11月の米国公演と12月の来日公演でブロードウェーミュージカル「CHICAGO」で主演予定だった米倉涼子さんが急性腰痛症、仙腸関節障害によるドクターストップで降板した。
「仙骨周囲の激痛、馬尾神経腫大、強度の坐骨神経痛等、歩行困難などに向き合わなければならずの中、活動を続けていました。とにかくどうやっても背中を湾曲させることができないのです」
と、自身のインスタグラムで現状を報告。人ごととは捉えず、少しでも異常を感じている方は、速やかに医療機関を受診されてください。
まず腰痛について「腰痛診療ガイドライン2019(改訂第2版)」では以下のように定義されている。
部位:体幹後面に存在し、第12肋骨と殿溝下端の間にある、少なくとも1日以上継続する痛み。片側又は両側の歌詞に放散する痛みを伴う場合も、伴わない場合もある。
有症期間:急性腰痛(発症からの期間が4週間未満)、亜急性腰痛(発症からの期間が4週間以上3ヶ月未満)、慢性腰痛(発症からの期間が3ヶ月以上)の3つに大別される。
原因:脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性、そのほかに定義される。具体的な原因は以下の3つに大別される;重篤な基礎疾患(悪性腫瘍、感染症、骨折など)、下肢の神経症状を併発する疾患、各種脊柱構成体の退行性病変(椎間板、椎間関節変性など)。
また、仙腸関節由来の痛みの腰痛に占める頻度は約10%で、若年者から高齢者までの男女に発症する障害である。以下主な症状と診断基準。
・仙腸関節部の疼痛
・患側下肢、臀部のしびれ(デルマトーム一致しない)や疼痛(関連症状)
・圧痛が上後腸骨棘、仙結節靭帯、腸骨周囲筋にある
・通常では疼痛の最も強い部位を1本指でさせる(one finger test)
<診断基準>
・上記症状
・仙腸関節への疼痛誘発テスト
Newtonテスト:うつ伏せの状態で、仙骨を腹側に向かって垂直に圧迫(変法では腸骨を押す)し疼痛の誘発有無をみる。
Gaenslenテスト:仰向けの状態で検側はベッドからおろし、反対側の膝を抱える。検側の股関節を過伸展することで疼痛の誘発有無をみる。
Patrickテスト:仰向けの状態で検側は足を対側の膝付近に乗せ、検側膝を外に倒し疼痛の誘発有無をみる。
・仙腸関節の後方へのブロック注射で疼痛が70%以上軽快する。
▶︎https://chicagothemusical.jp/blog/2022/09/28/3549/
<参考>
・村上栄一:急性腰痛における仙腸関節性疼痛の 診断.骨・関節・靱帯. 2004; 17: 571‒575
・村上栄一ほか.仙腸関節性疼痛:診断の指標と なる圧痛点はあるか? 日本脊椎脊髄病学会雑 誌. 2002; 13: 24