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疲労回復神話をメタ解析 運動後の筋力回復に着圧サポーターは効果的か?

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【研究のポイント】

 ・疲労の軽減や筋力回復に対する着圧サポーター(コンプレッションサポーター)の効果について、一般化逆分散モデル注1を含むメタ解析注 2 を行った。

 ・トレーニング中またはトレーニング後の着圧サポーターの着用は、運動後の筋力回復を促進するとは言えないことが明らかになった。

 ・身体運動による筋力への悪影響を軽減するための補助方法として人気の着圧サポーター使用を再考し、代替方法を模索する必要性が示唆された。

【研究概要】

着圧サポーターとは、筋肉や関節に一定の圧力をかける装着具で、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされています。特に疲労の軽減や筋力回復のために、トレーニング中や試合後に着圧サポーターを使用することが、ここ数十年来、人気を博しています。東北大学大学院医工学研究科のネギヤシ ヤノシュ特任助教、永富良一教授らの国際研究グループは、着圧サポーターが運動後の筋力回復を促進するかどうかについて、メタ解析を含むシステマティックレビューを行いました。その結果、着圧サポーターを使用しても、トレーニング中・トレーニング後の筋力回復には効果があるとは言えないことが示されました。本研究成果は、疲労を残しにくい新しいトレーニング方法を開発する必要性を示唆しています。

本研究成果は、2022 年 4 月 27 日に国際科学誌 Sports Medicine(電子版)に掲載されました。

【研究内容】

着圧サポーターとは、筋肉や関節に一定の圧力をかける装着具で、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされています。特に疲労の軽減や筋力回復のために、トレーニング中や競技後における着圧サポーターの使用は、ここ数十年で人気を博しています。しかし、運動後の筋力回復に対する着圧サポーターの有益な効果に関するデータは、まだ結論が出ていませんでした。

 

今回、東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野のネギヤシ・ヤノシュ特任助教、永富良一(ながとみ りょういち)教授(兼大学院医学系研究科運動学分野)らの研究ブループは、オランダのグローニンゲン大学、英国セント・メリーズ大学、ドイツ・ポツダム大学と共同で、着圧サポーターが運動後の筋力回復を促進するかどうかについて、メタアナリシスを含むシステマティックレビューを実施しました。

 

5 つのデータ ベ ース( PubMed 、 SPORTDiscus 、 Web of Science 、 Scopus 、EBSCOhost)で体系的な文献検索を行い、350 人の健常者を含む 19 のランダム化比較試験からデータを抽出し、メタ分析を行いました。標準誤差に関して重み付けした試験間標準化平均差を集計し、サンプルサイズで補正して全体の試験間標準化平均差を算出しました。運動の種類、着圧サポーターを貼る部位とタイミング、運動終了からその後の検査までの時間が考慮されました。その結果、トレーニング中やトレーニング後に着圧サポーターを装着しても、運動後の筋力回復を促進するとは言えないことが示唆されました。

 

結論:

これまで着圧サポーターは、怪我の予防や疲労の回復に効果があるとされて来ましたが、本研究より、少なくとも疲労回復に効果があるとは言えないことが示されました。本研究によって、疲労を残しにくい新しいトレーニング方法を開発する必要があることが示されました。

 

支援:

本研究は JSPS 科研費 21K17600 の助成を受けて行われました。

 

【用語説明】

注 1. 一般化逆分散モデル: メタ解析において、個々の研究の効果量を計算するための最も信頼性の高い統計手法。サンプルサイズに応じて各研究の重みを調整することで、プールされた効果推定値の不正確さを最小化する。

注 2. メタ解析: 過去に行われた、複数の独立した研究のデータを統合して、統計的方法を用いて解析する方法。個々の研究の実施条件を加味して結果に重み付けをし、報告された全体として効果があるかどうか判別する方法。

図 1.運動後の筋力回復に着圧サポーターは本当に効果的か?

【論文題目】

Title: Can Compression Garments Reduce the Deleterious Effects of Physical Exerciseon Muscle Strength? A Systematic Review and Meta‐Analyses

Authors: János Négyesi, Tibor Hortobágyi, Jessica Hill, Urs Granacher, Ryoichi Nagatomi

タイトル:着圧服は運動による筋力への悪影響を軽減できるか?システマティックレビューとメタアナリシス

著者名:János Négyesi, Tibor Hortobágyi, Jessica Hill, Urs Granacher, 永富良一

掲載誌名:Sports Medicine

DOI: 10.1007/s40279-022-01681-4

 

詳細▶︎https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2022/05/press20220524-02-meta.html

注)プレスリリースで紹介している論文の多くは、単に論文による最新の実験や分析等の成果報告に過ぎません。論文で報告された新たな知見が社会へ実装されるには、多くの場合、さらに研究や実証を進める必要があります。最新の研究成果の利用に際しては、専門家の指導を受けるなど十分配慮するようにしてください。

疲労回復神話をメタ解析 運動後の筋力回復に着圧サポーターは効果的か?

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