頚部痛から発生する頭痛・顔面痛『大後頭三叉神経症候群』

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頚部機能が深く影響する興味深い疾患、大後頭三叉神経症候群について書きます。

週の真ん中水曜日の江原です。私は臨床でも担当することが多いので、SPOTWRITERに度々顔面痛の記事を書いてきています。

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本日の記事は、こちらの中でも顔面痛と頚部機能に関連した具体的な内容、大後頭三叉神経症候群についてです。

大後頭三叉神経症候群

大後頭三叉神経症候群(great occipital trigeminal syndrome:GOTS)は、大後頭神経と同側の三叉神経第1枝の支配領域に痛みを生じる症候群です。

 

症状は非常に特徴的で、後頭部や頚部の痛み前頭部や眼窩部の痛みが同時に起こる状態で、上位の頚椎障害が原因となる片側性頭痛という定義となっています。

 

顔面にも痛みを起こしますが、頸原性頭痛の1種として国際頭痛分類第3版でも定義されています。

第2部 二次性頭痛
11.頭蓋骨,頸,眼,耳,鼻,副鼻腔,歯, あるいはその他の顔面・頸部の構成組織の 障害による頭痛または顔面痛  

11.2 頸部疾患による頭痛 (Headache attributed to disorder of the neck)

 11.2.1 頸原性頭痛(Cervicogenic headache)

 11.2.2 後咽頭腱炎による頭痛(Headache attributed to retropharyngeal tendonitis)

 11.2.3 頭頸部ジストニアによる頭痛 (Headache attributed to craniocervical dystonia)

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版より

しかし、大後頭三叉神経症候群は頚椎症、環軸関節障害などの上位頚椎の障害以外にも、むち打ち関連障害(外傷性頚部症候群)、後頭筋群の持続的な緊張、腫瘍による大後頭神経の圧迫等の病態でも発症するため、後頭神経が関与するニューロパチーの側面もあります。

13.脳神経の有痛性病変および その他の顔面痛  

 13.4 後頭神経痛(Occipital neuralgia)

国際頭痛分類第3版(ICHD-3)日本語版より

さらに参考文献によれば、大後頭三叉神経症候群が含まれる頸原性頭痛の解剖学的背景として以下の様に述べられています。

・慢性片側性頭痛の患者の 15 ~ 20% は、頸部由来の頭痛の場合があります。

・頸原性頭痛 として現れる関連痛の原因は、頸神経によって支配される解剖学的構造の障害および脊髄神経 C1-C3、椎間関節 C0-C3、椎間板、C2-C3支配領域の 筋、靭帯、骨構造、硬膜、椎骨動脈の直接的な刺激や損傷です。

・神経解剖学的および神経生理学的研究により、脊髄神経 C1 ~ C3 の受容野からの侵害受容性求心性神経の収束の存在を証明しています。また三叉神経の受容野からの侵害受容性求心性神経は、三叉神経核から発生しています。

Grgić V:Cervicogenic headache: etiopathogenesis, characteristics, diagnosis, differential diagnosis and therapy.Lijec Vjesn 129(6-7):230-6,2007

頚部痛から発生する頭痛・顔面痛『大後頭三叉神経症候群』

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