないんだけど、自分たちも同じように海外に呼ばれるようになってほしいですよね。

 

そうなるためにはオリジナルな事でなければ話せないんです。アメリカから持ってきたものをアメリカでは話せないですよね?海外の方が進んでいるとか、本当に自分の目で確かめているのかなと思います。フラットな目で見るようになるためには、もっと日本人が外へ出なければなりません。アメリカに行くのも国内の地方に行くのも変わらないような時代になれば良いですよね。

 

日本人は控えめで協調性がありこの仕事に向いていること、アメリカ人は技術としては二流でも一流のように話せたり、マニュアル化するのが得意だったりします。それは自分を訴訟から守るという背景が文化に繁栄されています。凄い人はもちろんいますが、そんなにはいないと思うんです。密度として日本が低いという事もないんです。今の日本に足りないのは、「自分で新しいことを考え実行すること」、そういう事なのかなと思いますね。

 

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 *目次

【第一回】道のはじまり

【第二回】二人のライバルと高めあったオリジナリティ

【第三回】海外と比較した日本の理学療法士界事情

【第四回】「自信がない。」若手療法士の不安に対して

【第五回】福井先生にとってのプロフェッショナルとは?

 

福井勉先生

文京学院大学保健医療技術学部  教授
文京学院大学大学院保健医療科学研究科
スポーツマネジメント研究所 所長

[経歴]
昭和大学藤が丘病院、東京都立医療技術短期大学、昭和大学藤が丘リハビリテーション病院主任、昭和大学医療短期大学助教授,昭和大学保健医療技術学部助教授を経て現在に至る。

昭和大学客員教授,茨城県立医療大学非常勤講師

[著書]
整形外科理学療法の理論と技術
ブラッシュアップ理学療法―88の知が生み出す臨床技術
皮膚運動学―機能と治療の考え方
皮膚テーピング〜皮膚運動学の臨床応用〜 (運動と医学の出版社の臨床家シリーズ)
結果の出せる整形外科理学療法−運動連鎖から全身をみる
姿勢調節障害の理学療法 第2版
外来整形外科のための退行変性疾患の理学療法
二関節筋―運動制御とリハビリテーション
ザ・シリーズ ザ・歩行 第1版
消っして忘れない運動学要点整理ノート (PT・OT必修シリーズ)
復帰をめざすスポーツ整形外科
スポーツ傷害の理学療法 第2版 (理学療法MOOK 9)

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